転職エージェント(RA)から人事コンサルタントへのキャリアチェンジ体験談
私は、20代で転職エージェント(以下、RA)を6年間経験し、現在は人事コンサルタントとして、人事制度改定のコンサルティングや従業員サーベイの分析等に従事しています。
※RA=リクルーティング・アドバイザーの略称。法人営業のことです。
現在、RAをやってらっしゃる方には、
「採用領域に閉じず、広く人事領域全般で顧客の支援をしたい」
「もっと専門性を磨いていきたい」
「将来のキャリアの先行きに不安を感じる」
「数字を追う毎日に飽きた」
というような想いや不満を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。私もそうでした。
そのような方々に向けて、少しでも参考になればと思い、RA→人事コンサルタントに転身した私のキャリアチェンジ体験談を書いてみます。
RA経験で役に立ったこと
RAを6年間経験して、人事コンサルティング業務に役立っていることは以下と個人的には捉えています。
採用の知見
まあ、これは言わずもがなですかね。。当たり前ですが、人事領域において「採用」の重要性は極めて高いです。
例えば人事制度を検討する際には「採用観点でどうか」という論点は俎上に上がりやすいため、採用現場や採用マーケットのリアルを知っていることは、人事コンサルタントとして大いに活きています。
職種の知識
RAは業務の特性上、世の中の多くの職種の仕事の流れや悩みを理解する必要性に迫られます。例えば、RAであれば以下のような職種がどんな仕事をしているか、どんなことに悩んで転職を考えるか、瞬時に諳んじることができるのではないでしょうか。
生産技術
生産管理
施工管理
インフラエンジニア
組み立て制御エンジニア
ルート営業
営業企画
顧客の業務理解や組織理解をする上で、これらの知識はとても有用でした。
(限定的ではあるものの)労務の知識
数年RAを経験すれば、求人票作成を行う上で、以下のような最低限の労務用語に触れる機会があろうと思います。
固定時間外手当
事業場外労働のみなし労働時間制
専門業務型裁量労働制
企画業務型裁量労働制
法定労働時間
年次有給休暇
年俸制
エトセトラ、エトセトラ。。
もちろん本職の労務経験者や社労士有資格者の方々と比較すると、適いませんが、私はRA業務で出てきた労務周りの不明点については、厚生労働省の出している情報を自分で調べ、顧客やCA(キャリアアドバイザー)に説明できるレベルには学習してきました。このサイクルで身につけた労務知識は、限定的ではあれ、人事コンサルティング業務をする上での基礎にはなっています。加えて、以下のような体系だった書籍を読むことも有用でしょう。
顧客折衝経験
RA業務に顧客折衝経験は欠かせませんが、顧客折衝が発生するのは人事コンサルタントでも同じです。何かと経営と現場の板挟みになりがちな事業会社人事の立場を慮った動きや発言は、むしろRA以上に求められます。RA業務でその基礎は培ったことは、大きかったと思っています。
苦戦したこと
次に人事コンサルタントに転身して苦戦したことをあげていきます。前提として、個人の素質、経験によってブレは大きいと思いますので、あくまで一個人の体験談として読んでください。
パワポ、パワポ、パワポ、エクセル、エクセル、エクセル
恥ずかしながら、人事コンサルタントにキャリアチェンジして一番最初に苦戦したのはここです(今でもキャッチアップ中)。コンサルタントである以上、パワポとエクセルから逃げることはできません。
私はRA時代は中小企業をメインに担当していたので、顧客との打ち合わせでパワポを作るという習慣がそもそもありませんでした。パワポで資料を作っている暇があれば、電話一本多くかけた方が、売上につながるからです。
エクセルも多少触りはせよ、関数を組むことはほぼありません。私は
「VLOOKUPって何ですか?」
「COUNT IF、うーん、なんとなくわかる気はします(笑)」
というレベルで人事コンサルタントになってしまったので、最初は本当に悲惨でした。
同じRAでも、深い提案が求められる大手担当を経験していれば、少しは違うのでしょうが。。
将来、コンサルタントへのキャリアチェンジを考えているRAには意識的に提案書を作ったり、エクセルで関数を組んで分析したりする経験を積むことをおすすめします。
以下のような書籍を読むことも有用でしょう。
ファシリテーション
ファシリテーションとは会議の進行役となり、参加者から発言を引き出し、統合していく営みのことであり、コンサルタントには必須のスキルです。
しかし私はRA時代にほとんどファシリテーションを経験していなかったので、非常に苦手意識がありました。
今は必死で場数をこなすことに加えて、個人で研修を受講したり、書籍を読んだりすることでキャッチアップ中です。書籍については、グロービスの出している以下が一番わかりやすかったです。
行動量に逃げることはできない
多くの場合において、RAにとっての正義は「顧客が採用成功すること」であり、それが売上に直結していました。
どれほど素晴らしい分析をして、提案をしようが、それが採用に結びつかないと、なんの売上にもつながらないわけです。逆に分析と提案がなくとも、行動量で採用にさえ結びつけば、それが売上になります。
しかし言わずもがな、コンサルタントは違います。分析結果や提案そのものが納品物となります。コンサルタントである以上、「考えること」から逃げることはできず、行動量で何とかなる世界ではありません。
さいごに
いろいろと書きましたが、結論として人事コンサルタントにキャリアチェンジしたことは個人的には正解だと思っています。大変なことは多いですが、「人事」というフィールドで、専門性を磨いて顧客に貢献できるやりがいのある仕事です。
ここまで書いた通り、キャッチアップが必要なスキルは多くありますが、RAの知見も多く活かせます。RAのネクストキャリアとして、人事コンサルタントにという道も検討してみてはいかがでしょうか。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?