
北海道「静養滞在の旅」 エピソード9 心の距離を縮めたバーベキュー
「ねぇ~ 滞在中に1回、ジンギスカン・バーベキューをやらないかい」と、かもいホッフの管理人の斉藤博君から提言を受けた。
今回のエピソード9では、親近感がグッと増したバーベキューのことを記してみたい。

トラウマになりかけていたバーベキュー
実は私は、昨年の10月に長野でおこったバーベキュー後、体調を崩して翌日に救急車で運ばれたことがあった。
そんなことがあったものだから、バーベキューはどちらかと言うと敬遠していた。でも親友の斉藤君が、私をもてなす気持ちでそう言ってくれているのだから、断るわけにもいかない。
そこで私は彼に「過去にこのようなことがあった。だから肉は一口、二口位しか食べれないかもしれないが、悪く思わないでくれよね」と、予め断りを入れておいた。
食材調達に隣町まで買い出しに
社交的で気配りのきく彼は、美味しい食材を買いに、隣町の新十津川町にある専門店「大畠精肉店」まで買い出しに行って来てくれた。
家庭菜園で獲れた新鮮野菜もたっぷりある。ビールやセイコーマートG7ワインもある。
バーベキューの道具一式は、前日に彼の自宅から運びこまれている。
これで準備万端・・・、私はゲスト的に何もしていない。ただ「ありがとさんよ」とみているだけである。気楽なもんだ。
私はライスマスター
だが一つ足りないものがある。それはご飯ものだ。私はご飯が無いと食べた気がしないのである。そこで一計を案じた。そうだ「おにぎりとみそ汁を作ろう」
そこで私は木村夫人と相談し、私がご飯を炊き、木村夫人がそれを、おにぎりにし、加えてみそ汁も作ることにした。
何処へ行っても、ご飯を炊くのは大抵私の役割となる。私には鍋でも飯盒でもご飯を炊くことができる特技がある。
7年前に地中海でヨットクルー人を楽しんでいるときも、ヨットオーナー夫人から、「茶木さん、地中海のライスマスターになって」と嬉しい言葉を掛けられた。以後、クルージング中のご飯焚きは私の役割になった。
私は「地中海のライスマスター!」なのである。えへん!
役に立たない経験はない 飯盒での飯炊き
もとより私は米農家の生まれで、母は薪の竈でご飯を炊いていた。蓋は重い木製のものだった。それを見ていると、ある程度火加減がわかるようになっていた。
それに加えて、鍋でも飯炊きが出来るようになったのは中学生のころ毎日のように飯盒でご飯を炊いていた経験があるからだった。
私は近所の友達と夏休みに毎日、郷里の神通川に泳ぎに行っていた。泳いだ後は疲れるし腹も減る。そこで川に行くときは、自転車の荷台に飯盒と、少々の米と塩を偲ばせるのである。
泳ぎ終わった後、石で小さな竈を作り、流木の枝などの川木を集めてきて、飯盒で飯を炊くのである。水は河原で伏流水が出ているところを探し、それを使う。
慣れてくると、音と噴き出す泡で、炊きあがりのタイミングが分かるようになる。
程よい状態だと思われるときに、飯盒を火から外し、ひっくり返して少々蒸す。そのあとおにぎり状態にして塩をかけて食べるのである。これが美味い。沢庵などの副菜が無くても、十分いける。
時には釣った鮎をその場で腸を出し、くし刺しにして焼いて食べた。
子供の頃の経験は役立つなぁ~
おにぎり出来たよ~
話を“かもいホッフ”のおにぎり作りに戻そう。ここには電気釜が大小の2つもあり、ご飯を炊くことぐらいチョチョイのチョイで簡単だ。使うコメはもちろん北海道米の最高峰“ゆめぴりか”。
問題は水加減だが、私のやり方は「米1に対し、水1.1」。後は米に応じて微調整をするシンプルなものだ。
焚きあがったご飯を、木村夫人は素早くおにぎりにした。塩は勿論のこと、味付け海苔や沢庵も用意した。
みそ汁は、斉藤君の家庭菜園の野菜を具にして、素早く完成! これですべてOK.
心の距離をグッと縮めるバーベキュー
集まったのは計6名。場所はかもいホッフの目の前のガーデン。午後4時30分はバーベキューの場所が丁度建物の日陰になる。吹き抜ける風も心地よい。虫もいない。
バーベキュートラウマの私は、恐る恐るホルモンを一口、口にした。味付けも丁度良く旨い! そしてジンギスカンも口にした。これも隣町まで買いに行っただけあって旨い。
焼いた野菜も旨い、それに加えて「旭川のまぼろしの蒸しトウモロコシ」を口にした。これはシンプルながらふわ~っと旨味が、あとから広がってくる。

するとトラウマの心はどんどん氷解し、箸がすすむ。人気のセイコーマートのG7ワインも美味しい。
飲むほどに、食べるほどに、スキーや他の話題で話は盛り上がる。屋外でのバーべキューパーティは、心の距離感をグッと縮めてくれるものだなぁ~と実感した。

ジェーさんが特別なコネで調達! 有難うジェーさん
増えた素敵な仲間
ここで素敵な仲間の2人を紹介したい。

谷口さん。通称J(ジェー)さん
彼は元消防士でレスキューの全国大会で2位になったほどの素晴らしい運動神経の持ち主。
その後スキーに興味を持ちオーストリーに生活拠点を移し、ドイツ語を学び、オーストリー国家検定スキー教師の資格を取得。
さらには、FIS(国際スキー連盟)のTDの資格を持つ。TDとはテクニカル・ディレクターの略で、FIS公認スキー国際大会を開催するときは、絶対に必要な人である。TDがいないと国際大会は開けない。
オーストリーで国家検定教師の資格やTDの資格を取るには、それなりの年数が必要だ。その間、いろいろな国の人達と切磋琢磨していくうちに、日本人は谷口さん一人だから、自然と周りからJapanのJをとってJ(ジェー)さんと呼ばれるようになった。
さてそのTDの資格だが、持っている人は北海道で彼1人。そして日本全国でも7人しかいない。その7人で年間約300あるFIS国際大会TDを担う。語学力も問われる。彼はドイツ語に加え英語も堪能である。好感度の高い人格者。今年から地元かもい岳スキー場の支配人を務める。

スタート地点で選手を指導しているところ
片岸さん
滋賀県出身の好青年。地域おこし協力隊の一員として北海道に居を移し、近い将来農業を目指す。もちろんスキーも大好きである。ニュージーランドで働いたこともあり、国際情勢にも詳しい。大型特殊免許も持ち、機械はもとより電子機器にも詳しい。
一言で言えば博識多才。それに加えて俯瞰図的な将来展望の視点が備わっている人。それにしても20代にして、よくこれだけのことを知っているなぁ~と感心させられた。
バーベキューを計画した斉藤博、参加した木村夫妻、茶木寿夫の4人は、この連載エピソードのなかで紹介しているので、ここでは省略。
バーベキューの音頭をとり、準備し、盛り上げてくれた素晴らしき仲間に乾杯! また機会があったらやりたいなぁ~
以下、次号のエピソードに続く