嬉しさ一入《ひとしお》 40年ものチロリアン・ロデル(木製ソリ)の活躍
■ 40年前のヨーロッパ製木製ソリ(ロデル)が、現役で活躍している情報を知り、嬉しくなった。
なぜなら、このロデルは私が日本総代理店として1980年代に輸入・販売したもので、いわば我が子のように思う品だからである。
活躍しているのは、北海道の中央部の歌志内市にある「かもい岳スキー場」。
そのスキー場は一旦閉鎖されたが、近年蘇り、さらに今年3月から、そのロデルのレンタルも開始したのである。
木製のものは40年も経てば不具合が出るのが普通だろうが、アッシュという樫木を素材としたこのソリは丈夫で、手入れがほとんど不要。だから今でも現役で使えるのである。
■ このソリに、私は産地のオーストリーのチロル州の地名を取り入れ、「チロリアン・ロデル」と命名した。
事の顛末はこうだ。
1、 先ず、名スキーコーチにして親友の斉藤博さんが、オーストリーのスキーキャンプのとき、このロデルを、日本にいる私に国際貨物でプレゼント送付してくれた。
2、 私は、「斉藤さん、貴方がこれを輸入して売ったらどうですか」と提言した。でも彼はやらないと言う。
それなら私がやろうと思い、現地オーストリーのチロル州に飛び、リジョー社とガサー社の2社と、日本総代理店契約を交わし、輸入を開始した。
オリンピックのソリ競技リュージュでは、世界の多くの国の選手が、ガサー社の製品を愛用していた。だから製品としては信頼性が高かった。
一方のリジョー社の製品は芸術性が高かった。もちろんとても丈夫でもあった。
3、 販売は、直販の形が主だったが、東急ハンズからも引き合いがあり、販売もしてもらった。しかし、いずれも需要は限られ、販売数は思わしくなかった。
4、 そうこうしているうち、ロデルとの接点を作ってくれた斉藤博さんが、彼の地元である北海道のかもい岳スキー場で、チロリアン・ロデル大会を開催してくれた。
数回開催してもらい、私も現地のかもい岳に飛んだ。
山岳関係雑誌で有名な出版社、山と渓谷社からも取材があった。
5、 楽しくもあり、嬉しくもあったが、販売はあまり伸びず、数年後に輸入販売の中止のやむなきに至った。
6、 しかしながら、木を芸術的に曲げる伝統技術は大したもので、その製品は今でもそのまま活躍を続けているという次第である。
■ 「日本にチロリアン・ロデルはここにしかない。レンタルとして皆に楽しんでもらおう」とうことから、レンタルが開始された。
そうプラニングしたのは、オーストリースキー国家検定教師にして名コーチ、そして現かもい岳スキー場の谷口充・総支配人である。
こうして蘇ったチロリアン・ロデル。嬉しさ一入《ひとしお》である。
今後も永く、皆を楽しませてくれることを願っている。
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