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車買うなら、レンタカーでの試乗のススメ

第1章 車買うなら、お気に入りのものを!


よく、「車は家に次ぐ高い買い物」と言われる。確かにそうだ。
しかも、車は何年も永く使う道具である。
ならば、本当に自分に合うお気に入りの道具としての車を買いたい。
買ってから「なんだこりゃ! こんなはずじゃなかった」と、後悔したくない。私にはその「後悔」の経験があった。

そこでお勧めしたいのが、買う前のレンタカーでの試乗である。

今回、友人のFさんの助言でそれを実行した。結果は、ガソリン代等も含めて1.2万円ほど掛ったが、「レンタカーによる1日試乗」は大正解だった。
今回は、そのことを書いてみたい。



東京の奥多摩湖畔にて

第2章 車買うなら、レンタカーでの試乗のススメ


私見だが、何年も使う車購入を、人生の伴侶に例えると次のように言える。

1・車のカタログだけで買うのは、見合い結婚に同じ。
2・ディラーの10分ほどの試乗で買うのは、1回デートした人と結婚するのと同じ。
3・1日~数日試乗して買うのは、1年以上付き合って結婚するのと同じ。

自分でそう書きながら、私は2の「10分程度の試乗」は必ず行ってから購入していたが、1日以上の試乗はしたことが無かった。

今回、14年使ったファリミーカー・パッソを手放し、第一候補のジムニーを買おうと思って、10分の「ちょい乗り」試乗をした。

その翌日、車に精通した友人のFさんから、有難い助言を貰った。
Fさんは、あるカテゴリーのフォーミュラカーでのシリーズチャンピオンにもなった人で、モータースポーツの特殊な車の販売も多数手掛けて来た人だ。

彼は電話口でこう言った。
「茶木さん、多少お金は掛かるが、同じ車のレンタカーを借りて1日乗ってみることを勧めるよ」

それだけの人の言葉だけに、重みがあった。
彼は続けてこう言った。
「10分程度の試乗では、本当のところは分からない。」
「自分も、高速道路など、いろいろ走ってみて、初めてサスペンションの不具合が分かった車や、フロントヘビーでこりゃダメだ、と思った車が何台かあった。もちろんその車は買わなかったよ」

その言葉で、ハッと「そうだ、それは必要かもしれない」と気づいた。

第3章 私の過去の「失敗の巻」

むかし、SUVの4WD車であるハイラックスサーフに乗っていた。
さてそれの乗り換えの時、SUVの4WDの原点ともいえる車に乗ってみたいと思った。
そのような車の原点は、イギリスのレンジローバーか、アメリカのジープだと思って、先ずはレンジローバーを試乗した。

■レンジローバーは、イギリスへ行った時に乗せてもらったり、日本でも乗せてもらったことがあった。
それで「なかなか良いなー、気品もあるし高級感があるなー」と思っていたが、運転したことはなかった。
試乗では、その時点で一番ベーシックなタイプに乗ったが、すぐに「こりゃダメだ。私の求めるフィーリングには合わない」と、10分試乗でもすぐに分かった。だからもちろんパス。

■次にジープ・グランドチェロキーを10分試乗した。
なかなか良いなーと思って購入した。

だが、実際に購入して走ってみると、「えっ、これが本当にジープ?」「こりゃ失敗だなー」と思う点が2点でてきた。

1・先ずは操縦安定性が悪い。
特に高速道路では、直進走行でも真っすぐ走らないし、緩いカーブでも走りたいライン取りをちゃんと走れない。

直線でもカーブでも、微妙にふらつく。だから絶えず両手でハンドルをしっかり押さえ、わずかな修正を加えなくてはならない。よって疲れが2倍くらいになる。
これが使っていくうえで、一番困ったことだった。

2・次にボディ鋼製が弱い。
四駆の代名詞的なジープだから、さぞボディもしっかり作ってあるのだろうと思っていたが、街中のレストランの駐車場から出る時の段差でも、ギシッ、ギシッっと、ボディが軋(きし)むのである。
だから、「本当にこれがジープ?」と思った。

この車で、本当に不整地を長距離にわたって走破したら、一体どうなるんだ? ガタガタになるんじゃないか・・と思った。
街中の段差でさえ、少し不快な気持ちになった。

3・おまけ話。 夏に出したエアコン修理が、返ってきたのはクリスマス。
もう一つおまけ話がある。それは修理に大変な想いをさせられたことだ。
夏の7月に、エアコンがあまり効かなくなった。
それでディラーに出したら、「エアコンを全取替えします。修理期間は3ヵ月。車を預からせて下さい」となった。
保証期間内だから私の費用負担は無かったが、夏に出したエアコン修理が、実際に戻ってきたのは6ヵ月後の12月のクリスマスだった。

まぁ、その6カ月間は、代車でフランスのシトロエンをリレー方式で2台乗り、スェーデンのサーブも1台乗ったから、怪我の功名みたいなもので、まぁ楽しかったが・・・。

すると、3のエアコン修理は別にしても、1と2は、1日試乗をして高速道路も走れば、分かったことだった。
その1日試乗をしなかった私のミスだった。

結局、この車は3年で手放した。売るのにも日数を要して苦労したが、値段も3年落ちにしては、低額の査定しかつかなかった。

第4章 いざ、1日試乗へ

ベテランFさんの一言「レンタカーでの試乗のススメ」は、咄嗟に私にグランドチェロキーでの失敗を思い起こさせた。
Fさんの一言で、私は正気に戻った。
まさに「ベテランの一言、値千金」である。

早速、いろいろなレンタカー屋を探したら、立川に1社あった。軽のジムニーにはグレードが3つある。そのレンタカーは、私が候補にしているグレードXC、4速オートマ、そのものである。これはラッキーだ。
レンタカー代は、休業補償も含めて1日で約1万円。すぐに予約手続きをした。

試乗は、街中、郊外、山道、峠道、不整地、高速道路を含めたかったから、次の日帰りコースの行程を作った。

東京の立川 → 青梅 → 国道411号で奥多摩湖 → 山梨県の丹波山村 → 県道18号で小菅村 → 松姫峠 → 大月の猿橋 → 国道20号 → 相模湖インター → 中高高速 → 東京・八王子 →立川までの 約160㎞。

どうせ行くならドライブを楽しみたい。
そんな気持ちから、全長約160㎞のこのコースを設定した。

車には、その車に対する慣れが必要である。特に最近の車には運転支援装置なるものが沢山ついている。だから尚更だ。
最初は戸惑ったが、1時間で50%慣れ、2時間で70%、3時間で85%まで慣れた。

時間が経つにつれ、「この車、なかなか良い」と実感してきた。
軽であっても、室内空間に狭さは感じない。窓も広くて視界がよい。


視界がよく、気持ちも明るくなる。
ジムニーは屋根付きの車でありながら、開放感がある。

(私は穴倉に入ったような車も、場所(洞窟など)も苦手)
途中で休憩した山梨県の丹波山村「道の駅」にて。
隣の動物は熊だと思うが、もしかしららイノシシかな~

1. 一番知りたかったのは、次の2点。

一つは、ピッチングである。でも問題はなかった。
軽自動車は最大値で全長3.4m、全幅1.48m 全高2.0mと決められている。
すると必然的にホイールベース(最遠軸距=前輪ホイールの中心から、後輪ホイールの中心までの距離)が短くなるので、ちょっとした路面の段差でもピッチング(前後にトントコ、トントコと揺れること)が起きるから、それがどの程度出るかが心配だった。

だが、ジムニーのサスペンションが、それを上手く吸収してくれて、これなら問題ないと思った。

もう一つは、高速道路での高速安定性。
それも全く問題なかった。
ジムニー乗りの間では、「時速50㎞~80㎞で、ジャダー・シミー現象が出る」と言われているらしいが、その現象とは、走行中にステアリング(ハンドル)とタイヤに「異常な振動」が起きることをいう。

そんな現象が起きたら、不快だし、危険でもある。

そこで、ジムニーに何年も乗ってきた車に詳しい友人3人に、その件を訊いたが、異口同音に「そんな現象は知らない」と言う。
つまりは一般的には、この現象は出ないとみてもよいのだろう。

それらを頭に入れながら、高速走行を試みたが、風揺れの不安感も無く、ジャダーやシミー現象の兆候も全く無く、快適だった。

よって2つの懸念は払拭された。

ついでに、10分試乗では出来ないことを、おこなってみたので書き加えたい。

2. 快適走行

■ 奥多摩のワインディングロードでは、マツダ・ロードスターに2㎞ほど追走したが、全くストレスなく、追随できた。軽自動車とはいえよく走る。

■ 山梨県の丹波山村から小菅村に抜ける峠道では、ターボチャージャを効かせてエンジン回転7,000まで引っ張り、ラリー本番のような走りを試みた。昔の1600㏄のノンターボ・ラリー車より良く走ると思った。

軽のジムニーエンジン排気量は3気筒652㏄だが、ターボチャージャーという過給機がついているので、実質的にはノンターボ車(自然吸気)の1,120㏄エンジンに匹敵する。

それはモータースポーツの世界では次のような計算をするからだ。
  ターボ付きエンジン=排気量×1.7倍

ターボ付きだから、登り勾配の急なヘアピンコーナーの立ち上がりも、ストレス無く、ぐいぐい加速していく。
私はラリーの世界選手権にも出場したし、ラリーのコース設定で日本全国の山道、峠道を走り回った。だから峠道に入ると、血が騒ぐのである。

仮にディラーの車で、こんな走りをしたら、「止めてくれ。そんな走りは買ってからにしてくれ」と即座にセールスマンに言われるだろーなぁ~。

■ 林道があったので、ちょいと入ってみた。
この車は、いまどき珍しいパートタイム4駆システムを採用している。
車を停めて、ギアをN(ニュートラル)に入れ、シフトレバーの手前にある副変速機のレバーを操作し、2WDから4WDに切り替えて走りだした。4輪で確実に路面を駆動している実感が伝わって来る。

さらにそれを低速の4WDにすると、あえて泥濘地を走ってみたくなる衝動に駆られた。レンタカーだから泥濘地、急斜面登坂はさすがに遣らなかったが、「これぞ4駆の本道!」と感じた。

ジムニーは、このような景色によく合うねー


手前にあるのが 2WD→ 4WD→低速4WD の切り替えレバー
(写真の下部にあるレバー)

私は、今まで30年以上に亘り、4WD車を10台ほど乗り継いてきた。今メインで乗っている車も寒冷地仕様のフルタイム4WD車だ。このフルタイム4WDは日常的には便利でとても良いが、やはりこのパートタイム式4WDでこそ、本当の4輪駆動の醍醐味が味わえると思った。

第5章 最後に

レンタカーによる1日試乗は、失敗の無い車選びに通じる。
費用は、ガソリン代、高速道路代を含めて、1.2万円ほどかかったが、得たものは大きかった。
レンタカーによる1日試乗は、大いなるお勧めである。

「間違いだらけの車選び」で有名な、今は亡き徳さんこと「徳大寺有恒」さんに天国で会ったら、酒を酌み交わしながら、そんな話をしたいな~。

山梨県大月市の猿橋付近にて

#レンタカー  ”ジムニー #試乗

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