脳の仕組み ~なぜキレるのか~
今回は日経サイエンス2021年2月号より「人はなぜキレるのか」衝動を生む神経回路から脳の仕組みについて考えていきたいと思います。
我々の行動や認知には「素早い判断」をする回路と「熟考して判断」する回路があります。この「素早い判断」がONされると「キレる」事になります。即ち、何等かの理由で「素早い判断」が優先され易い場合、キレやすくなったり、情動が抑えられなくなる、という事のようです。
これらの研究が進んだ要因ですが、MRI、CTは勿論のこと、脳内で発光を観察できるような光ファイバー技術、ニューロン活性化時に発光させるタンパク質を導入するような遺伝子工学、レーザー光で電気信号を出すようにニューロンを操作する遺伝子工学、などの技術が役に立っているようです。
宇宙の研究も同様ですが「測定技術」の発展が色々な分野の発展を促していく事が分かります。
正直言うと若干難しい内容で理解出来ていないところも多いですが、まとめると以下の通りです。
視覚や嗅覚の情報処理について
視覚情報や嗅覚情報はどのように処理されるか??視覚情報は視神経を通り、嗅覚情報は嗅覚神経を通りそれぞれ脳に届く。このように一般的に主要な感覚情報は別々の神経回路を通って脳に入る。
例えば後頭部にある視覚野では視野内の対象物の形、色、動きが抽出され、その情報が他の皮質領域に伝達されて対象物の知覚が意識に上る。こうしてやっと、”見覚えのある顔”を認識できるようになる。
このように”複雑な情報処理”には複数の皮質情報が順番に関わっており、処理に時間がかかる。このため、突然自分の顎をめがけて拳が飛んでくるような状況では自分の身を防御することはできない。
高速認知回路
このため、入ってきた感覚入力を脅威感知回路に迅速に伝えられるように高速の皮質下回路が進化した。感覚入力は大脳皮質に伝わって認識される前に偏桃体に届く。正確なイメージを形成できなくても、パーソナルスペースに突然侵入してきた物体を脅威と認識する事ができる。偏桃体はそこにあるべきでないものを感知し、攻撃反応を迅速に引き起こして脅威に対処することができる。
脳の各機能の働き大脳皮質・・・厚さが3mm。高次の認知機能の中枢を担っている。感覚運動統合、意識そのものにも関与している。攻撃行動を行うかどうかの決定に重要な役割を果たす。
扁桃隊・・・潜在的脅威に関する入力を素早く評価する。偏桃体の入出力経路は大脳皮質、視床下部へと伸びている。脳に入ってくる感覚情報、意思決定などの工事の情報処理の結果を伝える大脳皮質からの信号の中継点として働く。
視床下部・・・心拍数、体温、呼吸、睡眠周期、ホルモン放出などの自律的な身体機能を制御している。攻撃開始の感情的衝動が発生するのはここ。
脳幹・・・情報は脳幹を通って脳から脊髄、脊髄から脳へと伝わっていく。
前頭前野・・・大脳辺縁系を抑制したり刺激する事ができる。高次の認知処理領域での慎重な検討に基づいて衝動を抑え込んだり、暴力行為を開始させたりできる。
チョット短めですが、今回は以上です。
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