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世襲制世代交代顛末記(5)


姉としての立場で攻勢に出る姉

兄弟中最後に入社した長女は年齢的に長男社長よりも上です。

社内では取締役社長と監査役と長男社長が当然トップですが、
長女は姉の立場を利用して上から長男社長の至らぬ所を攻撃し始めます。

1日の終わりに
「今日いけなかった事リスト」
みたいな 社長の一挙手一投足を細かく表示採点したメモを社長に渡していた様です。

本心から会社の将来を考えての行動かもしれませんが、
中小企業ではあるが創業社長の金銭的には裕福な家庭に産まれて 何不自由なく進学、転職を繰り返して来たワガママ育ちの「奢り」を感じてしまう行動、態度でした。

権力で反転攻勢に出る社長

長女に毎日
「お小言ダメ出しメモ」
の様な物を渡されて
「アンタは全然ダメ。」
と否定され続けていた長男社長ですが

ワガママ傲慢に育ったのは長男も同じです。

我慢出来るわけがありません。

ある日 長女から
「机が凹んでるんだけど?」
と言われて事務所に見に行くと
明らかに角材かなんかで思い切り机の天板を殴りつけた様な凹みがついていました。

「これは角材でブン殴ったんだろうな」
と言うのは直ぐに分かりましたが
誰がやったのか?は現行犯でないと確定出来ません。

勿論 1番怪しいのは 以前から何か面白く無い事があると物にあたってぶち壊して来た長男社長ですが、証拠も無しに責める訳には行きません。

結局 机殴打事件はお蔵入りになってしまいました。

そこから社長のパワハラが始まります。
兄弟間で経営陣同士のイザコザなので
お前らいい加減にしろよ!勝手にやってろ!
と言ってしまってもいいのですが、
私としては転職の際にお世話になった
会長に呼ばれて相談されるので無視するわけにもいかず 仲裁に入る事になります。

パワハラの内容は
仕事の依頼無視
会話無視
挨拶無視
逆ギレ

等 会社の業務を円滑に進める為には全くもって問題になるような事ばかりを社長がやっている。
情けない会社でした。

その頃 会長も大腸癌で手術を受け療養生活に入ります。(結局治癒には至りませんでした)
兄弟4人が1番協力しなければならない筈の時にワガママ甘ったれ兄弟達は全員が違う方向を見ていました。

兄弟みんなが会長の脛を齧りながらぶら下がっている状態が続きます。

役員4人会社に対する責任感等全く持ち合わせて居ない年齢だけいったガキ共だったので
育ち方育て方を誤った典型だと思います。

兄弟喧嘩仲裁の日々

会長にも直々に頼まれ、兄弟達がトラブルを起こす度に呼ばれて話合いを持とうとするのですが
いかんせんやりたい放題ワガママ放題に育ってきてしまった人達が 他人の話を聞く耳を持っているわけも無く 納得の行く着地点に治まる事は1度もありませんでした。

基本的には私が話している間は大人しくわかった様な顔で聞いているのですが、結局最後はもとに戻って終わるみたいな繰り返しでした。(要は人の話は聞くフリをしていただけと言う事ですね。反抗期の中学生レベルです)

大人としてのプライドや少しでも他人の話を受け容れる器の大きさや自分の人生に対する責任感等があれば少しずつでも変われたかもしれませんが、
とにかく相手に負けたくないだけと言う ガキの喧嘩状態なので他者が介入しての解決は望めませんでした。

家族でしか解決出来ない

何しろ 自分が危うくなると
「高校生の時に〇〇だったから」とか
「受験の時に〇〇な事言われたから」

なんて話まで飛び出してくる低レベルな喧嘩なので とても外部から来た途中入社の工場長如きが仲裁する事なんか不可能な状態です。

一緒に育った兄弟か両親 要は家族で
話し合うべき問題になってしまってるなと思ったので 会長に
「親として兄弟仲を何とかして下さい。」
とお願いしました。
会長の返答はただ1言
「無理!」
解決を諦めた瞬間でした。
       つづく


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