「新しい生活様式」に今後、JR北海道はどのように対応していくのか
国よる緊急事態宣言が解除され、「新しい生活様式」というものが示されました。私の住む北海道も国による緊急事態宣言、北海道による独自の緊急事態宣言を含めると約3ヶ月もの間自粛を余儀なくされ、家庭に、仕事に、経済に、生活に関わる部分で様々な影響が出たのは周知の通りです。
鉄道界、いや公共交通機関界と言うべきでしょうか。この期間、この業界はおそらく過去に例を見ないほどの経済的な危機にぶち当たりました。公共交通機関という特性上、営業面ではもちろんのこと、設備面、人的にも広く多大な影響が出ました。今回は「新しい生活様式」に鉄道を当てはめた時、どのようなことが考えられ、どのようなことが対応として必要となるかにフォーカスして書きたいと思います。
本当にざっくりですが、まず鉄道というのは、いわゆる「3密」状態が簡単に作られてしまいます。ラッシュ時などはその典型例ですね。とはいえ、逆にガラガラというのは経営的に良くないということになります。新幹線や特急列車の指定席などは別ですが、都市部であれば普通列車(快速列車も含む)は「待たずに」「好きな時刻の」「好きな車両(号車)に」乗れるというのが、鉄道の基本のようなものです。
例えば首都圏の上野駅から品川駅へJR線へ移動の場合、直通の選択肢は3つありますよね。山手線、京浜東北線、そして上野東京ラインです。しかし、これは大都市圏で10~15両の長い列車を頻発運転し、複数の選択肢がある首都圏だからできること。元々、上野東京ラインだって山手線、京浜東北線の混雑緩和も一つの役目として造った訳ですからね。
これを北海道、特に札幌都市圏に当てはめてみると、人口的(利用者数的)にもJR会社の体力的(経済的)にも非常に難しい対応が迫られると思います。例えば、札幌駅から白石駅までのJR線の直通の選択肢は2つ。函館本線か千歳線を利用するというもの。運行される快速列車、普通列車は最大でも6両編成です。白石駅に行くお客様は必ず江別方面(函館本線)に乗って、というルールを作るなら、ある程度の対策にはなるでしょうが、果たしてどれほどの乗客が協力してくれ、チェック体制も取れるか。いくら首都圏より混雑が少ない札幌都市圏とはいえ、混雑時間帯のチェックには無理があるでしょう。また、仮に一車両あたりの定員を減らすのもここ北海道、札幌都市圏では首都圏ほどの輸送需要が無いため、減車せずに一車両あたりの定員を減らして本数は維持などとはコスト面でもとてもできないでしょう。
となると行き着く先はやはり、特急列車と同様に減便と減車ということになってしまうのでしょうか…
一番はすべて元の状態に戻ればベストなのでしょうけど、それを待っていては経営的にも行き詰まってしまいます。経営環境と「新しい生活様式」の狭間で難しい判断をJR北海道は迫られていると思います。限られた選択肢、コスト、方法の中で今後、JR北海道がどのような対策を講じていくのか推移を見守っていきたいと思います。