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時間の流れが加速していく感覚:60代になって感じること

年末が近づくと、毎年のように「もう一年が終わってしまうのか」と驚きます。20代や30代のころには、1年という時間はもっとゆっくりと流れていたような気がするのですが、50代頃から、時間の経過がどんどん早く感じられるようになってきました。

会社に入社当時は「早く次のステップに進みたい」という気持ちが強かった分、時間の流れがゆっくり感じられたのかもしれません。しかし、50代頃からは、人生の有限さを意識することが増え、一日一日がかけがえのないものだと実感しています。そう感じるからこそ、「時間を有意義に使いたい」という思いが日に日に強くなっています。

今回は、「時間の流れが早く感じる理由」「60代になって見えてきた時間の価値」「一日一日を豊かに過ごすための工夫」について、自分の経験を交えながら考えてみたいと思います。


時間の感覚の違い

1. 20代・30代のころは「目標志向」で時間が濃密だった

20代や30代は、仕事や家庭、趣味に追われ、毎日が忙しく過ぎていきました。若い頃の私は、常に何かを追いかけていたように思います。昇進や資格取得、家庭を築くこと、子育て、友人との付き合い――目の前の目標に向かって走り続けていた時期でした。
目標が明確であるほど、達成までの過程が濃密な体験として記憶に残ります。そのため、20代・30代は、時間が長く感じられることが多かったのかもしれません。

2. 60代になると「日常」が中心に

60代の今、子育てもひと段落し、仕事の忙しさも以前ほどではなくなりました。日々の生活は穏やかで、ルーティンが多くなっています。特に変化の少ない日々が続くと、「昨日と同じような一日だった」という感覚が強まり、時間が早く過ぎるように感じるのです。
また、人生を振り返る場面が増えたことで、「過去の時間」が濃密だったぶん、「今の時間」が相対的に薄く感じられるのかもしれません。

時間の流れが早く感じる理由

1. 心理学的な理由:ジャネーの法則

「時間が早く感じる」という現象を説明する法則の一つが、ジャネーの法則です。この法則によれば、時間の長さを感じる基準は、自分が生きてきた時間の総量に比例するとされています。
たとえば、10歳の子どもにとって1年は人生の10分の1ですが、60歳の人にとっては60分の1の長さです。この違いが、年齢を重ねるごとに時間が短く感じられる理由の一つとされています。

2. ルーティン化による記憶の薄れ

日々の生活がルーティン化すると、新しい経験や記憶が減るため、時間が早く過ぎているように感じます。20代や30代は、仕事や家庭、趣味の中で新しい挑戦や経験が多かったのに比べ、60代では「同じような一日」が増えがちです。

3. 人生の有限性を意識するから

60代になると、「あとどれくらい健康で過ごせるのか」という考えが自然と頭をよぎります。人生が有限であることを意識すると、時間を失うことへの恐れが強くなり、その結果、時間が早く感じられるのかもしれません。

時間を有意義に使うための工夫

60代になった今、「時間を大切に使いたい」という気持ちが強まっています。一日一日を豊かに過ごすために、私が実践しているいくつかの工夫をご紹介します。

1. 新しいことに挑戦する

ルーティン化した日常を打破するために、新しいことに挑戦するよう心がけています。たとえば、新しい趣味を始めたり、行ったことのない場所に旅行したりすると、記憶に残る「特別な一日」が増えます。
最近では、写真を撮ることにハマり、スマホで日々の風景を記録するようになりました。カメラを通して見ると、何気ない日常の中にも新しい発見があり、毎日が少しだけ特別に感じられます。

2. 感謝の気持ちを大切にする

年齢を重ねるほど、家族や友人とのつながりがどれほど大切かを実感します。特に孫の成長を見守る時間は、何にも代えがたい喜びです。
去年から「ジャーナリング」を知り、「感謝したいこと」を日記に書く習慣を始めました。些細なことでも、「今日も元気に過ごせた」と感謝を記録することで、一日一日が豊かに感じられるようになりました。

3. 健康管理を意識する

時間を有意義に使うためには、心身の健康が欠かせません。60代になってからは、以下のような健康習慣を取り入れるようにしました。

  • 毎朝の軽いストレッチやウォーキング、太極拳

  • 野菜中心の食生活

  • 定期的な健康診断

特にウォーキングは、季節の移ろいを感じながら体を動かせるので、心にも良い影響を与えてくれます。

4. 家族との時間を大切にする

孫の成長を見守る時間は、60代の今、何よりも楽しみです。孫と遊ぶ時間は、笑いが絶えず、自分の子育て時代を懐かしく思い出すきっかけにもなります。
また、妻との日常の中で、感謝の気持ちを伝えるよう心がけています。長年連れ添った夫婦ですが、感謝の一言があるだけで、家庭の空気が温かくなるのを感じます。

60代からの「一日一日を豊かに過ごす」ためのヒント

人生の終盤に近づくほど、一日一日の重みを強く感じます。そこで、私が考える「一日を豊かに過ごす」ためのヒントをいくつかまとめました。

  1. 「特別な一日」を意識して作る
    小さなことでも良いので、今日はいつもと違うことをやってみる。「新しいカフェに行く」「お気に入りの本を再読する」など、日常の中に特別感を取り入れると、記憶に残る一日になります。

  2. 「今」に集中する
    過去や未来に囚われすぎず、目の前の時間を大切にする。特に家族や友人との時間は、心から楽しむことを意識しています。

  3. 記録を残す
    日記や写真など、毎日の記録を残すことで、後から振り返ったときにその日の大切さを再確認できます。

「時間の早さ」に焦る必要はない

60代になると、どうしても「時間が限られている」という意識が強くなりがちです。もちろん、それが行動のきっかけになることもありますが、一方で焦りすぎてしまうのも問題です。

今を楽しむことが大切

20代や30代のように「大きな目標」を追いかけるだけが人生ではありません。今この瞬間に目を向け、小さな幸せを積み重ねることが、充実感に繋がります。
例えば:

  • ペットの行動に癒される時間

  • 家族の笑顔や会話ができることに感謝する

  • 子供や孫の成長する姿に思わず笑顔になる

こうした「小さな幸せ」を意識することで、時間が早く感じられる中でも、豊かな気持ちで過ごすことができます。

おわりに:時間の価値を見直す

60代になり、時間が加速しているように感じるのは、自分の人生をこれまで以上に深く見つめているからだと思います。そして、時間が早く感じられるからこそ、その一瞬一瞬をどう生きるかがとても大切だと気づきました。

これからも、一日一日を大切に過ごし、家族や自分自身との時間を楽しんでいきたいと思います。そして、時間をただの「経過」ではなく、「充実した経験」として積み重ねることを目指していきたいと思います。


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