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弁護士のイギリス留学”準備”体験記#4│出願書類の準備

こんにちは。
お読みいただきありがとうございます。

前回はこちら。

今回は、出願に当たって準備した書類について書きたいと思います。

なお、ぼくが書類を準備し終えたのが10月前半頃だったのでこのタイミングで書いていますが、もっと早めから準備しておくのが絶対良いです。


2021年10月前半② 出願書類の準備

学部の卒業証明、成績表

準備が簡単なところから挙げると、学部の卒業証明、成績表です。
当然ながら、英文で必要です。

ぼくが卒業した大学では、コンビニ発行サービスが使えたので、サイトに登録して、近くにあったセブイレでプリントアウトできました。

もっとも、ぼくの大学の成績表はGPAの記載がなく、大学のウェブサイトに「英文でGPAの証明書が必要な場合は別途問い合わせしてください」といった旨が書いてあったので、10年ぶりぐらいに学生課に電話して、成績表とは別に、GPAの証明書の発行をお願いしました。

ちなみに、GPAの計算の分母には落とした単位も組み入れられる一方で、成績表には落とした単位は記載されないのが一般的なので、手計算と実際の数値がずれることがあります。もはや昔すぎて覚えていなかったのですが、ぼくは単位を落としまくっていたようで、ぼくの場合は、手計算よりもかなり低いGPAが返ってきました。

以前にも書いたとおり、イギリスのロースクールの出願はほぼ学部の成績で決まるので、早めに正確な成績を知っておいた方が良いかもしれません。

また、ぼくは日本のロースクールに行けていないので、そこでの成績がどういう位置づけなのか知りません。あまりないとは思いますが、学部の成績が悪くて、ローの成績が良いの場合、どう評価されるのでしょうか。

個人的には、全員が司法試験に向けて必死で頑張る中で付けられるロースクールの成績の方が、学部の成績よりも信頼性が高いと思うのですが、どうなんでしょうね。

CV(履歴書・職務経歴書)

これも、すぐ作れます。
コンサルタントさんからも、他の書類の準備で忙しくなる前にさっさと作った方が良いですと言われました。

かちっと決まった形式があるわけではないものの、どんなに長くても2枚程度です。ロースクールのキャリアイベントに参加した際に知ったのですが、ロンドンの金融業界の就活で使うCVは、絶対に1枚にまとめるらしいですね。いずれにしても、だらだらと書くものではないと思います。

ぼくのCVの構成としては、まず名前、住所、連絡先を書いて、次に職歴、学歴と続き、最後に著書やプロボノ活動についてちょろっと書きました。ぼくたち弁護士は、基本的に、数年間の実務を経て出願することになるので、職歴のところがメインになります。イメージは、履歴書と職務経歴書が混ざった感じです。

職歴のところをもう少し掘り下げて書くと、ぼくは、データ法を中心に学ぶ予定で出願したので、そのあたりの分野の経験をピックアップして箇条書きにしました。

なお、CVのお作法として、この種の記載は動詞から始めるようです。あとは、日本の職務経歴書でもそうだと思いますが、定量的な記載が好まれます。例えば、「Advised more than 30 companies on international data transfers」といった具合です。

CVのイメージ湧いたでしょうか、、、きっと湧かないと思います(笑)
「cv for master's degree application」とかで検索してみると、山のようにサンプルが出てくるので、お気に入りの体裁を参考にされてください!

レファレンス・レター(推薦状)

イギリスでは(というか、欧米では)しょっちゅう提出が求められます。学校に出願するのも、その一場面ですね。

何通いるのか、また、どんな属性の人からのレファレンスが要るのか、学校により様々ですが、アカデミックから1通、職場から1通があれば十分だと思います。アメリカだと司法修習の教官からも1通もらわないとダメなところもあるらしいですが、イギリスでは、そういう話は聞きませんでした。

ぼくは、大学のゼミの指導教授と、事務所のパートナーにレファレンスをお願いしました。推薦者の属性が指定されておらず、レファレンスが1通で足りるロースクールについては、職場の方を提出していました。これは、ぼくが大学を卒業して10年経っており、職場のレフェリーの方がより最近のぼくを知っているだろうという理由からで、コンサルタントさんもこの方針に賛成してくれました。

レファレンスをお願いする場合、基本的に、こちらで文案をドラフトして、推薦者の方は署名するだけというパターンがほとんどです。分量はA4一枚で十分で、推薦者の所属先のレターヘッドが付いている書式で作成します。

内容は、①推薦者と出願者の関係、②出願者をほめる、③きっとあなたの大学でも活躍する、の三段落か、②のパートを×2にした四段落の構成でOKだと思います。

なお、出願はどのロースクールもWEB上で行うことができ、必要書類は全て電子データで提出します。そのため、複数の大学に出願するとしても、レファレンスは各推薦者から1通もらっておいて、コピーすれば足ります。このことを前提に、レファレンスの内容は、特定の大学への提出を意識しないという意味での一般的な内容にしておきます。

PS(志望理由書)

パーソナルステイトメントというやつです。
必要書類の中で最も時間がかかり、かつ、GPAの次に大事な書類です。

第1志望のPSは早めに作った方がよい

ぼくは、10月になってようやくPSを書き始めたのですが、もっと早く書き始めておけばよかったと思っています。つまり、もっと早く「なぜ留学に行きたいのか」を文書化して明確にした方が良いということです。

確固たる理由をもって決意したはずの留学ですが、いざPSを書き始めると、ピタっと筆が止まってしまいました。この投稿を書いているぼくは、既にPSを書き終えたぼくなので、なぜ留学をしたのか、なぜその大学を志望するのか、詰まることなく書けます。でも、当時のぼくは、それらをうまく言葉にできていなかったのだと思います。

結局、650 word程度のKCLのPSを仕上げるのに、ある週末を丸々使ってしまいました。でも、PSを作成する過程で、「なぜ留学に行きたいのか」を整理することができました。なので、これ以降に留学に関して迷うことが出てきたときにも、留学の動機に立ち戻って考えることが出来るようになり、無意味にあたふたすることがなくなったように感じています。

なお、PSは、CVやレファレンスと異なり、学校ごとに文面を変えます。もっとも、ベースとなる部分は同じなので、2通目以降はスムーズに作成できるはずです。ぼくの場合は、KCLのPSが出来上がった次の週の平日で、残りの志望校分を全部作成できました。

PSの構成 - 師事したい教授を調べる

ぼくは、PSの作成について、ぼくはSI-UKの出願サポートサービスを利用しており、どういう構成で、どういう内容を書けばよいのか、細かくアドバイスをもらいました。

この点は、おそらくSI-UKの重要なノウハウに関わるところだと思いますので、ここで勝手に公表するのは控えたいと思います。

もっとも、すごく複雑なことを書かなければいけないのではなく、なぜ留学したくて、なぜその学校を希望して、その学校で何を学びたくて、卒業後どうなりたいのか、といった基本的な内容をロジカルかつ簡潔に書けばOKです。

SI-UKのアドバイスのうち、驚いたというか、その発想は無かったというのが、PSの中で、師事したい教授について触れるということです。「博士課程でもあるまいし、、」と思ったものの、別に書きたくないというわけでもなかったので、素直に書くことにしました。

手順としては、志望校ごとに気になる教授を調べて、公表されている論文を読んで、興味深かったり自分の学びたい分野と関わりの深かったりするものをピックアップします。そして、PSに、「○○教授の書いた△△という論文は、××な理由でとても興味深かったです。機会があれば〇〇教授の下でぜひ学びたいです。」みたいな感じで書きます。

ぼくは、Law & Technologyコースの責任者を務めているLerong Lu教授の下で学びたいとPSに書いたのですが、奇しくも、Lu教授には、ぼくの修士論文のスーパーバイザーをしてもらいました。そう考えると、PS作成時点で教授陣を調べておくことも悪くないのかなと思います。


応募書類はこんなところでしょうか。
繰り返しますが、早めに準備されるのをおすすめします!

次回は、実際の出願から合格までを書ければと思っています。

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