高島利行

小さな出版社で働いております。

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最近の記事

永江朗さんの「出版業界事情:本の取り寄せは取次ルート抜きで考えるべし」を読んだ感想

上記の記事を読んだ感想です。前向きな提案に対して過去の事例やできない理由を語るのはよろしくないとは思いますがどうしても少しだけ。 まず、「取次ルート」での客注への取り組みについて若干。 客注を通常の輸送と別便(もしくは別扱い)とする方向は手書き短冊の時代から試みられていたと思います。しかし「確実に早く入る」となると店頭補充分なのに客注短冊で発注するということが発生します。本来の趣旨とは違う使われ方をしてしまうのです。こうなるとわざわざ分けた意味はなくなります。そして現状の

    • 草彅さんの『第22回「本を売る」ことに魅せられて』を読んで思ったこと

      今回は上記のnoteを読んで思ったことです。あまり深い話ではありません。というか本筋とは重ならない浅めの感想です。 草彅さんのnote、「ちゃんと記録を残してらっしゃるんだなあ」と毎回それを強く思います。私は自分のやったことの記録も残していないうえに最近は記憶も曖昧でしかもその曖昧な記憶を間違った思い込みで上書きしてしまったりということも多くてほとほと自分が信用できないというかなんというか。 なので、今回の「思ったこと」ももしかすると曖昧だったり間違いだったりがあるかもし

      • (小零細出版社では広告宣伝や販促への)反応はないのが当たり前なので

        広告宣伝の専任担当部署があるような出版社のヒトからすると理解できないと思うんだけど、広告宣伝の専任担当者がいない規模の小零細だと複数媒体で重ねて出してとか全然当たり前じゃないし「おもいきって広告(一回こっきり)出したのに全然効果がないんだよ!!」みたいな感じになりがちなんですよね。 書店販促もそうで「(一回)FAX送ったのに返ってこなかった!!」「(一回行ったけど)注文もらえなかった!!」みたいな。予算も人手も足りないのもあると思うけど、それ以前の問題もありますよね。 そ

        • "The Top 10 Publishing Trends for 2024"を読んだ感想

          こちらの記事を見ての感想です。 自費出版やセルフパブリッシングのオーサー向けの内容ではありますが、自分が最近考えたり実行していたことに近くて唸るというか「結局(規模は違っても)みんな同じようなこと考えてんだな」と笑いそうになりました。 以下がこの記事で挙げられている項目です。(DeepL翻訳) 1. 品質がこれまで以上に重要に 2. 作家はブランドとコミュニティを築く 3. プロモ・スタッキングがスタンダードに 4. 人工知能が書籍マーケティングに採用される 5. Tik

        永江朗さんの「出版業界事情:本の取り寄せは取次ルート抜きで考えるべし」を読んだ感想

          部数で考えてみる

          最初にPOSデータや売行調査の話がありますが、本題は「金額ではなく部数で考えてみる」の見出し以降になります。なので、本題から読みたい方はそちらからどうぞ。 POSデータと部数の視点 POSデータが普及する以前に雑誌の売行調査を担当していました。発売後一週目と二週目に書店に伺って店頭の在庫数をチェックします。大型店で数ヶ所で置いていただいている場合は全部の場所の在庫を数えます。ストックやバックヤードに在庫が保管してあればそれももちろん数えます。お、売れてるなと思ったら後から

          部数で考えてみる

          【取協】搬入混雑予想カレンダー(HTML書き出し用)

          湯浅さんがFacebookに投稿された「【取協】搬入混雑予想カレンダー」をさらに発展させてブログにペタンと貼れるHTMLを書き出せる「【取協】搬入混雑予想カレンダー(HTML書き出し用)」というのを作ってみました。 説明は特に無くても大丈夫だとは思いますが、ワークシート毎に簡単な説明を書いておきます。 「【取協】搬入予想カレンダー」 日付でずらっと並んだワークシートです。ここに混雑状況を入力します。日付を追加する場合は下にどんどん伸ばして過去のデータもそのまま残しておいて

          【取協】搬入混雑予想カレンダー(HTML書き出し用)

          OpenBDの書誌情報から出版社記号と出版社名の対照表を作ってみました

          ISBNコードには「出版社記号」というのが含まれています。これから出版社名を参照できると便利だなーと思うのですが、残念なことにISBNコード(とそれに含まれる出版社記号)を管理している日本図書コード管理センターでは一覧表を公開していません。 一覧表を公開してくれたら便利だよねとは思います。せめて出版社記号を投げたら出版社名を返してくれるAPIでも公開してくれたらなーとも思います。ですが、公開できない理由は色々あるので、簡単に公開してくれとも言いにくいのが現実です。 という

          OpenBDの書誌情報から出版社記号と出版社名の対照表を作ってみました

          【重要】近刊検索デルタ、店頭在庫確認リンク集、vslip等のサービスの今後について(追記あり)

          2023年7月3日、openBD API、回復しているようです。 特に発表など無いので詳細はわかっておりませんが、とにかくよかったです。 はじめにご無沙汰しております。高島です。 今日はひとりでポチポチ動かしている諸々のサービスの現状と今後についてのご報告です。 2023年6月5日以降、openBD経由でJPROからの書誌情報を取得できなくなっています。そのため、諸々のサービスそのものの継続をどうするか考えなければいけなくなってきました。opneBDの現状については以下

          【重要】近刊検索デルタ、店頭在庫確認リンク集、vslip等のサービスの今後について(追記あり)

          文字数を指定しての要約、GPT4で大きく性能が上がっていました。これは使える。

          ちょっと前にこんな note を書きました。 ChatGPTを使って書籍の内容紹介の要約を試してみたら、難題に遭遇してうまく行かなかった(けれどChatGPTによる要約には可能性を感じた)という内容です。 そこに、数日前にコメントが付きました。GPT3.5だと再現される問題がGPT4では解決されているというのです。そういうことなら試してみなければ。 ということで、本日(2023年3月23日)の近刊検索デルタのツイートで、GPT4による内容紹介の要約を試してみました。以下

          文字数を指定しての要約、GPT4で大きく性能が上がっていました。これは使える。

          書名と著者名のあいまい検索をExcelとGoogleスプレッドシートの関数でできるようにしてみました(修正あり)

          (もうこのシリーズ、金もらえるんじゃないか?) 以前、以下の記事を書いています。 今回は、ExcelとGoogleスプレッドシートの関数で書名と著者名のあいまい検索を実行して書名・著者名・ISBN・出版社名の一覧を取得できるようにしました。何を言っているのかよくわからないかもしれませんが、実際に関数を使ってみるとすぐにご納得いただけると思います。なお、データの取得元は「ほんの.いんふぉ」のデータベースですが、そのさらに元はOpenBD、OpenBDのさらに元はJPRO(J

          書名と著者名のあいまい検索をExcelとGoogleスプレッドシートの関数でできるようにしてみました(修正あり)

          「出版営業の方法」という過去記事

          もう20年も経つのか。全然進歩してないですね、自分。 2003年からしばらく、ポット出版のWebサイトで「出版営業の方法」という記事を書いていました。今となっては古い話もありますが、たまに読み返すと自分でも「オレ、いいこと書いてるじゃん」みたいな話もあったりなかったりします。 今さらですが、改めて一覧を用意しました。昔の話なので今となってみると本当に古い話やピントがボケてしまった話も多いです。その辺はご寛恕の上ご笑覧ください。 出版営業の方法 まえがき 第1回 POP

          「出版営業の方法」という過去記事

          結局、CSVが一番扱いやすいのでは?

          2023年2月10日、近刊検索デルタの各ジャンル別の近刊一覧ページにCSVダウンロード機能を追加いたしました。ジャンル別の近刊一覧がCSVでダウンロードできるという機能です。ちなみに落とせるCSVはエクセルに対応したCSVです。ご活用ください。 例として新書の近刊一覧ページにリンクしておきます。 急いで作ったので「毎回ページにアクセスする度にCSVが生成される」というやや雑な処理になっています。これだと場合によってはけっこうな負荷になってしまいます。近いうちに作り直します

          結局、CSVが一番扱いやすいのでは?

          検索にAIが組み込まれる時代に中小零細出版社が取り組むべきWebの課題について

          ちょっと前にこんなnoteを書きました。 ChatGPT、面白いなあ。試験の傾向やレベルに対応した練習問題を作ってもらったり◯✕式の問題を作ったり色々試しています。ChatGPTではありませんが、音声認識とTTS(音声合成)やイラスト生成も一気に進化しているので、そちらもちょこちょこと試しています。なにかこう「破壊的なイノベーション」の予感に期待したり怯えたりしつつも「何かが変わる」という手応えはしっかり感じております。 Microsoftは既にブラウザの検索にAIを組み

          検索にAIが組み込まれる時代に中小零細出版社が取り組むべきWebの課題について

          小零細出版社の私はどこでどういうふうにAIを使ったらいいのでしょうか(ChatGPTを使おうとしてうまく行かなかった話)

          小零細出版社の従業員としてAIをどこでどういうふうに使ったらいいか、なかなかピンと来ないまま調べたり試行錯誤したりしています。いちおう、先週の半ばぐらいから仕事に関しては少し方向性が見えてきました。なので、商用利用に関する規約や制約など色々調べ始めています。会社で想定している利用だとそこそこお金はかかりそうですが、それでも今までの○○と比べると桁がヒト桁、いや下手するとフタ桁変わってきそうです。もちろん、安い方にです。すごいな、AI。 それとは別に、相変わらずひとりでチマチ

          小零細出版社の私はどこでどういうふうにAIを使ったらいいのでしょうか(ChatGPTを使おうとしてうまく行かなかった話)

          自社サイトの見られている見られていないを同じ土俵で比べてみたい(と思いませんか?)

          先日(2022年11月28日)、一般社団法人日本ABC協会が「Web指標一覧 (2022年7-9月期)」を公開しました。 日本ABC協会については以下のページをご参照ください。 ざっくり言うと、雑誌や新聞の部数を認証・公開している団体です。さらに言うと、ここからの部数の発表は信用できる、ということになります。 この日本ABC協会では2015年から雑誌社(出版社)が運営するWeb数値を発表しています。2018年8月からはWebでの一般公開も開始しています。 ABCはそも

          自社サイトの見られている見られていないを同じ土俵で比べてみたい(と思いませんか?)

          「我が社の一冊」、今年はやりません(今さらですがどこか他のところでやりませんか?)

          自分で運営している「ほんの.いんふぉ」 にぶら下がる形で「我が社の一冊」というのを2016年からやっていました。最新は昨年開催の「我が社の一冊2021」です。 やってると言っても、各所に声をかけて参加希望社に必要な情報を入力してもらうだけです。フォームに入力いただいた情報は直接データベースに登録されます。私が表示のための細かい点など幾つか確認してからWebページとして公開していました。ページデザインは凝っていません。途中からは年度別に色を変えるぐらいかな。手抜きと言えば手抜

          「我が社の一冊」、今年はやりません(今さらですがどこか他のところでやりませんか?)