(開発秘話コラム#2) 『果汁120%ジュースは作れるか』
【果汁120%ジュース、あれっ?】
そんなジュースあるの。あるかどうかは別として、作成は可能です。なぜそんなことが可能か。その点をひも解いていきます。
ジュースは絞りたてが一番おいしいですよね。そんな美味しいジュースを提供してくれるお店も沢山ありますよね。だけど、そんなお店が自宅に近くには、たくさんあるわけでもない。どこでもいつでも気軽に飲める。そんな条件がジュースについてしまうとどうなるか。
缶ジュースやパックのジュースになってしまいますね。これらのジュースの特徴は、長期で保存して流通できることです。とっても美味しいジュースは生モノなので、実は保存が利かないのです。その日のうちに飲まないといけません。いつでも気軽にという条件が付いてしまうと全く別の商品になってしまうのですね。
【濃縮果汁】
そのような仕組みが、ジュースを作る時にも関係しています。果汁入りのジュースは、もちろん果汁を入れて作ります。その果汁も、絞ったままの状態では保存が利きません。生モノなのですぐに利用しないといけないのです。そこで絞った果汁も加工して流通させることになります。
その加工の一つとして、実は果汁から水分を取り除く行為があります。果汁から水分がなくなると、その果汁には菌が繁殖できない状態になります。そのため長期で保存することができるようになります。水分がなくなって、その果汁は濃縮果汁というモノに変わります。
【ジュース作成】
さてさて、その濃縮果汁はどのくらい濃縮されているものなのか。良く流通しているものは6倍かなと思います。梅の果実の果汁は10倍なんてものもありました。桃の果実からの果汁でも8倍程度のものもありました。
今回はその桃の果実からの濃縮果汁を使って、ジュースを作っていこうと思います。桃のジュースです。水と濃縮果汁を混ぜ合わせます。濃縮果汁は15%を使って作りましょう。残り85%は水を加えます。これは果汁15%のジュースになるでしょうか。
実は果汁15%のジュースではないのです。果汁が濃縮されていたため、果汁を元に戻して表示できます。8倍に濃縮されていた果汁が15%入っています。《8倍×15%=120%》になります。つまりジュースに120%の果汁が入ったジュースになります。できてしまいました、果汁120%ジュース。
【試飲してみましょう】
桃の果汁120%ジュースができました。さあ、試飲してみましょう。ごくごく。美味しかったでしょうか。いや美味しくないのです。桃の味が濃いのです。もしその桃がすっぱいものでしたら、かなり酸っぱいジュースです。その桃が甘いものであれが、かなり甘いジュースになるのです。あまり飲めたものにはなりません。
そうですね、作成はできるのですが、美味しくはならないのです。そのため皆さんが買うスーパーなどに置かれることはないでしょう。美味しいのは何%だと思いますか。その話は、また次回にでもできたらと思います。今回はここまで。読んで頂きありがとうございました。