(第6回)『ゼロカロリーは体にいい?』
【はじめに】
みなさん、こんにちは塔里大也です。前回の第5回では、「梅干し」のお話をしました。「減塩」が求められる世の中において、「梅」がタッグを組む相手が、「塩」から「食品添加物」に変わってしまったというお話をしました。これと似たようなお話にゼロカロリーのお話があります。ゼロカロリーでも、低カロリーでも裏側で起こっていることは同じでありますので、ここでは便宜的にゼロカロリーを例に出していこうと思います。その両者の違いは減らしたカロリーの量の違いだけです。具体的な食べ物の例としましては、イメージがしやすいようにケーキにしたいと思います。
【ゼロカロリーのケーキ】
「ゼロカロリーのケーキ」というと何か響きが良くとても健康に良いものように聞こえませんか。ケーキでなくても、ゼロカロリーのお酒やうどんなどは、みなさん良いイメージを持ちませんか。食べても太らない、ダイエットにもってこいだと感じる人もいるでしょう。私はゼロカロリーであればまったく太らないなんでことはあるのだろうかと少し疑問に思っています。例えば、水はゼロカロリーです。でも水太りという言葉もあります。その言葉とは、また違っている例にはなると思いますが、栄養失調の子供たちが沢山いる地域の写真を見たことがあります。子どもたちがみんなお腹だけ出てしまっている姿を見たことがあります。そのメカニズムは分かりませんが、私はカロリーが低い方が体に良いという考え方は危険ではないかと感じています。
【ゼロカロリーケーキを作ろう】
私は「ゼロカロリーのケーキ」というのは聞いたことがなく、おそらく実際には存在しないのでしょう。でも理論的には作れてしまうのです。ゼロカロリーの食品はゼリーやプリン、麺などで見られています。それと同じ作り方をすればケーキでも可能です。ゼロカロリーを作るためには、カロリーを持っている原材料は使えません。例えば、砂糖は100グラム当たり350キロカロリー程度持っているために使えません。その代わりにカロリーがないものを使います。砂糖と似ているけどカロリーのないものとして、精製された食物繊維を使います。食物繊維は体内で吸収されないという理由で原材料としてゼロカロリーとなっています。しかも、野菜などに含まれているような食物繊維というより、高度に精製されているため、砂糖のような状態になった食物繊維です。これを使うと砂糖のような働きを食物繊維に担わすことができます。ただし、味の部分が砂糖とは違ってしまうのです。
【新たなタッグ・人工甘味料】
食物繊維は味が砂糖と違うため新たに何かを補う必要があります。味が甘くなければ、とてもケーキとは言えないからです。そのため、名乗りを上げたのが人工甘味料です。人工甘味料はなんとカロリーがゼロ。さらに砂糖の600倍の甘さを持つものもあります。そのため少量で砂糖のような味を出すことができます。《食物繊維+人工甘味料=砂糖》のような式が出来上がってしまいました。この人工甘味料は、元々自然界には存在しなかったために食品添加物という扱いです。甘味を感じる物質を人工的に作りだした合成の甘味料となります。
【美味しいゼロカロリーほど不自然】
ゼロカロリー食品がもともとのカロリーのある食品と比べて、違和感がなかったら、それは裏側で様々な数式が生み出されているということです。ゼロカロリー食品は、もともとのカロリーのある食品とは同じようにはなりようがありません。使えない食品原材料があるからです。それでも同じ味や食感を保っているとしたら、何か不自然な物質、食品添加物で補っている可能性があります。果たしてその食品が健康に良いと言えるでしょうか。もちろんゼロカロリーでも用途においては、良いこともあるかもしれません。しかし、安易な健康に良いというイメージだけで良く考えずに手に取るのは少し待って欲しいと思っています。
【正しい生活習慣】
人間が生きていくのにカロリーは必要なものです。成人に必要な1日のカロリー摂取量は女性なら2000キロカロリー前後で、男性なら2500キロカロリー前後でしょうか。正確な数字はおそらく日ごろの生活習慣などによって変わってくるとは思いますが、いずれにしても生活していく上では、必要なものがカロリーです。ゼロカロリー食品を摂取することで調節するのでなく、日ごろの生活習慣を見直す方が大切に思えます。沢山カロリーをとる傾向があるならば、運動習慣を増やすようにしてください。あまり運動しないのではれば、食べる量を減らすなどの工夫が必要になります。食品分野は今や化学の世界にも通じるほど発達しています。少ない知識では、分からない世界になっています。そのため食べる食品の種類で健康を管理するのではなく、正しい生活習慣を持つことで健康を追求する方が比較的容易に思えます。食品についてはバランス良く食べていこうというのが現時点で言える一番の方法です。