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営業組織における数値管理の目的

営業部長やセールスマネージャーなどの管理職にとって、数値管理はチームや個人の成果を測り、改善点を特定するための便利なツールです。しかしながら、本質的な意味を理解せずに使用すると成果を阻害してしまう場合もあります。

単に目標を設定して数字を追うだけでなく、それらの定量的な数値が何を意味し、どのような行動に繋がるべきかを深く理解してマネジメントすることが求められるのです。

この記事では、営業数値管理の主な目的である「予算の達成」「状況の把握」「課題の発見」について、それぞれ解説していきます。


1. 予算の達成

数値管理は、営業チームが保有する売上予算や受注目標の達成に向けた羅針盤としての役割を果たします。KPIなど定量的な数値で目標を設定することで、目標達成の進捗をパーセンテージで表したり、予算と実績の乖離を数値で示すことが可能になります。

例えば、ある月の売上予算が5,000万円だったとして、営業日数が20日とすると、1日あたり250万円の売上が必要となります。仮に10営業日経過時点で2,500万円以上の受注が積み重なっていれば進捗は100%を超えますし、逆に、2,500万円以下であれば進捗が100%を下回ることになります。

また、同じ前提条件で受注単価が500万円だった場合に、10件受注すると売上5,000万円となるため、その場合に、月内受注見込みが10件以上あれば達成ベース、10件以下であれば未達ベースという考え方も可能です。

2. 状況の把握

営業上の数値をチェックすることで、チームの現状を客観的に把握することができます。モニタリング指標としては、売上額、粗利額、受注件数、平均受注単価、顧客あたり売上、見積金額、クロージング数、提案件数、訪問件数、電話件数、成約までのリードタイムなどがあります。

顧客セグメント毎や製品毎の売上金額、受注件数、引き合いの件数などから収益性の高い開拓先が見つかることも少なくありません。

チーム全体の数値だけでなく、個別の営業担当者の数値を把握することも欠かせません。営業成績に結びつく要素を分解し、数値で計測することで、より精度の高い意思決定が可能となります。

3. 課題の発見

あらかじめ定めた目標の数字に対して実績値との差分を求めることで、計画と現実のギャップを発見することができます。月単位、週単位、日単位、時間単位とサイクルに幅はあるものの、数値管理は、営業活動の問題点や課題を早期に発見し、改善するために重要な役割を果たします。

昨年対比や先月対比、担当者毎の対比など条件による比較から、異常値を検出することで、問題が発生している可能性を指摘することも可能です。例えば、特定の営業担当者の成約率が低い場合、その原因を究明し、適切な対策を講ずるなどが考えられます。

数値管理は、単に数字を追いかけるだけでなく、組織全体の成長と発展を促すための重要なツールです。数値に基づいた指摘を行うことで、より客観的なアドバイスが可能になります。

まとめ

営業部門の責任者や営業組織の管理を任されたマネージャーが成果をあげるうえで数値管理は基礎となるスキルです。予算の達成、状況の把握、課題の発見という3つの柱を軸に、さまざまな数字を戦略的に活用することは、組織全体の成長に寄与するでしょう。

例えば、組織全体に共有されるストレッチされた目標設定は、メンバー全員での目標達成に向けた共通認識を醸成し、一体感を高めます。そして、営業活動や顧客の情報を記録に残し、具体的な数字が日々収集される状況につながっていきます。

目的を理解し、オープンな組織風土をつくることができれば、メンバーが自発的に行動する営業組織を作ることも夢ではありません。そのようなマネジメントをおこなうために数値管理を組織運営に役立てましょう。

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