新規開拓のBtoBセールス攻略ガイド
BtoB(企業間取引)において、新規開拓は事業の成長に不可欠な活動です。既存顧客との関係を深めることも重要ですが、新たな顧客を獲得し、市場を牽引していくためには、積極的な営業活動が求められます。
新規開拓の重要性
売上の向上:新規顧客の獲得による顧客数の増加は、売上の向上に寄与します。
事業規模の拡大:新たな市場に参入し顧客を開拓することで、事業規模を拡大できます。
顧客基盤の多様化:特定の顧客に依存しないことで、市場の変化に対応し、リスクを分散できます。
新規開拓の手法
BtoBセールスでの主な新規開拓手法として以下が挙げられます。
訪問営業:営業担当者が顧客企業を訪問し、ニーズにあった製品やサービスを提案する最も基本的な手法です。
オンライン営業:Webサイトや広告などから集客した顧客企業とオンライン会議で商談し、契約締結までを実施します。
セミナー営業:セミナーやウェビナーに見込み顧客を集客し、自社の製品やサービスに関する情報を提供しながら営業します。
DM営業:メールやLINE、手紙などダイレクトメールの手法で集客した見込み客に営業します。
展示会営業:展示会に出展し、来場者に製品やサービスを訴求することで、潜在顧客にアプローチできます。
紹介営業:既存顧客やパートナー企業からの紹介を通じて、新たな顧客を獲得します。
新規開拓のポイント
営業対象の選定:自社の営業対象となるターゲット企業を選定し、絞り込むことが重要です。具体的な営業リストに落とし込めるとよいでしょう。対象を限定することでリソースを集中できます。
営業戦略の立案:リスト化したターゲット企業にアプローチの優先順位をつけます。営業対象となる顧客のリードを獲得できる媒体があればマーケティング予算を確保します。
営業活動の実行:優先順位にそってターゲット企業へのアプローチを実行します。大手企業向けの営業では顧客と信頼関係を築き、長期的なビジネスパートナーとして認めてもらうことが重要です。
データの活用:スプレッドシートやSFAなどを活用し、自社が保有する顧客情報や営業担当者の行動履歴を集積・分析することで、より効果的な営業活動が可能になります。
情報共有:商談の録画データ、電話営業の録音データ、提案資料など営業チーム全体で連携したり、失注要因、受注要因などの情報を共有することで、より効率的な新規開拓が実現します。
新規開拓における営業担当者の課題
ここでは、新規開拓における営業担当者が直面する課題を紹介します。
見込み客の発掘の難しさ
新規開拓の第一歩は、見込み客の発掘です。しかし、膨大な数の企業の中から、自社の製品・サービスに関心を持つ顧客を見つけることは容易ではありません。ターゲット顧客像が曖昧な場合、有効なリスト作成が難しく、結果として時間と労力の無駄になる可能性があります。また、競合他社との差別化が難しく、見込み客の興味を引きつけられないという課題も存在します。
初回アポイント取得の難しさ
見込み客となるキーマンと接触しても、実際に会って話を聞く機会を得なければ、商談に進むことはできません。初回アポの取得は、営業活動の中でも特に難しい部分の一つです。初めて連絡を取る相手から興味を持ってもらい、会う約束を取り付けることは簡単ではありません。断られることへの恐れや、アプローチ方法の誤りなども、アポイント取得の障壁となります。
商談での成約率の低さ
せっかく商談の機会を得ても、成約率が低いと契約に至る件数が増えません。商談からの成約率を上げるためには、顧客のニーズを的確に把握し、それに応える提案を行う必要があります。しかし、顧客側の決裁者を把握できていなかったり、提案内容が顧客の意図する課題解決に繋がらなかったりする場合、成約率は低くなってしまいます。
断られ続けることへの心理的な負担
新規開拓セールスにおいて、断られることは日常の風景です。しかしながら、何度も断られ続けると、営業担当者はモチベーションが低下し、自己肯定感が損なわれる可能性があります。断られることに対する恐れや、目標達成への焦り、周囲からの評価などが、心理的な負担となり、営業活動に支障をきたすことがあります。
営業以外の事務処理の手間
営業の仕事には、顧客とのやり取りだけでなく、資料や見積り書の作成、経費申請、システム入力、報告書作成など、様々な事務処理が伴います。これらの事務処理に多くの時間を費やしてしまうと、本来の営業活動に集中できなくなります。業務フローが非効率であったり、適切なツールが導入されていなかったりする場合、事務処理の負担はさらに大きくなります。
新規開拓におけるアポ獲得のコツ
新規開拓における商談のコツ
BtoBセールスにおける新規開拓での商談は、単に製品やサービスを売り込むだけでなく、顧客の状況をヒアリングするための非常に重要な機会です。ここでは、商談を成功させるためのいくつかのコツをご紹介します。
商談前の準備
顧客のリサーチ:会社概要、沿革、組織図、業界動向、事業内容、プレスリリース、競合、過去の取引実績などを調査します。
商談目標の設定:商談のゴール地点を設定します。(例えば、次回アポイントの獲得、製品デモの実施、見積書の提出など)
提案内容の精査:事前に想定される顧客のニーズから提案内容の候補を準備します。競合との差別化ポイントを明確にすることも重要です。
想定される質問への回答準備:商談で顧客からの質問が予想される事柄について、事前に回答を準備しておきます。
商談中のポイント
寄り添う姿勢:相手の話をじっくり聞き、共感することが大切です。相手の立場に立って考え、課題解決に貢献するという姿勢を示しましょう。
具体的な提案:抽象的な話ではなく、具体的な数値や事例を用いて提案を行います。顧客の得る便益を明確に示すことが重要です。
競合との差別化:自社の製品やサービスの強みを明確にし、競合との違いをアピールします。
質問を促す:顧客からの質問を促し、積極的にコミュニケーションを取りましょう。顧客の疑問点を解消することで、信頼関係を築くことができます。
クロージング:製品導入や契約の意向を確認します。決めきれない場合は、次のステップへの誘導を忘れないようにしましょう。
商談後のフォロー
商談内容の整理:商談内容を記録し、今後の営業活動に活かします。顧客にも議事録を共有し、次回アクションを明確にします。
商談結果の確認:商談の結果をもとに、導入検討の意向や先方社内での反応などについて確認します。
必要書類の準備:顧客側の必要性に応じて、NDAの締結や初回取引に必要な書類の準備をおこないます。
追加提案の実施:商談が前に進む余地があれば、より具体化した内容で追加提案を行うことも有効です。
迅速な対応:顧客からの質問や問い合わせには迅速に対応します。小さなことから期待に応えることで、信頼を築くことができます。
まとめ
新規開拓は、企業の成長に不可欠な活動である一方で、多くの課題が存在します。しかし、適切な手法と戦略を用いることで、これらの課題を克服し、成果につなげることが可能です。以下の3点をおさえておきましょう。
営業対象を絞り込み、ターゲットにあわせたアプローチを行う
商談のヒアリングで顧客の状況を理解し、適切な提案をおこなう
商談前後の準備とフォローアップを徹底し、顧客から信頼を得る
営業担当者の課題は多岐にわたりますが、それぞれの課題に対して具体的な対策を講じることで、より効率的かつ効果的な営業活動が可能になります。
ターゲット顧客の企業規模や業界、営業の種類などによって適切な営業手法は異なりますが、顧客のニーズを理解し、それに応える提案を行う点は共通する要素です。また、チームメンバーとの連携を強化し、組織全体で新規開拓に取り組むことも重要です。