ミスはどこから?
皆さんは、ミスはどこから来ていると思いますか??
トラップミス、パスミス、シュートミス、ミスは色々あると思います。
良くミスをすると、ああ、パスの練習をしなければ、トラップの練習をしなければ、と思いますし、きっと選手が記入しているサッカーノートにもそういったことが書かれているのではないかと思います。
では、そのミスはどこから来ているのでしょうか??
もちろん、本当にテクニックのミスも多くあると思いますが、それが全てであれば、プロはほぼミスをしないことになってしまいますが、実際はそうではなく、試合中に多くのミスを起こします。では、ミスは何が引き起こしているのでしょうか。少し違う視点から考えてみたいと思います。
結論からいうと、テクニック以外のミスの大きな原因は、『不安・恐怖・迷い』です。
守備時に使われる言葉『プレッシャー』は、相手の時間、スペースを奪い、相手を追い詰める方法ですが、同時にボール保持者が感じていることは、不安と恐怖です。ボールを失ってはいけない、ボールをしっかりとコントロールしなければならない、など、色々なことを考えてしまいます。
そして、実行の直前に来るのが意思決定の迷いです。選択肢、相手の動き、自分の体勢などの大量の情報を処理しきれず、実行する選択肢に迷いが生じてしまいます。
実はこの『不安・恐怖・迷い』の話は、勉強する意味ってなんなんだろう、の回にも少し影響すると思っています。
昔は雷や地震が、神様の仕業や動物の仕業だと思われていたように、不安なこと、恐怖を感じることがあると、勝手に想像を膨らませ、勝手に恐れを感じ、勝手に因果関係を作り出してしまう機能が人間には備わっているのです(おばけとかもその類かもしれません)、ここで、もう一つ深く掘って、そういった時の不安や恐怖の原因ってなんだったんだろうと考えてみると、『無知』、知らないこと、なんですよね。
もちろん、その時代に科学が発展していなかったので、仕方がないことなのですが、そこから人類は研究を重ね、知識を得て、雷や地震を正しく恐ることができるようになりました。その点において、勉強は、無駄に恐怖しないため、無駄に不安にならないためにも必要なことかもしれません。
少し話が逸れてしまいましたが、この話をサッカーに戻すと、ボールを受ける前の恐怖や不安、迷いを引き起こす無知は何に当たるのでしょうか?
もう、聡明な皆様であれば、お気付きだと思いますが、そう、周辺の情報収集です。
相手選手との距離感が分からなければ、勝手に相手が近くまで来てるのではないかという恐怖を掻き立ててしまいますし、味方の場所を把握していなければ、パスの先に味方がいるのかどうか不安になってしまいます。
周りを見ることを重要視する指導者の方々は増えてきており、選手にとっては大変嬉しいことだと思いますが、これからは選手が何に不安を感じ、恐怖を感じているのか、何を見ていないから、または何を知らないから、引き起こされている不安や恐怖なのか、ということまで深掘りして、一緒に解決策を考えてあげることができれば、選手はもう一つ大きく成長してくれるかもしれません。(「周りを見て」、「相手を見て」だけでは、本当に選手の不安や恐怖、迷いを取り除くことは難しい可能性があります)
そして、もう一つ、不安と恐怖を取り除く重要なファクターとして、非常に重要なのは、安全地帯を持っておくということです。最高ではないし、最適でもないけど、及第点の選択肢を持っておくこと。例えば、GKへ戻す、ボールを蹴り出す、相手の裏にロングボールを蹴る、など、緊急回避の選択肢を持つことで、相手にゴールされる可能性を低くすることができることもあります。
このような安全地帯の意識を持っておくだけで、最悪この選択肢があるから、という心の中に少しだけ余裕を持たせられる可能性が出てきます。(もちろん、安全地帯にずっと閉じこもっている選手にチャンスは来ないですが。。。)
安全地帯があれば、少なくとも一つの選択肢はあるわけですから、もう一つの選択肢がダメであれば、そちらを洗濯するだけでよい、と言う簡単な2者択一になり、より判断が簡単になり、迷いも生じにくくなり、意思決定のスピードも上がる可能性が高まります。スピードが上がれば、相手からのプレスから脱出できる可能性も高まり、自ずとミスも少なくなる可能性は高まるのではないかと言う、私の考え方です。
もちろん、賛否両論あると思いますが、私はミスの8割はボールを受ける前に決まっており、上手い選手と言われる選手は、ボールを受ける前に選択肢が決定しており、ボールが足元に入ってきた時には、その選択肢を実行するか、キャンセルするかの2択で判断することで、プレイリズムが上がると信じて指導を行っております。
長くなってしまいましたが、ミスってどこからきているのだろうと言うことを少し、考察してみました。