私のセンター試験
どこで点と点が繋がるかわからない。
スティーブ・ジョブズの有名なconnecting dotsのようなお話である。
私は地元の公立中学校から中高一貫校に途中で編入した。その高校は所謂、全国有数の進学校であった。
私はそこに補欠で入り、ビリからのスタートだった。
センター試験の当時、今もそうかはわからないが同じ高校がある程度同じ教室に集められた。
文系理系の学年No.1と不幸にも同じ教室になり、漂う余裕ムード。中には当時流行していたモンスターハンターをしている者もいた。
「マジか」
と、呆気に取られたが
「逆に考えよう。緊張感なくいつも通りにできる環境なんだ」
とポジティブに捉えて乗り切ろうとした。
しかし、不幸は続く。
彼らは自分の解答に自信がある。
それぞれの得意分野で「自己採点」がその場で即始まったのである。
やらないでおこう、と決めていた私のプランはものの見事に崩れ去ることになった。
数学、英語と彼らから抜け漏れてくる言葉から、おそらく自分の点数がおおよそわかっていく…
そんな中、不意に私に話が振られてきた。
「◯◯、これわかるか?」
入試エリートがわからない問題は、俺にもわからねーよ… と思いながら見てみると、内容は世界史だった。
時代背景と作者から芸術作品を選ぶ問題
「あれ?こんなのわからないの?」
ひょっとすると単純な暗記問題でたまたま彼らのアンテナ外だったのかもしれない。(正確には世界史は暗記なんかではなく、彼らは暗記もできるとは思うが)
私はたまたま即答できた。思わぬ形で彼らに「貢献」できたのである。
…
私は公立中学時代、熱心な美術の先生に「これだけは世に出るなら覚えておけ!」と作品と作者をまとめられたものを渡された。そこにたまたまヒットしたのだ。(結局、暗記?)
私は彼女の美術の授業が楽しかった。
きれいに書けではなく、書く楽しさを教えてくれた。単なる暗記ではなく、技法が生まれた背景とさらにその実践。美術の成績は野球部の友人に馬鹿にされる程良くなかったが、好きな授業だった。
暗記は暗記でも、思い出形暗記と呼べばいいのか。
変な劣等感があった私が思わぬ形でメンタルリセットした瞬間だった。
後にジョブズのエピソードを知ることになるが、全然レベル感は違うが、思わぬ形で好きなことが繋がることがあるものである。
彼女が単なる暗記をさせていたら、ここまで覚えていなかっただろう。
美術の流れを論理的に、時には実践を交えながら、表現する楽しさを身をもって教えてくれたことに感謝しかない。
受験生の皆様、今日が終われば少し落ち着くと思います。
結果は変えられないものの、自分が経験したことは一生の財産。
過去は後悔しても変わらないものの、未来はこれから描ける。
少しでも繋がる点と点が増える、実りある人生を歩まれることを祈っています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?