音楽家と歴史・社会 -9: 愛妻家エルガーの音楽世界
主にクラシック音楽に係る歴史、社会等について、書いています。今回は、エドワード・エルガーと妻のアリスについてです。
今夜、初めてそれも20分だけ、日本テレビ「リバーサルオーケストラ」を観た。NHK「歴史探偵」を少し見た後、日テレのボタンを押すと、平田満がオーボエを持って、「エルガーがどうのこうの」と言って、「愛の挨拶」を吹き始めた。施設か何かでの演奏会らしく、妻役の宮崎美子が車椅子でニコニコとして拍手している。
このエピソードは、エドワード・エルガーと妻アリスの睦まじい愛を示しているのだろう。サー・エドワード・ウィリアム・エルガー(1857年-1934年)は、イングランドのウスター近郊で生まれた。少年時代は、ヴァイオリニストとしての成功を嘱望されていたが、次第に作曲にいそしむ様になる。代表作は、「エニグマ変奏曲」、行進曲「威風堂々」、チェロ協奏曲等である。
29歳になったエルガーは、陸軍少佐の娘で詩歌や散文の出版経験もあるキャロライン・アリス・ロバーツを弟子とする。アリスは、エルガーより8歳年上で上流階級の出身であったが、家族の反対を押し切って、1889年、エルガーと結婚した。
アリスは、エルガーが世間の注目を浴びるよう、マネージャ、秘書となり、彼の作品に的確な批評を与えるとともに励まし、献身的に尽くした。それにより、アリス自身の才能を活かす機会を失ってしまう。アリスの日記には、「天才の面倒を見るというのは、いかなる女性にとっても生涯の仕事として十分なものです。」との言葉が残されている。エルガーは、ヴァイオリンとピアノのための小品「愛の挨拶」を彼女に捧げた。
1899年、エルガーは「エニグマ変奏曲」を発表。エルガー夫妻は、この変奏の各曲に、自分達夫婦と友人・知人を当てはめた。この変奏曲全体を通した謎があるらしいが、作曲者以外には、アリスしか知らない。このうち、第9変奏 "Nimrod" (ニムロッド)は、ベートーヴェン作曲ピアノソナタ第8番第2楽章(「のだめ」でも有名)にヒントを得たものだ。
私自身は、大学2回生の時に聴いたチェロの「愛の挨拶」が好きだ。
(愛さえあれば)どんな楽器にも合うので、いつか誰かと一緒に演奏してみたい。
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