IAF-ILAC合同年次総会に参加して(その2)
カナダのモントリオール市で開催されている 認定機関(Accreditation Body)の国際会議は、予定通り終了した。
私は、国際認定フォーラム(IAF)のメンバーである一般社団法人情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC)の代表理事として参加した。
前回の投稿(その1)で、認定(Accreditaion)とは、認証機関や試験所など様々な適合性評価機関(Conformity Assessment Body)がISO/IEC が定める要求事項に適合しているかを審査して、その結果を認定する(Accredit)活動であると書いた。
また、認定機関(Accreditation Body)の位置づけは、世界各国で異なっており、(1)EU加盟国、(2)米国、(3)中国、(4)日本、韓国その他等で、法的な位置付けが異なることを紹介した。
今回、IAFとILACの統合を巡り、いくつかの対立点があったが、その多くは、EU加盟国と米国の認定機関の考え方の差によるものである。
まず、EU加盟国の認定機関(Accreditation Body)は、一か国1認定機関であることがEU指令で定められており、認定活動は基本的には自国内の適合性評価機関に対して実施している。国や地域を越えての認定(Cross Border Accreditation)については、正当な理由が必要としており、慎重である。
他方、米国の認定機関(Accreditation Body)の主流の考え方は、グローバルな認定活動を積極的に進めていく、すなわち適合性評価機関の(Conformity Assessment Body)の認定(Accreditation)をビジネスとして捉えている。
日本の認定機関(Accreditation Body)は、EUと米国のどちらでもない。独立行政法人製品評価技術基盤機構の認定センター(IA Japan)が実施している計量法に基づく校正事業者登録制度 (JCSS)や産業標準化法に基づく試験事業者登録制度 (JNLA)等が法的な位置付けを有するものの、工業製品のみならず、農林水産品、食品衛生、医療福祉、情報通信など、多岐に亘る適合性評価の活動を横断的に診る政策がなく、各府省庁が個別の法令等に基づく適合性評価制度の運営を、独立行政法人や公益財団法人等に委任しているのが実情だ。
適合性評価活動は、一般的には、民間の適合性評価機関(認証機関、試験所等)が行うが、それらの力量を審査し、国際的な水準を維持させる点で、認定機関(Accreditation Body)による定期的な審査及び認定が国際的には求められる。
しかし、日本国内の適合性評価機関の規模は比較的小さく、海外展開もほとんど行っていない。いわんや適合性評価機関に対する認定を行う認定機関(Accredition Body)については、その存在自体がほとんど知られていないのが実情だ。
このため、グローバルな適合性評価活動を行う認証機関に対する認定(Accreditation)のあり方を巡るEU加盟国と米国の対立について、私も含めた日本の認定機関の関係者は、彼らの議論の推移を見守ることに止まっている。
他方、デジタル化の進展の中、認証局やリモート署名などトラストサービスの技術標準及び適合性評価に係る制度作り、日本がG7議長国として存在感を示したいAIの安全性に係る国際的なルールの構築等が求められている。
個人的には、デジタル分野における国際標準に基づく適合性評価の意義と認定機関(Accreditation Body)の役割について、議論が活発化することを望む。
IAF-ILAC JOINT ANNUAL MEETINGS 2023 | (ilaciafmeetings.org)
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