IAF-ILAC合同年次総会に参加して(その1)
今週、私は、カナダのモントリオール市で開催されている 認定機関(Accreditation Body)の国際会議に参加している。
国際認定フォーラム(IAF)のメンバーである一般社団法人情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC)の代表理事としてである。
認定(Accreditaion)とは、認証機関や試験所など様々な適合性評価機関(Conformity Assessment Body)が、ISO/IEC が定める国際規格の要求事項に適合しているかを審査して、その結果を認定する(Accredit)活動である。
認定(Accreditation)は、認証機関の認定と試験所の認定の2つに大別されており、前者がIAF(International Accreditiaon Forum)、後者がILAC(International Laboratory Accretitation Cooperation)という国際的な団体を構成している。
今次合同総会では、2024年を目処に、この2つの認定機関の団体を統合し、世界で唯一の認定機関フォーラムを設立することが確認された。
さて、多くの国では、単一の認定機関(Accreditation Body)が、認証機関の認定と試験所の認定の両方を実施しているが、その法的位置付けは、各国によって大きく異なる。
(1)EU加盟国を中心とする欧州諸国
EU加盟国は、欧州指令に基づき、各国毎に一つの認定機関(Accreditation Body)が設置され、当該国の政府から認知されている。そして、その仕組みを世界に広げるために、ISO/IEC等に基づく適合性評価制度の普及に熱心である。ちなみひ、EUに加盟国していないウクライナ、ロシア、トルコなども政府主導の単一の認定機関を設置している。
(2)米国
ISO/IECに基づく適合性評価制度については、あくまで任意の仕組みとされており、法令による縛りはない。約7つの認定機関(Accreditation Body)がそれぞれの特質を生かして、ローカル又はグローバルな活動を実施している。
(3)中国
国務院の国家認証認可監督管理委員会(CNCA)傘下の中国国家認定サービス(CNAS: China National Accreditation Service)が、法令に基づき、認定事業を独占している。
(4)日本、韓国その他
EUと米国の中間で、複数の認定機関(Accreditation Body)で、かつ、官と民の団体が存在している。日本のIA Japanは、独立行政法人製品評価技術基盤機構の一部門であり、経済産業省が管轄しているが、公益財団法人日本適合性認定協会(JAB)は、民間団体である。また、韓国のKABも民間団体である。
私が代表を務める(一社)情報マネジメントシステム認定センター(ISMS-AC)は、民間団体で、かつ、ISMS等情報分野のマネジメントシステムの認証機関の認定(Accreditation)だけを行なっている、世界的にも例をみない認定機関(Accreditation Body)である。
自国の工業製品、農林水産物、食品、健康サービス、情報セキュリティ等の適合性評価機関に対する認定(Accreditation)は、自国の法律あるいは資本で管理されるべきと、私個人は考えている。しかし、約10年前に経済産業省において私自身が進めていた、適合性評価に関する政策は、ほとんど進展していないのが、実情である。
今回の出張においても、日本の認定機関(Accreditation Body)に係る実態(法的位置づけが不十分)が、日本の産業競争力の足枷になりかねないと、改めて実感した。