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NCニュースの読み方 #5 「何がITプロフェッショナルのやる気と満足度を高めるのか」 (2005年7月18日)

 米コンピュータワールド誌は6月27日、「ITプロフェッショナルにとって最高の職場トップ100」を発表した。この調査は、今年で12回目になる。総合評価で最高の職場に選ばれたのは、Quicken Loans Inc.、以下 University of Miami、American Fidelity Assurance Co.、American Century Investments、Network Appliance, Inc.と続いている。

 この調査は3段階で実施されている。まず、2004年の売上が2億5000万ドル以上、米国内の従業員が500名以上、かつITプロフェッショナル(スタッフと管理職)が米国内に100名以上いる企業(大学などを含む)から候補企業を選び、この候補企業に対してITプロフェッショナルの平均給与や、女性比率、マイノリティー比率、離職率、教育や訓練の機会などに関するアンケート調査を行い、労働環境が優れている企業100社を選ぶ。そして、その100社に勤務するITプロフェッショナルに対して、給与や労働環境、処遇、教育訓練の機会に対する満足度などを調査するという方法である。従業員調査の回答者数は、2万435人である。

 まず、企業調査の結果から、いくつか注目すべき数字を紹介しよう。このトップ100社の平均像は、売上高が93億ドル、創業73年で、総従業員数は約3万4600人、このうちITプロフェッショナルは1045人である。これらの数字は、トップ100社にフォードやフェデックスなどの大企業が含まれているため、かなり大きくなっている。また、ITスタッフに女性が占める割合は34%、IT部門の管理職に占める女性の割合も34%、ITプロフェッショナルの教育・訓練のための予算は平均1899ドル、ITスタッフの教育・訓練日数は年間7日間、ITスタッフの離職率は7%、一週間の平均労働時間は42時間である。

 次に、従業員調査の結果であるが、社員の勤労意欲が「非常に高い」「とても高い」「高い」と答えた割合は78%であり、基本給について「とても満足」「満足」と答えた割合は71%、仕事と私生活のバランスについて「とても満足」「満足」と答えた割合は71%であるが、ボーナスについて「とても満足」「満足」と答えた割合は57%とやや低くなっている。また、ストレスを「とても感じている」「感じている」「多少感じてる」と答えた割合は81%となっている(表参照)。

 コンピュータワールド誌は、今回の調査結果を分析し、労働環境がよい企業ほどITプロフェッショナルのやる気と満足度が高くなっており、給与やボーナスといった報酬も重要であるが、やりがいのある仕事、最先端の技術に接する機会、キャリアと能力の向上、仕事と私生活のバランスなどの要素がITプロフェッショナルの満足度を高めていると結論している。これは、「やる気こそプロジェクト成功の鍵」という副題がついたトム・デマルコとティモシー・リスターの名著『ピープルウエア』に通じる結論である。

 システム開発プロジェクトの終盤になると徹夜や休日出勤は当たり前になっている日本の情報サービス企業のITプロフェッショナルからみると、この100社の職場環境は夢のような世界に見えるかもしれない。

トップ100社の従業員調査の主な結果
○社員の勤労意欲が「非常に高い」「とても高い」「高い」と答えた割合:78%
○会社の教育・訓練プログラムについて「とても満足」「満足」と答えた割合:73%
○会社の医療補助について「とても満足」「満足」と答えた割合:72%
○基本給について「とても満足」「満足」と答えた割合:71%
○仕事と私生活のバランスについて「とても満足」「満足」と答えた割合:71%
○ボーナスについて「とても満足」「満足」と答えた割合:57%
○ストレスについて「とても感じている」「感じている」「多少感じている」と答えた割合:81%

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