BCN 視点 #50 「未公開ベンチャーの資金調達」 (2014年4月10日)
3月12日、調査会社のジャパンベンチャーリサーチ(JVR)から2013年の「未公開ベンチャー企業資金調達の状況」が発表された。この調査はJVRのデータベースに登録されているベンチャー企業(約7500社)を対象としたものなので、すべてのベンチャー企業をカバーしているわけではないが、ベンチャー企業の資金調達の傾向をみるにはとても役立つ。調査結果によれば、2013年中に315社が合計584億円(前年比12%増)を調達しており、1社あたりの調達(中央値)は5000万円となっている。2012年は2000万円なので、2.5倍に増加している。ステージ別にみると、シード・アーリー期(創業から3年未満)の資金調達が活発で、社数で全体の66%、金額で43%を占めている。
また、調達額が不明な企業を含めると472社が資金調達を行っているのだが、この472社を業種別にみると、IT関連が44.5%を占めている(IT関連のなかではソフトウェア系企業が最も多く、全体の26.3%を占める)。次いで多いのは消費者向けサービス(22.7%)、ビジネスサービス(17.6%)、バイオ・医療・ヘルスケア(7.2%)、エネルギー・環境(7.0%)となっている。
注目すべきは、他業種に分類されていても、インターネットをビジネスモデルに利用している企業が多いという点である。インターネットビジネスモデル企業はなんと全体の約8割を占めている。周知の通り、クラウドコンピューティングを含むインターネット上のさまざまなサービスの発達によってインフラコストは大幅に低下しており、ソーシャルメディアを利用すれば極めてコストパフォーマンスのよいプロモーションができる。こうした環境の変化を考えれば、インターネットをビジネスモデルに組み込んだ創業が増えており、そんな企業が積極的に資金調達しているのは当然のことだろう。
昨年6月に閣議決定された日本再興戦略には、「産業の新陳代謝を促すことで、開業率が廃業率を上回る状態にして、開業率・廃業率が米国・英国レベル(10%台)になることを目指す」と書かれている。この目標を達成するためには、インターネットを活用したベンチャー企業を官民が連携して積極的に支援し、成功事例を増やしていくことが必要ではないだろうか。
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