3月17に、国交省で「第4回不動産IDルール検討会」が開かれたことに伴い、1月28日の第3回の議事概要が公開(PDF)されました。
こういう話しがぞろぞろと出てくるのは当然で、何度も何度も言っていますが、本来こういった相互運用性の話しは、中立的な「標準化団体」という独立した組織を作って、そこで関連する人・組織・企業が集まって広く透明なプロセスで仕様やルール・ガイドラインといったものを決めていくのが定石なんです。
これ、ウェブに限らずITの技術をやるひとにとってみれば基本中の基本の話であります。
このnoteでも度々紹介してきた、米国のRESO(Real Estate Standards Organization)というアメリカの不動産業界における標準化団体では、Web APIはもとより様々な仕様を標準化しており、そのなかに当然のことながらIDの仕様も含まれています。
(追記>「米国版『不動産ID』、RESO UPIの事例を紹介」を書きました)
不動産業においては、海外の規格をそのまま使うことが出来ません。
よって、日本では日本の状況にあわせて独自に標準化を行う必要が出てくるのです。
去年の7月に書いた「『不動産ID』についてひとこと 」でも、ウンザリ気味に書きましたが、「本来は、不動産IDの仕様なんて、不動産業界が自主的に標準化の一環として、とっくのとうにやっておくべきことのひとつにしか過ぎない」ことなのです。
国で「検討会」を開くことでもなければ、国が決める事でも絶対に無いのです。皆んなが使う皆んなで決められる皆んなのもの(オープン標準)であるべきだからです。国が主導して絡むと動きが極度に遅くなります。官僚は使う当事者でもなければ何が必要かの知識すらありません。特定の企業が主導して絡むと競合他社は使わないでしょう。
だから「不動産業界団体が主導し、標準化団体なりで標準化をやるべき」なのです。
今回の国交省での検討会も、ただ単に2020年の政府答申(PDF)で「不動産IDとしての不動産登記簿のIDの活用」するよう「国土交通省が主体的に各種取組を進め」るべし、と直にお叱りを受けたからなのかもしれませんが、国や官僚が出てくると大抵ろくな事になりません。
「不動産ID」に限らず、決めなければならないことは沢山あります。
私が2002年に不動産業界に提案し、それをまとめた「不動産情報デジタル標準化の覚書」で「不動産業界団体が主導し、標準化団体なりで標準化をやるべき」とずっと主張してきたことであります。
日本の不動産業関係者はみな、「お上がやることでしょ」と思考停止してきただけなのです。
日本でやっと少し「みんなで検討して決める」という機運が出てきたこの機会に、「標準化団体」設立へ動くべきでしょう。
追記:「不動産の標準化組織 RESO(Real Estate Standards Organization)とは 」を書きました。
続き:相変わらず酷い 〜 国交省が、「『不動産IDルールガイドライン』を策定」して公開したのだけれども・・・