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デジタル庁の「政府相互運用性フレームワーク」なるものを流し読み>20年遅れだよ、ホントに

デジタル庁が「政府相互運用性フレームワーク」なるものを公開したとのことで、流し読みしてみました。(ほぼ、メモ走り書き状態です)

「政府相互運用性フレームワーク」とは

こちらのデジタル庁サイトの説明によると、「政府相互運用性フレームワーク = デジタル・ガバメント推進標準ガイドラインのもと、データの利活用、連携がスムースに行える社会を実現するための技術的体系」

だそうです。

フレームワークって言っても、ここでは行政システムを開発・管理する上での「データについての基本手引書」みたいな感じでしょうか。

私が読んでもしょーがもないことばかりで行政の中のIT部門系の人達向けかな、と思いつつ一応目を通すことに・・・。

追記

なお、本体系は、デジタル庁が、独立行政法人情報処理推進機
構デジタル・アーキテクチャ・デザイン・センター(IPA DADC)の協力のもと作成している。

政府相互運用性フレームワーク(GIF)を公開しました

IPAのDADCが関わってるのか。どうりで。(少し安心、というか)

主題と目的はヨシ

先月書いた「不動産業における『デジタル化』とは何か」の中で、しつこいくらい「相互運用性」を太字で連呼しましたが、WebサービスAPIを設計する上では大前提の話しなので、プログラマーであれば知っていて当然のはずのことです。

行政システム向けにおいても、第一にしつこいほど連呼するのは良いことでしょう。

相互運用性とは何でしょうか?
データを活用したり連携するときに、データの型式がバラバラだったり、同じデータ名なのに違う内容だったりすると困りますよね。それを防ぐために相互運用性という考え方があります。

相互運用性というのは、単にデータ形式があっているかということではなく、そのルールや支援ツールも含み、運用するのに必要な条件がすべてそろっている状況を言います。例えば、データは機械的に交換できるけれど、利用規約が違うので使えないとか、受け取る側の組織にデータを活用する担当者がいないのでは円滑にデータを交換することができません。

政府相互運用性フレームワーク(GIF)を公表しました!

盛大に化けた

デジタル庁のページからZipファイルをダウンロードして解凍してみました。

が・・・見事に文字化け。

ま、しょうがない。(長年のLinuxユーザーとして到達した達観

*ただ、MSのdocxファイルはマズイでしょ。Markdownも良いとは言えない。行政向けとしても想定されて作られた、国際標準のOpenDocumentがあるでしょうに。

追記:>デジタル庁がマイクロソフトに「ベンダーロックイン」させ(られてい)る件

日本のデータ標準化の遅れ

「全体概要」と題するファイルを流し読みしていたら、始めの部分で下記のような一文を見かけて非常に感慨深いものがありました。

行政機関では多くのデータを管理していますが、そのデータは独自の形式である場合が多く、標準化されていませんそのため、データの再利用が困難であったり、外部とのデータ連携においても大きな障害になっています。また、データ形式が標準化されていないと、データ連携ができないだけでなく、データの整形に多くのリソースを割くことになり、分析にも支障をきたします。AIやビッグデータの活用が注目されていますが、そのインプットとなるデータが十分に整備されていなければ、目的の結果にたどり着くのが困難になります。
欧州や米国では、行政データの標準化を進めることで、社会全体のデータ標準化につながっていくものと考え、欧州委員会(EC)は、各国の個人、法人、場所情報等が活用できるようにSEMIC1という行政データ標準化のプロジェクトを推進しています。米国では同様にNIEM2というプロジェクトが進められています。

コアデータモデル全体概要 2022年(令和4年)3月31日
デジタル庁

証明、通知データの標準化を通じて、審査の自動化、迅速化、正確性の向上の実現を目指します。申請者の利便性の向上のみならず、行政職員の生産性の向上、行政の透明性の向上も実現できます。

やっと政府の官庁からこういう文面が出されるようになったとは・・・本当に感慨深いものがあります。

先月書いた「不動産業における『デジタル化』とは何か」の文面をそこはかとなく連想させます。

単に「情報をデジタルにしています」、というだけのレベルだと、それぞれが独自固有のデータベース、印刷向けのPDF、表示用のHTML、表計算のエクセル、・・・等々、皆がてんでんばらばらのデータ形式で、互換性が無いので相互運用性も無い、ということです。
いわゆる「データ連携」もできない状態。日本の行政のやっていることなんてこれの典型です。(まぁデジタル庁も出来てなんとかすると言っていますがどうなることやら)

不動産業における「デジタル化」とは何か

それこそ「不動産情報デジタル技術標準化の覚書」なんて、本当に20年前の宅建協会向け「提案書」に遡りますからね。

宅建協会への提案書 平成14年(2002年)10月1日付

*本当に若き頃の稚拙(ヘタクソ)な文面を見るのは恥ずかしい。

これ、日本の行政は20年以上遅れている、ということの証明のようなものですからね。

まず日本の行政は猛省すべきでしょう。デジタル庁も偉そうにしてんじゃないよと、と言いたいですね。英語文を公開するのだって、世界に向けて日本は如何に遅れていますアピールにしかならないから恥ずかしいことですよ。

当然ながら、日本の不動産業界においては余裕で30年遅れに向けて順調に停滞したままであります。

APIは各省検討?

データの提供は、公開することよりも、そのデータが活用され効果を上げることに意義があり、また、活用を促進するためには、活用しやすい方式でデータを提供することが必要です。その観点から、我が国の政府機関においても、徐々にApplication Programming Interface(以下「API」という。)によるデータ提供事例が増えてきているところですが、その提供方法等に関しては、各府省が個別に検討しているという状況です。

API導入実践ガイドブック

各府省が個別に検討中・・・うーん。

WebAPIは、プログラムから利用する場合のインタフェースと呼ばれることが多く、従来は、企業向けのサービス間通信/システム連携としてSOAP(Simple Object Access Protocol)が使われてきました。しかし、現在は、高機能かつ複雑な標準となり、新たな簡単に操作可能なアーキテクチャスタイルとしてREST(Representational State Transfer)が推奨され発展してきています。

API導入実践ガイドブック

SOAPとか先日もちょっと書きましたが超懐かしいw、ええ、キホンRESTでよござんす。

余談ですが、当時は、XMLは普及して既にメインストリーム化していたものの、「REST」なんて概念も普及してなく、Webサービスとしてはマイクロソフトなどが推していたXML-RPC系統の「SOAP」が最新テックでしたね。

そんな時代なので、「日本の不動産情報を標準化すべきなんでは?」と、2002年に自分が日本の不動産業界に提言した内容は「XML」と「HTTP」で、みたいな今で言うREST風のものでした。(当時書いた文章は読めたもんじゃない・・・若かったなぁ)

その後、2000年代なかばぐらいからWebサービスで「REST」が普及してきた感じです。(日本でも、オライリー本の「RESTful Webサービス」が出版されたのは、2007年)

2010年頃までにはREST のWeb API が主流となり、世の中のブログブームによってブログ投稿APIやRSS/Atomフィードの普及でこれらテクノロジーが一気に身近なものに・・・(熱い時代でした)。
余談終わり。

不動産の標準化組織 RESO(Real Estate Standards Organization)とは

民間の個人レベルで普及して当たり前になっていることが、行政ではそれから10〜15年ぐらい経ってやっとか・・・と。

標準的なAPIの調査の結果、当該分野にデータモデルの国際標準がある場合には、それを活用することが推奨されます。業界固有のデファクト標準が普及している分野(流通、物流、医療等)については、将来の発展性を勘案した上で、デファクト標準の活用が推奨されます。

API導入実践ガイドブック

当然ながら、不動産業界は含まれないwww

しかも、標準化団体等で策定されたものではなく、デファクトスタンダード化したものばかりなのか・・・。

通常なら、その分野において最も多く使われているか、またはもっとも良いAPIの仕様が選択され残って(選択の自由と適者生存)自然と同じものに収れんして「デファクトスタンダード」が出来ていくか、皆で集まって仕様の「標準化作業」をするかのどちらかです。

デファクトスタンダード化する、とは全国メディアが発達するにつれて「方言」が廃れて「標準語」化していくのと似ています。

「日本、気づけばガラパゴス 不動産API連携に後れ」

以前も書いたけど、よっぽど日本は「標準化作業」が苦手な国なんだなぁ。

日本では「標準化」といった社会活動がまるで無いのです。というかそもそも概念すら一般には知られてもいない。
唯一ともいえるのは、「やっぱ海外とビジネスやっていくには国際標準がカギ」と気が付いた分野で話題になる程度(金融やモバイル通信ぐらいか)。日本のIT業界ですら、単に欧米の標準をありがたがってそのまま使っているだけ。

標準化が進まない日本〜理由は「自分が損をしてでも人の足を引っ張ろうとする日本人」?

その他

中には、民間におけるシステム開発においても使えそうなのもあって、住所情報の管理の基準なんてのがありました。こういうのは国際標準が無く、住所情報なんてもろに日本独特のクセのある(良く言って変態的)ものなので、毎回悩むんですよね。

令和4年より一元的な住所情報の管理を目的としたアドレス・ベース・レジストリがデジタル庁によって整備・公開されることから、アドレス・ベース・レジストリとの相互運用性を確保するためコードを用いた管理を推奨します。全国地方公共団体コードおよび町字IDを用いて住所情報を管理することで、表記や定義の揺れを防ぐことができます。

コアデータパーツ:住所(アドレス)

今後は「この方式を採用すればOK」となり、いちいち考えて悩まなくて楽になりそうです。その他、地理座標や個人や連絡先、郵便番号や電話番号などの書式もありました。

残りは空フォルダ

文字化けと同じ原因でか、中身が空っぽのフォルダが半数ほど。Windowsの環境に移動するのが面倒というか、今ちょっと時間取れないので、気が向いたら読みます。

不動産業界、どうすんのよ

お上(おかみ)もやってるよ。不動産業界も不動産情報の標準化はよ。

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