人的資本経営で中小企業はどう変わるか
私の日頃の仕事はというと、もっぱら工場内で行われている「人によるモノづくり」の改善業務に関する活動です。その中でも自動化というキーワードはもはや当たり前のように毎日飛び交っています。
そして今感じるのは,逼迫化している「労働力不足」の問題。肌感ですが、2022年頃からより強くなってきている気がします。つまり、受注(生産すべき量)に対して必要な作業員(ヒト)が足りていないという現実です。業種・業界問わず自動化の検討は加速しており、年々投資は増加しております。「労働力不足」は納期遅延、売上の機会損失拡大、不良率拡大、倫理性欠如(モラルハザードの発生)等に繋がっております。
このような事実を実感している中で今回幻冬舎発刊「中小企業経営者のための賃金戦略」を読んでみました。退職者の拡大防止、人手不足の一助になるかもしれません。
① 結論、これから更に中小企業における人材獲得は難化!
中小企業では、従来に増して有能社員の大手企業からの引き抜きによって流出が起き、ますます人手不足が深刻化するとの事が書かれています。そして、これから中小企業はリスキリングやキャリアパスを通して従業員の動機付けを高め、現状の社員を維持しつつ成長を続け、自社の企業価値向上に繋がるようマネジメントしていく必要があるということです。
②背景
中小企業における人材流出リスク拡大の背景には、2023年度から上場企業に課せられた人的資本に関する情報開示義務があります。無形資産(ヒト)に注目が集まり、優秀な人こそが企業価値を高めるとされており、かつて無い程のスケールで賃上げが実施されています。そのため上場企業を主に熾烈な人材獲得合戦が展開されています(中小企業の賃上げは2%強にとどまっている。現在物価高の家計負担をカバーできるのは4%と言われている)。
③中小企業に求められるものとは
これからの中小企業には「①人的資本経営」と「②ジョブ型雇用」が求められるとの事です。なぜかというと、日本の労働生産性があまりに低く、それが賃金にもつながっているため。これを是正していく事が求めらています(改善によって賃金改善も見込まれる)。
本書を読んでいて参考になった事は、①人的資本経営では、リスキリングの取組が社員の内的動機付けにも繋がるということ。ただ単に勉強すればOK!と言うことではなく、従業員一人一人にあったプログラムをどのように作ると良いかを考えないといけません。それを実現するには一人一人のキャリアパス(本人のなりたい姿、ほしいスキル、現状とのGAP等)を本人と一緒に構築し、成長のステップに適したリスキリングを選択すると効果的であることが理解できました。これは私自身とても共感できました。
例えば目標管理制度を取り入れている企業でいうと、上司との面談機会で生かせると良いのではと思います。多くの企業では上司からの評価が一方通行になりがちですが、この場を上手く使って「部下自身が、将来のありたい姿」を上司と語る機会に繋げるべきだと思いました。
また「②ジョブ型雇用」の考え方は個人的には非常に共感している(実務での実行はまだ出来ていませんが)。従来(メンバシップ型)との大きな違いは「人に仕事を当てはめるか(従来)」「仕事に人を当てはめるか(ジョブ型)」。正否はなく、一人一人に応じてそれぞれの雇用を提供できるといいな、と感じています。「社員が活き活きと働く環境つくり」、実現は簡単ではありませんが、小さなことから一つ一つやっていきたいですね!
④終わりに
今日は久々の投稿となりました。前回はコロナ感染が始まってすぐのこと、仕事の量が激減して在宅ワークが続く中での投稿でした。今はとにかく社会環境がコロコロと変わる時代。今日のアタリ前は明日どうなるか分からない時代といってもいいかもしれません。
「人間万事塞翁が馬」、また気ままに投稿します。