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Vol.2-#30 ジャミ子と弟の朝
家を出よう。
ジャミ子は決意した。
このままジャミママとの同居を続けると、いつか自分の心は限界を迎えてしまうだろう。決意を固めてからは知り合いの家を転々としつつ部屋を探した。
心の奥に弟の存在が引っ掛かった。
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腹違いの弟は現在9歳。
家ではひたすらYouTubeを観て過ごしている。
こちらからアクションを起こすと反応はしてくれるのだが、自分から発言する事はなかった。
自分の言葉や意思を自由に発散できる環境ではなかったため、自己表現が出来なくなったのかもしれない。
毎朝、弟は食パンにジャムを塗って食べることを日課にしていた。そのとき彼は必ずジャミ子のパンも一緒に焼いた。
まだ寝ているジャミ子の耳元で、小声でこう呟く。
「ちょっと、パン焼けたんやけど」
ジャミ子は起きて、2人で食パンを食べた。
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ジャミ子は家を出ていく。
弟は、、言いたい事も言えないこんなポイズン状態な家で、ただただ静かにYouTubeを観て暮らしていくのだろうか。
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「なんで弟置いてきたん?!」
友達になにげなく言われた一言は、喉にささった小骨のようにジャミ子を苦しめた。