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Vol.2-#40 ハネムーン紀行⑦
やさしい世界
朝10時、パリ・オルリー空港。
プラハからのフライトを終えたジャミ子は、さっそく市内を目指した。
パリ市内のホテルへはバスと地下鉄を乗り継いで行く。バスの終点、ダンフェル・ロシュローに着いたら、地下鉄に乗り換えだ。
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バスを降り、地下鉄の改札前でガイドブックを睨んでいると、一人の男性が近付いてきた。
「May I help you?」
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パリメトロのジャンパーを着たスタッフだった。
「こ、こわい…」英語もフランス語もチンプンカンプンなジャミ子は怯んだ。
だが怖がることはない。秘密兵器を出す時が来た。
ポケトーーーク!
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ジャミ子はポケトークに話しかけた。
“地下鉄に乗るのに便利な切符はありますか?”
フランス語に翻訳すると、彼はナヴィゴカードを勧めてくれた。
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ナヴィゴとは日本でいうICOCAのような、交通ICカードらしい。
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彼は理解が遅いジャミ子に対し、丁寧に、根気強く、何度も説明してくれた。券売機でナヴィゴを買った場合と買わない場合のシミュレーションまでしてくれた。
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「買おう!」
正直よく分かんないけど。
「私はナヴィゴを買うんじゃない!君の心意気を買うのだよ!」
ジャミ子はそう言い、券売機でナヴィゴを買った。
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なんて素晴らしい青年なのだ。
初めての海外。ジャミ子は日本では感じた事のない感情を味わっていた。
チェコでもパリでも、見ず知らずの人たちが自分に手を差し伸べてくれる。目が合ったら笑ってくれる。なんか挨拶もしてくれる。
前を歩いている人がドアを開けて、後ろを振り返りジャミ子を見ると、開けたまま待っていてくれる。5メートルも離れているのに!人々の優しさや親切に触れる場面がいくつもあった。なんか日本と違う…
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ジャミ子はメトロのスタッフに、もちろんキットカットの抹茶味を渡した。
「メルシーボークー!」
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