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【令和6年度京都公立高校前期選抜国語解答速報】前編

毎年書いている京都公立高校前期入試の分析です。

●総評

令和6年度の公立高校前期選抜は例年通り、現代文2題、古文1題の出題で、それぞれ『学問と人生』(湯川秀樹)、『生物レベルでの思考』(今西錦司)、『新譯花月草紙關の秋風』からの出典となりました。現代文に関してあ、文章量がそれぞれ大問1が譯1800字,大問2が約2500字で、大問2が昨年と比べるとやや文章量が増加しました。出題ジャンルはそれぞれ科学論と認識論と入試頻出のテーマではあるものの、いずれも文体が硬派であり、かつ用いられる語彙も難しいため、日々の語彙の積み上げがないと文章読解そのもので苦戦したのではないでしょうか。(ここ数年この傾向は続いているため、漢字勉強にとどまらず、日ごろから語彙力を強化する意識が大切です)古文に関しては仮名序を引用した書き出しであったため、向き合いやすかったのではないでしょうか。
 設問別にみていくと、3年ぶりに語句の意味を問う問題がありませんでした。一方文法・知識問題は近年の頻出分野である文節の関係、動詞の活用、熟語の構成、識別の問題が出題されており、この辺りは確実に得点したいという印象です。漢字の出典は読みを問う問題では「伴う」「貢献」、書き取り問題で「底」が出題されました。読みが中学生で習う漢字、書き取りが小学生で習う漢字という点も例年通りです。それぞれ「伴う」「貢献」は二年生の「読書に親しむ 研究の現場にようこそ」、三年生の「情報社会に生きる 報道文を比較して読もう」で新出漢字として習う語句なので、日ごろから細部を意識して勉強している受験生に有利であったと言えるかもしれません。(ちなみに近年だと「伴う」は18年の京都橘高校で、「貢献」は16年の京都大谷高校で出題されていました)
 出題パターンも特異なものは見られないが、第二問の文章の難易度、そして段落を意識して内容を追わなければいけない出題が多いということを考えると昨年よりもやや難化という印象です。

設問ごとの分析【第一問】

(1)文節の関係【標準】
ここ数年頻出の問題なので確実に得点したいところです。
自塾の指導データを見ると、修飾・被修飾の関係の問題の正答率をみると連用修飾の場合に有意に正答率が下がる傾向がありますが、それでもひねった問題ではないので、きちんと解くべき問題でしょう。

(2)動詞【易】
動詞の活用は2017年から前期入試で頻出している単元なので、ここも確実に得点したい問題です。

(3)空欄補充【標準】
出題者の意図としては段落の要旨の理解を問う問題という印象をうけました。段落の要旨として、学問として成立するのならば一定の客観性が必要だというものなので、「しかしいずれにしても、とにかく事実という異常は一人の人の個人的体験であるに止まらず、同時に他人の感覚によっても捉え得るという意味における客観性を持たねばならぬ」という主張からエを導きたい。
但し、選択肢を「主観‐客観」という頻出テーマで分類した場合、ア~ウが主観について述べているので、消去法でも正解にたどり着いた人は一定数いるように思いました。

(4)漢字【易】
漢字に関しては冒頭に書いたとおりです。
読みを問う問題として「伴う」「貢献」が出題されました。これらの漢字の教科書の収録個所をみると、王道の文章を意図的に避けて実用的な文章の教材分野を出しているようにもみえるため、今後の出題傾向の可能性の一つとして意識すべきという印象を受けました。
一方で、漢字自体はそれほど難しいものではないので、ここは得点したい印象です。

(5)熟語の構成【やや難化】
こちらも前中期試験併せて頻出の分野です。今回問われた問題は若干思考が必要な分難しかったかもしれませんが、きちんと仕組みが理解できた問題なのではないでしょうか。

(6)内容把握【標準】
やや硬派な文章ですが、科学論という、話自体は接しやすいものだったので、少なくとも片方はあっている方は多いだろうという印象でした。

(7)-1【標準】
本文の内容から最終段落を想定。「~についてはどこまでも拡大していく」から、拡大を示す言葉を探せば解答に辿り着けるでしょう。

(7)-2【やや難】
「反省」というキーワードに注目できたか否かが得点を左右する問題です。
そこを押さえれば解答根拠にたどり着けるのですがやや難しいので、点数差に反映されたのではないかなというのが個人的な感想でした。

(7)-3【標準】
例年通り、前後の情報から解答根拠を探す形で答えられる問題という印象でした。
「限界」「宿命」というワードを押さえられれば得点可能な問題という印象です。

後編に続きます。
後編はこちらからお願いします。

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