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コラム ニックネームの意味

【この記事を受けて書きました】


先日、こんな話を聞いた。

昨年の9月、日本を代表するプロ合唱団、東京混声合唱団の創立者で、永久桂冠指揮者の田中信昭(のぶあき)先生が96歳で亡くなられた。その田中先生は90歳を越えられてもなお、精力的に活動され、その合唱文化の発展に貢献されていた。そして、その年になられてもなお、周りの人から「じっちゃん」「しんしょうさん」と親しみを込めて呼ばれていた。 

その話を聞いて私は、

「90を超えても、ニックネームがあるなんていいなぁ」

と思った。これまで、少なくとも90歳を超えてニックネームで呼ばれている人に出会ったことがない。その年になると、周りの人たちは畏れ多くて、一般的にはニックネームで呼ぼうとはならないのではないか。

私自身、田中先生にお会いしたことは一度もない。だが、そのように呼ばれていたことを思うと、周りの方とどんな関係性を築かれていたか、容易に想像できる。

ニックネームは、人との距離を近づけると思う。そして、周りから愛されている証ともとれる。

私自身は、大学生のころまではニックネームで呼ばれることが多かった。一方で、お遊び半分で、幼稚園の時に付けられた呼び名が気に入らなくて、何度も担任の先生に泣きついた思い出は、今でも覚えている。

現在の学校現場において、ニックネームを禁止する学校があると聞いたことがある。それは、子ども同士でのそうしたトラブルを予防するためかもしれない。

一方で、私の周りでは、ニックネームで呼ばれることに喜びを感じている人も多くいる。だから本来、この呼び方だって、「どう呼ばれたいか」「どう呼ばれる自分でありたいか」という一人一人の思いにフォーカスしてもよい話なのかもしれない。

「ニックネームは禁止です。全員にきちんと敬称をつけましょう」と一律に言うのは簡単だ。だが、人との関わりが深くなってくるほど、呼び方も変わってくるのが、自然なことなのかもしれない。



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