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はじめてのラビットキャンプ。【前編】

コロナ禍をバネに一時期盛り上がったキャンプブームが終息…というか落ち着きを見せ、バイクでソロキャンプを楽しむには良い頃合いとなりました。
 
筆者は元々アウトドア人間で、高校時代は山岳部に所属しキャンプとサバゲーを満喫し、大学時代以降も友人達とキャンプを楽しんできました…が、バイクでのキャンプは未経験。
 
で、リターンライダーする際「バイクキャンプ」を大きな目的のひとつに選んだ事もあり、着々と考察や準備を進めていました。
とはいえ…過去のキャンプ経験から「キャンプオタク」路線は意図して外し、筆者の活動がバイクキャンプの敷居を上げてしまう事のなきよう、ギア(道具)選びやキャンプスタイル等を吟味するようにしています。

安テント+安シュラフだけど充分使える。
なお、コールマンの収納袋が付いてるけど袋だけ(笑

そんなこんなであれこれ試行錯誤していた時、福津市のライダーズカフェ「DAYTRIP」さんで何故か売ってた中古の安テント+安シュラフをお迎えする機会があり、クルマに積む前提で買った重く大きなテントしか(当時)持たなかった筆者は「こういうので始めてみるのも学びが多そうで面白いかな?」と考え、このテントをバイクキャンプデビューの相棒に選んだのです。

Amazonで実売3000円程度

先に書いておきますが…このテントは典型的な安テントなので通気性が悪く、考えなしに使うと夏は熱が籠もり寒い朝は内側がびっしょり結露します。付属のペグも、細い針金を曲げただけの非常に貧弱なものです。
 
しかし設営・撤収が簡単で割と軽量、最低限必要充分な強度もあるので、わかって使う分には全く問題ありません。通気性を確保しタープを併用してあげれば、遊び用やサブ枠としてそれなりに使えるかな?とも感じます。
但し、スペック上は奥行き2mなんて書いてますけど実際は低身長(170cm以下)の人向けのサイズなのでご注意下さいませ。
 
という訳で、筆者は普通に使ってますがオススメはしません。

ラビットキャンプ初日の旅程

ともあれキャンプはやってナンボ。さっそく出発です!
初日のルートは上の画像の通り。福岡から故郷・長崎を目指してポンポン走り、少年時代を過ごした思い出の地でぶらぶらしたり海水浴したりキャンプしたりと、事実上の(ちょっと早い)お盆帰省のような旅でもあります。

有明海の夜明けを眺めながら一服

今や安定運用の域に達した愛車・サンマル子はこの日も快調。
霧と夜露で涼しく路面が濡れていた深夜の三瀬をポンポンと越え、国道34〜207号を気持ちよく走り抜けてくれました。
 
道中、佐賀県鹿島市にある「飯田駐車場」で小休憩。
この駐車場には昔お世話になった茶屋さんがあったのですが道の駅に統合され閉店(建物は残ってます)、今は単なるトイレ付き駐車場ですけど…
学生時代の頃から今も、筆者にとっては思い出深い休憩ポイントです。

1996年秋頃、同じ場所にて。
筆者の初バイクであるカワサキ・バリオス

乗るバイクは変われど、旅の楽しさや旅情は変わらず。
若干メランコリックな気分で有明海の夜明けを眺め、対岸の遥か彼方にある阿蘇で早朝から盛り上がっているライダー仲間の皆さんの賑わいや馴染みのカフェのモーニングネタをSNS越しに見ていいね連打ほっこりしながら愛用のパイプで一服。ちょっぴり幸せになれる瞬間です。
 
で、サンマル子も筆者もひとしきりクールダウンを済ませ、長崎へ。

眼鏡橋とサンマル子。
昭和50年代、この辺りを魚屋のラビットがトロ箱積んで走り回っていた

長崎では、朝から身内宅に顔出し+挨拶してからの自由時間。
まずは中島川に掛かる有名な石橋「眼鏡橋」にて。
 
江戸時代に架けられたこの日本初の石造アーチ橋は度重なる水害にも殆ど耐えた強靭な橋だったのですが、昭和57年7月23日に起きた長崎大水害で一度壊れてしまい、後に水害対策のバイパス水路を追加された上で復元され、現在の姿となっています。
 
その長崎大水害の際、川の上流にあったうちの釣具屋は建物ごと川に落ちて流され、建物の残骸や商品の釣り竿とかが不幸にも眼鏡橋を直撃…橋と心中してしまいました(実際は夥しい量の木や岩なども橋に直撃しているので、うちの店が壊した訳ではないのでしょうが)。
天災とはいえ、元・釣具屋の息子としては今も複雑な思いがあり、こうしてたまに眼鏡橋に会いに来てます。

長崎は海岸線が長いので、バイクで走って楽しい海沿いの快走路が多い

眼鏡橋でひとときを過ごし、
続いては少年時代に親しんだ香焼(こうやぎ)の海へ。
 
立ち寄った商店のおばちゃんと世間話したり、偶然遭遇した旧友と殴り合い(友情表現のスキンシップです!)になったり。少年時代の記憶がほどよく蘇っていく中、学校の遠足で歩いたルートを辿り走ってみたりもしました。

伊王島灯台

香焼の先には、今やすっかり観光スポット化した伊王島が。
予定では、伊王島にある見晴らしの良い灯台付近で暫くのんびりするつもりだったのですが…
 
この伊王島灯台で思いっきり失恋した記憶がふと蘇ってしまい、なんともビミョーな気分になったのでそそくさと退散。
青春時代、いい恋愛もあればそうでもない恋愛もありました。

伊王島灯台そばからの眺め

伊王島灯台からは、長崎港を外から覗く事ができます。
福岡でいえば「志賀島や能古島から博多湾を覗く」感覚に近いものがあります。
 
ただ、海の色は全く異なります。
日本海に属する福岡の海と違い、東シナ海に属する長崎西方の海はほのかにエメラルドグリーンがかっており、たいへん美しいです。

ラビット野営!

伊王島灯台でのんびりする計画が崩れたので伊王島を巡ってみたのですが、昔よく遊んだ眺めの良い海岸はことごとく護岸されたり有料観光スポット化されており、島のあちこちが悪い意味で「集金アイランド」となっていたのにはかなり興醒めしました。
これでは…昔ながらの風情溢れる伊王島が台無しです。
 
似た現象は福岡の糸島半島や山口の角島の一部etc.でもみられます。郊外の絶景スポットがどこも似たようなデザインの店舗や道で埋め尽くされていき、雰囲気が画一化していくのは「美と自然と文化の遺産を食い潰している」ように感じられ、非常に残念です。
 
とはいえ、嘆いてばかりでは旅は進みません。
伊王島がダメなら香焼があるさ!という訳で、昔から地元民に親しまれてきたちいさな海水浴場「辰ノ口(たつのくち)海水浴場」の片隅でプチ野営する事にしました。
(注:テント禁止の場所なのでテントやタープは張ってません)

サンマル子・カフェモード!

センタースタンドを立てたラビットの後部荷台は、そのまま調理台にもテーブルにもなります。
 
筆者愛用の小型コンロ・SOTO ST-320も良い塩梅に使えます。
このコンロは折り畳むと文庫本サイズにまで小型化でき、ボンベも旅先のスーパーや100均での補給が容易なCB缶を使え、展開時の占有面積こそ(ボンベが横に付くせいで)広めですが非常に使い勝手が良く、重宝しています。
 
欠点としては火力が高いとはいえない事と、コンロの形状ゆえ大きな器を置けない事でしょうか。ガッツリ火を使いまくる人は他のコンロを選んだ方が良いでしょう。
ただ、合体変形ギミックが好きな人にはガン推しさせて頂きますw

羊羹とコーヒーは意外に合う

フレンチプレスでコーヒーを淹れて目の前の海でプレスごと軽く冷却、香焼の商店で買ってきた羊羹を合わせて、お昼前のコーヒーブレイク。
 
餡のやさしい甘みと、モカブレンドの酸味がよく合います。
あと、この辰ノ口海水浴場は潜ると更に美しい海を楽しめるので、ダイビングスポットとしても隠れた人気があります。
隠れ家的な美しい海を堪能したい人には特にオススメ!
 
< 辰ノ口海水浴場のデータ >
〜〜〜〜〜
利用:無料
駐車駐輪:無料で可能
設備:公衆便所・シャワー室
海の家:なし
テント・タープ:禁止
直火:禁止
監視員:地元の方が(非常駐で)います
備考:民家そばなので騒音・迷惑行為は絶対にやめましょう

〜〜〜〜〜

大昔使ってた水鉄砲が出土!

辰ノ口海水浴場でのんびり癒された後は、今夜からの食材を確保するためにスーパーへ。
…とはいっても小学生の頃から通ってた超・古馴染みのスーパーなので、店内を歩いてると知り合いだらけ。
 
「おっフーチ!今どがんバイク乗っとっとや」
「ラビット。スバルの古かスクーターさ」
「飛ばし屋のお前がスクーター?どうしたとや、お前らしゅうなかな」
\ ラビットはいいぞ /
「…お、おう…」 ※実際の会話内容です※
 
などと、あちこちで知り合いに捕縛されては他愛のない話をしながら買物。
 
その後は実家(跡)の裏山を旧友と散策して少年時代のバカ話に耽ったり、子供の頃の筆者が子供部屋の窓から裏山に壊れたエアガンや試作兵器(?)の残骸を投げ捨てまくったせいで「兵器鉱山」と化した区画の一部発掘作業を行い、AR-18アサルトライフルとか映画(ぼくらの7日間戦争)の真似してキンカン詰めたら臭いが取れなくなって捨てた水鉄砲とかの発掘に成功したりと
 
お前何しに長崎帰ってきたんだ状態
 
…で、好き勝手遊んでました。

アーマライトAR-18アサルトライフル(画像は実銃)
映画「ターミネーター」で有名に。実は日本でもライセンス生産されていた

とはいっても日がな遊んでる訳にもいかないので、AR-18を筆頭とした発掘兵器群はサンマル子に積んで帰る余裕がないため後日旧友から送ってもらう事とし、本日の最終目的地である「川原海水浴場」に向かうためサンマル子を再び走らせました。
 
で、土地勘が薄れていたのでGoogleナビを用いたのですが、
ルート設定の際にうっかり指を滑らせていたようで…

\ 林 (^o^) 道 /

いつのまにか林道を通ってました。
しかも突入口を誤ったようで、獣や人が通った形跡すらまばら。落ち葉がフッカフカです。
幸いにして少し進むと「普通の林道」に辿り着きましたが、それでも林道。
 
なんで長崎まで来てコドコマラリーの練習やってんの俺???
と思いつつもダート区画を無事クリア、眼前には美しい海。
優勝です。

川原海水浴場。
長崎半島の「裏側」に位置する古い海水浴場で、対岸には島原半島と天草、
その向こうには殆ど見えないが阿蘇山がそびえている

なんだかんだありましたが、無事に川原海水浴場へ到着。
ここはキャンプ場が併設された海水浴場となっており、海水浴とキャンプをどちらも楽しみたい人にはうってつけのスポットです。
 
但し海水浴場内はテントの設営は禁止で、キャンプヤードは無料ながら「web上からの事前予約制」となっていますので、好き勝手にテントを貼る事はできません。

絵画作品を作る際、構図やモチーフ等のアイデアを練るために
それはそれは大量の下書き(エスキース)を描く。
描いてて生まれる閃きも多い

で、長崎の海へキャンプしに来た大きな理由は幾つかあって
 
①絵画作品のアイデアや構図を考えたり練ったりしたい
②「夏といえば海」という発想は過去の時代感覚なのか否か
③温暖化が進む中、これからの夏や海との付き合い方を考えたい

 
といったものです。
要は、思索のための旅。
 
川原の海でのんびり思索に耽ったりエスキース描いたり音楽聴いたり海に潜ったり気ままに過ごしていたら、いつのまにか陽が傾いてキャンプの時間に。

設営準備開始!
速攻で設営完了

最初の方でも触れたように、今回持参したテントは数分程度でさっくり設営できてしまうお手軽さが魅力。
 
ただ、キャンプヤードの方が大きな石ゴロゴロ状態で、なかなかペグが刺さってくれなさそうなのにはちょっと困りました。
とはいえ、そんな事はキャンプだと日常茶飯事です。
筆者とて無策ではありません。

シティーハンターも一撃で倒す100tハンマー

こういう事もあろうかと、愛用の木槌を新調しておいたのです。
しかも、敢えて古い木槌を骨董屋で探してきました。
昔の木槌の方が概して材質が良いからです。
 
この古くて新しい「100tハンマー(愛称:槇村香 / 2代目)」のお陰で、気持ちよくペグを打ち込む事ができました。

物を乗せられる水平な平面が多く、しかも鉄ボディなので熱にも強いラビット。
キャンプの際の調理台兼テーブルとしても意外な活躍を見せてくれる

今回は初のバイクキャンプという事で、スムーズなキャンプ成功を最優先して「キャンプ飯」はインスタント麺で質素に済ませます。
 
次回は肉とか野菜焼きたいですね!
とはいえ、キャンプの時にすするインスタント麺もなかなかオツなもの。これはこれで悪くありません。

長崎人の心の友・金ちゃんヌードル
長崎では昔から普通に売っているが、福岡では超レアラーメン

長崎のインスタント麺といえば金ちゃんヌードルです。
うまかっちゃんではありません。(異論は許します)
 
日清カップヌードルとはまた違ったボリューム感とレトロな美味しさがあり、決して見劣りしません。「うそやん!」と思った人は一度食べてみて下さい。
※体感できる効果には個人差があります※
あと、SNS上で「ケンちゃんラーメン」と混同されてしまいましたが…あちらは販売終了まで新発売扱いだった超時空ラーメンなので、完全なる別物です。

キャンプの醍醐味のひとつ。うまい酒

そして勿論、キャンプといえばお酒です。
今回は杖立温泉で仕入れたおいしい日本酒「あきげしき」の原酒をミニボトルに分けて持参してきたので、暮れゆく空と煌めく星空を肴に、ひとり贅沢な酒宴タイム。
 
ひとりで飲む原酒にしては量が多いように見えますが、これは調理酒として活用する可能性も想定しての量です。
実際、翌日には調理酒としても活躍してくれました。

夕暮れの美しいグラデーション

夕暮れから夜へ。
ひとりチェアに座って酒を呑み、満天の星空を眺めつつ思索に耽ったり音楽を聴いたり、とても自由で心地よい時間が始まりました。
 
筆者としてはこの贅沢極まりない時間をより充実したものにすべく、カセットテープを用いた古き良きアナログオーディオへの部分的回帰や読書趣味の復活etc.といったプロジェクトを進めています。
テキスト系の執筆もこういう時間にやれたら、素敵なモノを生み出せるかもしれませんね。(ポメラ手放してしまいましたが…
 
ともあれ「ラビットキャンプ」はより深みを増す事になるでしょう。
勿論、キャンプ飯の充実も含めて。

バイクでキャンプするだけなら、そう難しい事ではありません。
キャンプ道具一式をバイクに積んでキャンプ場に行き、キャンプすればいいのですから。その結果を誇りたいのであれば、楽しそうなキャンプ画像を撮ってSNSにアップすれば「バイクキャンプやってるぞアピール」は充分にできるでしょう。
 
しかし、筆者にとってのキャンプは「キャンプする事が目的」ではなく「キャンプを通じてやりたい事をやる」性格のものなので、これからが本当の試行錯誤になりそうです。
そういう訳で、サンマル子と一緒に楽しく試行錯誤していこうと思います。
 
初ラビットキャンプはまだ続きます。
明日はどんな楽しさや発見が待ってるかな…?
(後編につづく)

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