自分でエンジン直したYB-1と10000km。
時間が経つのはなんとも早いもので、2022年5月に不動車のYB-1(わび子)をお迎えしてからもうすぐ一年半、エンジン換装+腰上OH+軽い改造を施してからは既に10000km以上を走っていました。
当記事では、筆者の相棒にしてもうひとつの愛車・ラビットS301(サンマル子)の相棒でもあり、日々プンプン元気に走っているわび子から得た幾つかの気付きないし学びについて触れていきます。
1:非力なYB-1でも充分に旅を楽しめる
サンマル子とコンビ運用する前提でお迎えしたわび子ですが、
実は、ラビットに乗ると決意した時既に本契約直前まで至っていたバイクはといえば…
ヒマラヤでした。
空冷411cc単気筒エンジンを搭載した、なんかSRとセロー225をいいとこどりして足して2で割ったような、なんとも下道ツーリングが捗りそうな愉快なバイクです。筆者の一部ライディングギアがラビット&YB乗りにしては異様にゴツいのも、そもそもヒマラヤに乗るために買ったからです。
「なんでヒマラヤ辞めたんだよ!バカかお前!」
とは当時散々言われましたがラビットにはかないません。異論は許さぬ。
そして、ラビットに先んじてやってきたYBが
事実上の ヒ マ ラ ヤ 後 継 車
になってしまったのも(我ながら頭おかしいという自覚はありますが)、リターンライダーしたら今度はツーリングライダーになりたい!と強く思っていたので、ある意味当然の流れではありました。
それに加え…かつて相棒だったDT50のおかげで、50cc級バイクでも快適な長距離移動が可能なのは知っていたので、相棒ポジという意味においてはDT50の後継車でもあるYBがツーリング用途も担う事になるのは必然ともいえたのです。
という訳で、お迎えして修理を終えてから暫くは近場をぶらぶらしながら仕様を詰めていき、体制を整えてから下道ツーリングへと旅立ちました。
その後遂に悲願のラビットをお迎えし、サンマル子としてツーリング担当を担うようになるとわび子は少しお休みしていた(全リソースをサンマル子に集中し、不具合の洗い出しと改修とツーリングを一挙に行うため)のですが、
2023年6月にサンマル子のエンジンが故障してドック入りするや、わび子の旅が再開。今まで以上にあちこちを飛び回っています。
といった具合に、最早「大活躍」という表現がよく似合うレベルでプンプン走ってくれてます。いつもありがとうわび子。
YB-1は非力でのろまなバイクですが、基本設計が1960年代後半なので「超旧車の遺存種」「生きている化石」という側面も併せ持っており、生きている化石相応のタフさと構造のわかりやすさ・整備性の良さがツーリングの相棒としては非常に頼もしいです。
YB乗りの間でしばしば問題視される非力さやスピードの遅さも、公道の流れにストレスなく乗る程度であれば軽い改修で概ね解決しました。
実際に改修し旅を重ねる中で、上記の通りYB-1は意外にもツーリング適性高めの車輌である事が判明したのですが…これはあくまで改修を前提とした話です。
ノーマル状態であれば、単純な遅さやギア比の低さを筆頭に、腰を引くとハンドル幅が窮屈に思えるライポジ・入手困難となって久しいリアキャリアetc. それなりに手を入れないと苦しい箇所が散見されます。
とはいえ、かわいい空冷2ストエンジンをプンプンいわせながら下道をのんびり旅する魅力はなかなか得難いものがあり、寄り道や散策の際のフットワークの良さも50cc級ならではの役得だといえますので、改修する手間を費やしてでもツーリングに使う相応以上の価値は感じています。
2:のんびり旅ゆえ感じられる旅の「感覚」
わび子での下道ツーリングは「法定速度、或いは交通の流れに沿るための+α程度の速度」しか出さない、とてものんびりした道中です。
当初は「やっぱり退屈だったり、飛ばせずストレス溜まる場面もあるのかな…」という懸念を抱いていましたが…実際はむしろ、のんびり走るからこそ得られるメリットが余りに絶大で、今や積極的にのんびり旅を好む程にまでなりました。
どういう事かといいますと…
のんびり走る事で道中の景色をじっくり眺めて楽しむ視覚的余裕が生まれ、道中で面白いスポットやお店を見付ける頻度が昔より激増し、結果として旅の楽しさも増したのです。
更には注意力アップにも繋がり…実際、濃霧や豪雨等の危険な状況にも何度か遭遇しましたが、思考する余裕が増したのも相まって、わび子はそれらの危機を見事に乗り切っています。
更に、低い速度域であれば外気の匂いを強く感じる事もできます。
夏であれば森の木々からは樹液の独特の匂いが漂い、カブトムシやクワガタムシと過ごした幼少時代の日々を思い出させてくれましたし、季節の花の匂いは訪れた土地のイメージとして強く胸に刻まれ、川や海の匂いもまた旅情を高めてくれる素敵なスパイスです。
製材所や木材工場の近くを通ると漂う木の香りもたまりません。
しかし、堆肥が集積されている所のそばを通ると悪臭もまた強く感じる事になってしまいますので、そういった意味ではデメリットにもなりますね。
嗅覚でも楽しむツーリング。
その感覚を教えてくれたのもわび子とサンマル子です。
3:ツーリングプランを練り込む大切さ
わび子もサンマル子も多少の性能差こそありますが、ツーリングにおける通常巡航速度はだいたいおんなじです。また、どちらも原付なので高速道路は使えませんし、法を破りカッ飛ばしたりスリ抜けを多用して時短するようなバイクでもありません。
即ちツーリングのルートやスケジュールの練り込みは中型・大型バイク以上に重要ですし、ルート選択やスケジュール管理を誤るとツーリング自体がたやすく失敗に追い込まれ、リカバリを強いられてしまいます。
具体的な失敗例を挙げると、上画像の北阿蘇エリア日帰りツーリングがわかりやすい失敗例です。
このツーリングでは日帰りで何をやりたかったかといえば
「道の駅スタンプラリーのために道の駅を4箇所回りながら北阿蘇スタンプラリーのためにポイント2箇所+報酬ステッカー配布場所も回り、杖立温泉で温泉浸かって最後は秋月の茶屋で葛餅食べて犬と遊ぶ」
という、どう考えても欲張り過ぎたツーリングプランでした。
しかもこの日は天候が不安定で、後半は雨に見舞われて予定が狂ってしまい…杖立温泉で雨をやり過ごしていたら結局ラストの茶屋に行けず、私は暫く葛餅とイッヌの禁断症状に悶え苦しむ羽目に。
いくら通い慣れたエリアとはいっても欲張り過ぎました。慢心はいけません。
で、結局筆者は結局行けずじまいだった秋月の茶屋「黒門茶屋」さんへのリヴェンジツーリングを別途敢行。どうせ行くなら道の駅スタンプラリーもやっとこう!という事で、新たに練ったプランがこちら。
今回のプランは「近隣の道の駅をゆるりと巡るだけ」のシンプルな旅なので道中に大きな余裕が生まれ、そのおかげで道の駅の陶器売場もじっくり見る事ができたので、良さげなコーヒーカップとの出会いに恵まれました。
当然、黒門茶屋さんにも余裕たっぷりでお邪魔する事ができ、美味しいおうどんと葛餅、そしてイッヌとの楽しいひとときを満喫できたのです。
更に!
余裕があったので、エキストラな予定を急遽組み込む事もできました。
新たに組み込んだ目的地は、佐賀県鳥栖市にあるバイクウェア販売店「マックスフリッツ鳥栖」さん。
同店の店長さんにはいつもSNS上でお世話になったり楽しく交流させて頂いてるのですが、この方といえば何といっても
6月にサンマル子が壊れ、個人的トラブルでレッカー手段を失った際に差し入れ持参で駆け付けて下さった「大恩人」なので、いつか直接会ってお礼がしたかったのです。
「黒柴コーヒーとかCafe218で会ったらお礼にコーヒーゴチします!」と柄にもなくカッコ付けた手前、本当は南阿蘇で会いたかったのですが、なかなか旅程が噛み合わず…
設置が難航した末ようやく置けた自販機の設置祝いも兼ねてお邪魔。
店長さんに直接お礼を言えてよかった。改めてありがとうございます。
そういえばこの道中、マックスフリッツ方面に向かっているかのような不思議な「ライダー雲」とでも形容したくなる雲がぽっかり浮かんでいて驚きました。
こういうモノに気付きやすいのも、わび子がのんびり走るバイクだからだと思います。
…と、長くなってしまいましたが…
こんな具合に、ツーリングプラン次第で旅の様相も思い出も全く変わりますし、疲労度や燃費にも大きく影響します。その大切さを教えてくれたのも、わび子です。
まとめ
筆者の「リターンライダー後初バイク」となったわび子。
正直な所、最初は「もう少し大きなバイクにしといた方がよかったかな…」と思ったのも事実ですが、一緒に10000km以上走って旅して、結果論ですがYB-1を選んで本当によかったと思っています。
たまに「そんな遅くてちっちゃいバイクで楽しいんですか?」とアホのような質問を投げ掛けられる事はありますが、
わび子は遅いからこそ、旅の密度をギュッと濃くしてくれます。
わび子はちっちゃいからこそ、好奇心のままホイホイ寄り道できます。
その延長線上にはサンマル子もいます。楽しくなかろう筈がありません。
そして、筆者のツーリングライフは次の段階へと歩を進めつつあります。
実は、昔バイクに乗ってた頃は油彩画家としても活動しており、(ツーリングという体でこそなかったものの)バイクに画材と一眼レフカメラを積んであちこちを巡っていたのですが、
せっかく再びバイクに乗り始めたので…また作品づくりをしよう!と思い立ったのです。そういう訳で、バイクにクロッキー帳と画材とカメラを積んで旅先で絵を描いたり写真撮ったりする日々が20年以上振りに戻ってきました。
何かしらのカタチを生み出せたら、どこかで発表すると思います。
こうなってくると
・フットワーク抜群で取材や創作活動での各種行動に適したわび子
・そのものが芸術的モチーフであると言え旅情溢れるサンマル子
この姉妹は筆者の芸術活動再開において間違いなくベストコンビです。
これからも、末長く一緒に旅していく事になるでしょう。
そういう訳で、わび子の旅はまだまだ始まったばかり。
これからどんな出会いや発見、ドラマがあるのか。楽しみでなりません。
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