ラビット、原付からバイクになる。①〜150cc化計画再起動!の巻
サンマル子「やっぱり」壊れた
2024年10月6日。
筆者とサンマル子は、長崎で1泊2日のラビットキャンプを楽しむべくポンポン走り始めていたのですが…急な仕事の依頼が入ってしまい、キャンプは中止。個人デザイナーあるあるです。
泣く泣くUターンして帰途に就いた、その矢先!
エンジンが壊れて走行不能に。
今から仕事なのに、最低最悪のタイミングでのトラブル発生です。
感じからして、ヘッドを開けて確かめるまでもなくピストンは破損しています。
幸い我が家からそう遠くない地点でのトラブルだったので「ドライブイン鳥でも食って押して帰るか〜」位に考えていたのですが、SNSへのツーリング中止+故障報告ポストを見て駆けつけてくれたラビット仲間の同志N氏がレスキューして下さりました。
N氏の到着待ちをしている間に仕事はリモート対応で片付き、その日は結局N氏と一緒にジャンクパーツ漁りをしたりラビット談義で盛り上がったりと、予想外の方向で楽しい一日になりました。
同志N氏、改めてありがとうございます。
で、今回の故障なのですが…実は想定内でした。
というのも、8月に阿蘇・大観峰での猛暑+大渋滞にやられてエンジンが壊れた際に移植した「ラビットS301A型用純正ピストン」との相性がどうも微妙で(サンマル子のエンジンはS301BH4型)、異音の類はなかったのですが感覚的に「回したくないオーラ」を感じて全開走行は避けており、いわば様子見的or実験的な運用を行なっていたからです。
通勤や近場へのぶらぶら走行では何の問題もなかったのですが、やはり長距離連続走行となると話は変わります。
そもそもの話、中古ピストン流用は何かとリスキーなのが常です。
とはいえ…何かと人間臭い挙動が非常に多いサンマル子なので
「仕事入って拗ねたんじゃないのコレ?」と思えなくもありません。
そういう訳で再び修理する事になったのですが、こんな事を繰り返してばかりでは、「ラビット旅」を長く楽しもう!と考えている身としては非常によろしくありません。
そこで、以前見送った計画を再起動する事にしました。
エンジン150cc化計画の再起動
2024年現在、ラビットS301用の社外品ピストンは販売されていません。
当然の事ながら、スバルも純正ピストン販売なんてやってません。
つまり、中古ピストンを共食い運用しながら使い潰していくしかない(社外品ピストンリングは販売されてます)訳ですが…そんな事を長く続けていてもラビット界隈の未来が狭まるだけですし、社外品ピストンの販売を待ち続けるなどという悠長な対応も現実的ではありません。
と、なると
残された道は「他車種用のリプロ品ピストンを使う」という選択肢です。
実はラビットS301、スズキTS125用ピストンが小加工で使用可能ではあるのですが…ピストン径の都合上排気量が149ccになるので、原付登録のままだと「脱税ラビット」になってしまいます。
そういう理由で、この流用レシピは半ば闇メニュー化しているのが現状。
筆者も昨年ラビットの150cc化を検討し、ラビットハウスさんに相談させてもらった事もあるのですが、その時は一旦見送りました。
というのも、後述しますがデメリットが多すぎるせいです。
ともあれ症状診断!やはりピストンが壊れていました。
しかもピストンピンとピストン側ブッシュが固着しています。
コンロッドのガタがいまだ許容範囲内なのが不幸中の幸い。
これはもうエンジンを完全に組み換え、腰上も腰下もオールリセットしてしまった方が早い上に建設的です。こういう事もあろうかと、サンマル子自体がパーツの山から生まれた存在な上に日々ヤフオク等でパーツを漁りまくったせいで予備パーツはたんまりあります。
今回気になったのは、A型ピストンに換装するまでは全くなかったのに、換装するや短距離の走行(1000km未満)で付いた、このピストン首振りの形跡。
同志N氏が弄っている別個体のS301Bでも、過去にA型STDピストンへ換装されていたのですが、全く同様の首振りの形跡が確認されました。これは(断言できませんが)A型ピストンとB型シリンダーとの相性の問題の可能性があり、そもそもA型とB型とではエンジン形式が異なるので、このパーツスワップは「非推奨」と判断しました。
またしてもエンジン組み直しですが、今回は結局150cc化する事に。
理由はピストンの調達性の問題解決と、中古ピストン使用による信頼性低下の回避です。
近所や平坦な市街地を短距離走行したりイベントに並べたり…といった「一般的な」ラビットS301の扱われ方とはほぼ真逆のロングツーリング運用が主となるサンマル子だと、エンジンのタフさと信頼性と整備性の向上は最優先事項。
150cc化によるデメリットを背負うのは百も承知の上で、むしろ150cc化を前向きに楽しんでしまおう!という結論に至りました。
そもそもS301の輸出仕様(S402)は最初から150ccなので、オリジナルからの激しい逸脱はありません。
激ヤバ中華ピストン襲来!
今回150cc化に踏み切った理由のひとつは、同志N氏が非常にあやしげなTS125用激安中華ピストンを入手し、S301への搭載+150cc化を試験的に行なっていたので、筆者も人柱2号になろうじゃないか!というのもあります。
信頼性とか色々書いておいて中華かよ!というツッコミはあるかと思いますが、ダメージを受け摩耗した年代物の貴重な中古純正ピストンを使い潰すよりはまだ気持ちが楽です。
「ボロくて新しくてゴロゴロある新品」と「ボロくて古くて希少な中古品」の2択で、前者を選んだ次第。
そういう訳で、筆者も件の中華ピストンを入手!
\ あ や し い /
箱出しの時点でピストンスカートの縁がボロボロで、真円が出ているのかも怪しい造りです。間違いなくポン付けは不可能。ピストンピンへのオイル補充穴も開ける必要があります。
とはいえ、ピストン+ピストンピン+ピストンリング+サークリップまで付いて2000円台(2024年時点)で買える暴力的なまでの安さは無視できません。
こんな値段なら10個単位で買ってストックしても財布は痛くありません。
で、これからの作業ですが…
手持ちのシリンダーとヘッドをボーリング+ヘッド面研に出して本格的な150cc化作業を開始し、その間に腰下を組み上げつつ、元々予定していた各部の大改修を行なっていきます。
今回の改修が完了すれば、サンマル子は一旦完成形になります。
上手くいくかな???
原付を「中型バイク」化する事について。
最後になりましたが、サンマル子を150cc化するにあたってメリットとデメリットを赤裸々に書いておこうと思います。
「原付をボアアップorエンジンスワップして中型バイクにする」という手法は原付改造におけるロマン枠のひとつに挙げられますが、現実はなかなかつらいものがあります。ご検討の際の一助にでもなれば幸いです。
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<メリット>
①自動車専用道路を走れる(ツーリングではメリット大)
②純粋にパワーアップする
<メリット追加:ラビットS301系の場合>
③150cc化すれば輸出仕様の気分が味わえる
<デメリット>
①税金も各種保険料も激増する(ファミリーバイク特約が外れる)
②有料道路や駐輪場での料金も激増する
③原付オンリーの駐輪場が使えなくなる
④ナンバープレート形状が変わり、一部車種ではデザインが崩れる
<デメリット追加:ラビットS301系の場合>
⑤そんなに速くならない(ミッションはそのままなので…)
⑥エンジンやミッションへの負荷が増す
⑦修理対応できるお店が激減する
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ご覧の通り、痛く感じがちなデメリットの殆どは「原付ならではの経済的特権が外れる」点にあります。
増してや、ラビットの場合は最高速がそんなに伸びる訳でもなく費用対効果が非常に悪いので、筆者のようなパーツ調達性・整備性も含めた選択でもない限り…全くオススメできません。
やはりロマン枠、という事です。
それでも、サンマル子は「バイク」になる道を選びました。
旅するラビットであるサンマル子にとって、自動車専用道路を通れるようになる上にパーツ調達性が改善するというメリットは非常に大きく、経済的デメリットを補ってなお余ると判断したがゆえです。
GoogleMap等多くのナビアプリにて「原付では通れない道路を勝手にルート指定されてしまう」という微妙にめんどい問題点もこれで解決しますし、ツーリング主体のバイクであれば、これはこれでアリなのかもしれません。
旅の快適性向上に大きく繋がる修理改修なので、次のラビット旅が楽しみです。
(↓につづく