クラッチワイヤーが切れたのでタイコを自作した。 / ビッグカツFINAL WARS
レストアも整備も終わり、通勤に買物に遊びにツーリングにブンブン走り回っている我が家のYB-1改ですが、元はといえば1997年モデルなので今や「旧車カテゴリ」に含まれる年代物であり、当然ながら年式相応にあちこちが痛んでいます。
今回は通勤途中にクラッチワイヤーが切れ始め、勤務先のパーキングを出た直後完全にワイヤーが断線してクラッチを切る事ができなくなりました。ノンクラッチシフトを駆使して自走帰宅した後に症状を見ると…ワイヤーのクラッチ側末端のタイコ部分とケーブルエンドだけが脱落している事が判明しました。ワイヤー自体も抜き出して観察しましたが、残存部位にダメージらしいダメージはありませんでした。
つまり、ワイヤー自体は少し短くこそなるものの再利用可能で、末端部だけどうにかすれば良いという事です。
という訳で、いつものようにいつもの旧車屋さん経由でヤマハにワイヤー末端部パーツ(ケーブルエンド)を発注。このパーツはクラッチワイヤーが切れて引っ張り方向のテンションがなくなると脱落・紛失してしまうようなので、症状が再発した際は再注文なり自作対応するなりの対策が要りそうです。
数日後、ケーブルエンドが届いたので作業開始。
同じく脱落したワイヤー末端のタイコは自作する必要があるので、ホームセンター(グッディ)で鉄製スペーサーを購入。
このスペーサーは、タイコの芯材となります。
ケーブルエンドに収まり、かつクラッチを駆動するための引っ張り方向のテンションに耐える強度が求められるパーツです。
スペーサーの加工装着自体は「切ってワイヤー通してカシメるだけ」なので、上記画像の通り割と簡単です。
しかし実は「切ってワイヤー通してカシメる」だけだと…ワイヤーを引く非常に強い力に耐えられず、短時間であっけなくスッポ抜けてしまいがちです。
これは市販されている「ワイヤーねじ留め式・応急用タイコ自作キット」でも同様で、カシメやねじ留めのみで継続使用に耐えるほど強固に固定するのには熟練が求められ、かなり困難です。
しかし、実はこの時点でひとつ非常に大切なコツがありまして。
それは上記画像でもやっていますが「通したワイヤー末端を広げる」事です。ワイヤー末端を広げる事で、スッポ抜けようとする力に対する抵抗力を強める事ができますし、カシメた箇所の横方向の摩擦抵抗だけで耐えるよりは遥かにマシです。
そして更に…
比較的強度の高い板金用ハンダを使い、ワイヤー固定を行います。
タイコ自作においては必需品ですし、ホームセンター価格で数百円程度から購入できるものなので、レストアが趣味でないライダーの人も持っておいて損はないかと思います。
ワイヤー末端部だけ切れてるのに、高価なワイヤーアッセンブリーを注文するのも悲しいので…
板金用ハンダを強固にハンダ付けするため、フラックスという強酸性の液体でハンダ付けする部位の表面処理を行います。これをやらないとハンダが付かず、やる意味がなくなってしまいます。
今回芯材として用いたスペーサーはニッケルメッキされているので、予め内側を細い棒ヤスリで荒く擦ってメッキを剥がし接合面を荒らしてありますが、更にフラックスで処理を行う形となります。
そしていよいよハンダ付け!なのですが、ここで普通にハンダゴテを使ってもワイヤーの中までハンダを浸透させるのが難しく、表面にしかハンダが乗らず強度を確保できません。
そういう時のために「ハンダポット」という「ハンダ版・電気式チーズフォンデュ鍋」みたいな専用の製品があって、金属製容器の中にハンダを入れて適温にて加熱、容器の中でトローリ溶けたハンダに対象物をフォンデュの如く漬け込む(というか、まさしくフォンデュのように短時間ザブッと入れる感じ)だけで、内部までしっかりハンダ付けできてしまうのです。
しかしここで筆者クオリティが炸裂!
事もあろうか手持ちのハンダポットを絵の具入れにしてしまっていたので、やむなくキャンプ用ガスコンロで火力微調整を繰り返し、100均ステンレスタッパーを用いての簡易ハンダポットで対応しました。
温度調整がかなり難しいので真似は非推奨です。素直にハンダポット買った方がよっぽど幸せになれます。
ハンダフォンデュが終わったら、後はちゃんとハンダ付けが効いてるか確認した後でヤスリ等を用いて外部を整形し完成です。
今回はクランクケース内に収まるので外観を気にせず仕上げましたが、これがレバー側のタイコであれば、ハミ出たワイヤーはヤスリ・サンダー等で削り落とした方が怪我防止(と見栄え)の観点上いいかと思います。
自作タイコを付け終えたクラッチワイヤーとケーブルエンドをクラッチ駆動レバーに装着して調整を行えば作業完了ですが、画像を見ればわかる通り…ケーブルエンドはドライブスプロケットの直近で動くパーツなので、下手にボルトナット等で自作対応するとスプロケに干渉してしまう可能性があります。
(このレバーはカムの力で内側に向けてケーブルエンドごと迫り出し、クラッチ側ピンを押す事でクラッチをリリースする構造です)
よって、ケーブルエンドの安易な自作はおすすめできません。
下手な食玩やガチャガチャよりも安いパーツなので、紛失時は素直に再購入するか、現物採寸の上でスプロケに接触しない形での自作対応をするか…のどちらかが現実的な選択肢といえるでしょう。
ライダー目線によるビッグカツ実食比較
話は変わりますが、ちょうどYBのクラッチワイヤーが切れた頃…
いつもの旧車屋さんにて「ビッグカツの味に関する議論」が吹き上がり、特に「みそカツ」なるバリエーションについてビミョーな感想を聞いたので、幼少時代からのビッグカツ好きではあってもみそカツを食べた事のない(たぶん流通ルート起因)筆者としては激しく気になり、Twitterでつぶやきました。
という訳で「もはや食うしかない」状態に至ったのでみそカツを探したのですが…近隣の福岡市街地内ではコンビニにもスーパーにも無く、旧車屋店員某Kさん曰く「ドンキにありましたよイェー アッアラーアッアー」との事でMEGAドンキ1階・お菓子売場を必死に探し回るもみそカツどころかビッグカツ自体なく、半泣き状態で旧車屋さんに押し掛けKさんに理不尽クレームを入れる(普通に迷惑なので真似しないで下さい)と
Kさん「2階の駄菓子コーナーにあったっスよ。1階じゃナイッス Ok?」
と、ラビットS301スーパーフローのATオイルタンクを簡易ガソリンタンクとして用いながらKoolな表情でカワサキの古いオフ車をレストアしつつJ-HipHopテイストを滲ませ即論破され
日頃ドンキを使わない己の功夫(クンフー)不足を噛み締め…ようやく、お目当てのみそカツを含むビッグカツ各種を確保する事ができたのです。
そういう訳で、せっかくなのでビッグカツ元祖・すぐる製の「ビッグカツ」3バリエーションに加え、いわゆる「パチモンビッグカツ」の中では古参最大手といえる菓道製「カツ(BIGカツ)」も交え、ライダー視点から忖度抜きの実食レビューを行う事になりました。
ともあれ始めましょう!
ROUND:1 みそカツVSハムカツ
先ず、すぐる製ビッグカツのバリエーション品である「みそカツ」と「ハムカツ」を食べ比べてみました。
上記の通り物議を醸しているみそカツの味ですが、パッケージにも誇らしげに記載されている通り、確かに八丁味噌ソースの味は本物感があり、味噌ソース単体では塩味の強さも含めなかなかのものです。しかし残念ながら味噌の主張が強すぎ、薄い魚肉主体からなるビッグカツ本体の「薄さ」を悪い意味で強調する感じとなり、味噌の味ばかりが印象に残ってビッグカツとしての食べ応えは今ひとつ…という感想になってしまいました(決してマズくはありません)。
そもそも、元ネタとなった味噌とんかつ自体がとんかつのジューシーさに大きく依存して絶妙なハーモニーを実現していますので、ビッグカツとの相性が今ひとつなのは納得できます。
対して、ハムカツの場合は「ポークハム風味」を狙ったものではあるのですが、むしろ魚肉ソーセージ的な旨さがビッグカツ本体・ソース共に大きくブーストされており、元々ハムとソーセージが近い味わいの加工食品である事も相まって「非常においしい魚肉ソーセージ味ビッグカツ」として高い完成度を見せている事に驚きました。
また、ハムカツの場合はみそカツと逆に…ソースがカツ本体の味をふんわりと広げるシナジー効果を発揮し、食べ応えまでも大きく増しています。
ちなみにハムカツのパッケージは通常のビッグカツ&みそカツよりも小さく、中身も誤差レベルで小さいですが、カロリーはビッグカツ&みそカツよりも上です。恐らくはポークエキスの脂分起因なのかな?と推測できます。
ハムカツは個人的におすすめできます。
ROUND:2 ビッグカツVSカツ
お次は「本物VSパチモン」なのですが、ビッグカツのパチモンとはいっても既に30年以上もの歴史を歩んだ美味しい逸品であり、メーカーである菓道さんには「蒲焼さん太郎」でもミニ四駆レースの景品として非常にお世話になりましたので、後先や商標云々で両者の優劣を今更付けるのは筋違いだといえます。
やはり決着は素手喧嘩(ステゴロ)!実食あるのみです!
しかし、ぶっちゃげどちらも大好きな筆者としては非常に困りました。
純粋な駄菓子として見ると、殆ど変わらない価格なのにボリュームもふんわり感もジューシーさも上で、更にちゃんと主張のあるソースまで乗せている菓道製カツの勝ちは揺るぎません。
高校時代の私もそうでした…受験勉強で疲れた学校の帰り道、バス停横の商店で買って、家までの徒歩時間に齧った菓道製カツの食べ応えには何度救われた事か。
しかし、勉強でヘトヘトヨロヨロになった時にお世話になりまくっていた筆者だからこそわかる「弱点」があるのもまた事実です。
それは、ジューシーさゆえに脂が胃にもたれ、どうかすると飲み物で洗い流したくなったり食べ直しをしたくなる状況が割と頻繁にあった事です。これは菓道製カツに限らず「安くてジャンクな揚げ物」共通の弱点ではあるのですが…
ところが…すぐる製の元祖ビッグカツには、それが殆どないのです。
この「後味の良さ」は、とにかくカロリーとボリュームを欲した受験生時代には物足りなく感じたものですが、大学進学後バイクに乗り始めてからはそれが一転、大きな美点となりました。
バイクはヘルメットを被って乗る乗り物なので、クルマでのドライブのような「ながら飲食」に大きな制限が掛かりますし、全身を使ってマシンコントロールを行う性質上、食後の胃もたれはタイムロスやストレス・疲労に直結しかねません。そういう状況下では「小腹を満たすには充分だけど胃もたれや不快感とはほぼ無縁」なビッグカツの特性は非常にありがたく、ツーリングのお供としても最高クラスの親和性を持っていると断言できます。
まさに天性のライディングギア。昭和生まれのバイク食。
ライダー目線になると一転、ビッグカツの圧勝です。
「とんかつ風駄菓子」であるビッグカツ一族が定番人気商品である事からもわかるように、とんかつは大変魅力的でおいしく、人を元気にさせてくれる食べ物です。かつ丼もおいしいですしね。
余談になりますが、すぐる製ビッグカツには他にも「プレミアムカレーカツ」という上位バリエーションがあり、店員Kさんから分けてもらって食べたのですが、上品なカレーソースと衣に仕込まれたカレースパイスによるシナジー効果がハムカツ以上にヤバく、比較レビューにならないという事で今回は掲載を見送りました。
トヨタアクア相手に日産GTRでゼロヨンを競うようなものです。
最後に、ビッグカツ製造元であるスグル食品様の公式サイトが良い意味での駄菓子チックなチープさ漂う素敵サイトなので、応援の意味を込めてリンクを貼っておきます。
公式キャラ「ビッグカツくん」「ころもちゃん」も可愛いですね。
といった感じで、クラッチワイヤー切れ案件とビッグカツ案件が並ぶ変な記事になってしまいましたが、
そういうカオティックな日常もまた、バイク乗りだなぁ…と思います。
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