構造審査よもやま話 第10話 ~適判と確認の申請日程の話~
「適判の本受け、1か月前の日付にしてください」とか言ってて草。
それがしたかった、ってことは、やっぱお前の連絡ミスじゃん☆断罪☆
適判対象物件に関してですが、
設計者様が確認機関と適判機関に別々に申請する必要があります。
「確認の正」「確認の副」を確認機関へ、
「適判の正」「適判の副」を適判へ、
それぞれ設計者が持ち込むというシステムです。紙ベースの場合。
流石にこれは理解がほぼ得られている状況です。
ほぼ、としか言えないのが困りもの。
で、審査が終わった段階では「適判の副」を原則は設計者が確認機関へ持ち込むことになります。
適判から確認へ郵送する場合もありますが、その場合は建築主(または委任を受けた設計者)からそのご指示を頂かないと適判が勝手に郵送は出来ません。信書扱いですので。
こちらは理解がだいたい得られている状況でしょうか。
だいたい、ですね。
後は勝手にやってくれてるもの、と思っている設計者様がちらほら。
なんで未だに「だいたい」なんだろう。なんで消防が適判に連絡すると思い込むんだろう。
こちらの周知・発信が足りないのかなぁ。イヤイヤイヤ。
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さて先日ですが
事前審査が終わって構造図書だけ2部、構造設計から郵送してきた案件がありました。…①
本申請用の図書だろうと思い内容の確認だけして
「申請書類と意匠図が無いので本受付は出来ませんよ、構造図書の内容はOKですよ」と構造と意匠に連絡しました。
1か月ほど経ち、適判の本申請書類を持ち込みたいので必要書類を教えてと意匠設計者から連絡ありまして …②
必要書類はコレとアレと、みたいな話を済ませた後、
「確認と適判の本受付のタイミングを合わせたいので確認機関の本受付日または本受付予定日も、持ち込む際に教えてください」と私から話しました。
持ち込みは結局郵送でしたが
「意匠の事前審査が確認機関でまだ終わってなくて確認の本受付が未です。連絡ありましたら案内します」とメモが。…③
まぁ良くある話です。
その後、意匠図は先に送ったので変更なし、とか、確認が受け付けた、とか、適判も本受けにして、とか、そんな連絡も一切なくて、また1か月ほど経ったのですが
「まだ確認機関に適判副本が届いてない、どうなっているんだ」と意匠設計からお怒り電話が。
審査側の常識に照らして言うと、「どこからツッコめば良いのだろう」としか言えません。
この記事を読む設計者様は、この意匠設計者に共感する所があるでしょうか。
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すれ違いを嘆いても始まらないので隔たりを埋める努力をしてみます。
先ず上記のフェーズ①
原則は構造も意匠も申請書類も耳を揃えて本申請に臨んでください。
どの書類も相互にリンクするわけです。私は構造適判員ですが意匠図も申請書類も構造に係る部分は判定対象なのです。
構造図書を見るときに意匠図が無ければ、意匠図が来た段階でもう一度見直す必要が有ります。
「構造図書は構造設計から送る、意匠図と申請書は意匠設計から送る」は全然OKです。
「意匠図がまだ審査中だけど、構造はFIXしてるから構造図書だけ出す」もOKです。
場面によってはその方が迅速になるのでこちらから勧めたりもします。
「意匠がまだ変わるかもしれないけど構造の事前審査を直したからとりあえず出す」はツラいです。
変わるかもしれないものを無料で審査するのは馬鹿らしいです。
ま、上記の例にも書いた通り見てあげるんですけど。たぶん構造は変わらないから。
実際には何回も変わって都度構造審査したこともあるけど。
次いで上記のフェーズ②
・必要書類はHPに書いてある、って理解できないかなぁ。なんで理解できないんかなぁ。調べる能力ないんかなぁ。
・構造の提出から1か月も経ってますが、その間の意匠変更は構造に影響なかったのか言及もないのは
やはり①のご理解が不足していると言わざるを得ません。
ゼネコン出身の私には意匠と構造の足並みが揃わない個人事務所がどうにも疑問です。
最後に上記のフェーズ③
確認の本受付は消防送りが絡むので事情が異なりますが
適判は、確認が事前審査中、だったら本受付はしないです。ありえないです。
理由の一つ目には①で述べた通り変更があるかもしれないから。
確認と適判の図書の構成を揃えるのが望ましいのですが
(確認機関の業務をやり易くするため、ひいては確認機関が設計者に認可済証をスムーズに渡すため。適判の本音はどうでも良い)
どちらかを先に本受付して、修正して、もう一方を本受付しようとすると本受付した方だけが追加説明書対応になるのですね(秘密の抜け道は有ります)。
どちらも追加説明書にするなら良いのですが。
理由の二つ目には
適判は本受付日から14日以内に指摘を出すか通知書をおろすかしなければなりません。法律です。
早くに受付をしてしまうと、確認や消防や行政がまだ掛かっているうちに14日が来てしまいます。
そこで通知書をおろせば、その後の適判図書の変更は出来ません。変更したければ適判計画変更になります。
適判としては設計者のためを思って確認機関と同じタイミングで本受付することを推奨しているのです。
押しつけがましい?
でも適判が楽に仕事してよいなら
確認と図書の構成違ってても適判には関係ないし、
確認や消防終わってなくても適判終わらせれば私の手は離れるし、
通知書出てから変更したいなら適判取り直しするなら適判手数料の利益だし。
そのようにしている適判があるのも知っていますがサービス業としていかがなものか、と思います。
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上記の例に戻りますと、適判の本受付を保留にしたのは私にとっては当然なことで。
むしろ、「適判の本受けを保留にしといて」と言われた、と認識していました。現にその意味でその言葉を用いる設計者様がほとんどです。
「連絡が無かった」とかなんとかグダグダ言われましたが、そこまで手取り足取りしなきゃダメかね?こっちはお母さんかね?
先方にも言い分があると思われますので、私がこの記事で一方的に断罪するつもりはないのですが
審査側がどのような手順で進めているか、の理解をして頂けるとお互いに助かるのではないか、と思います。
もっと本音を言うと、申請業務も構造に関しては構造設計様がまとめて欲しい。
請負契約の関係かも分らんけど。出しっぱなし、良くない。
中途半端な意匠設計が絡んでくると話がかみ合わなくて困る。中途半端「に」ではなく、中途半端「な」。
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