やっぱり世の中は現金

 秋に差し掛かり、大学の秋学期がはじまった。また朝から約2時間かけて通学するのかと考えると腰が重たくなってくるが、涼しくなってきたので幾分以前よりは楽になった。冬のことを思うと今から気が滅入ってしまいそうになるが、新しいマフラーを買うことを想像して気持ちを払拭してみる。
 それに、近頃は大学に通うのに楽しみなこともある。

 朗報、とろろまる散歩にハマる

 春学期よりも時間割に余裕ができたことに加えて、毎日お昼に空きコマがあるのでその時間を活用し、散歩の時間に充てることにしたのだ。元来歩くことは嫌いではなかったし、運動不足解消になればと思ってはじめたがこれが大当たりだった。大学の周辺は適度に緑や住宅街があり、見ていて飽きない。平日はあまり人もいないので普段は入ることをはばかられるような児童公園で堂々と遊んだりもしている。もちろん1人で。
 秋の気候が過ごしやすい、ということをこれほどまでに実感したのは生まれて初めてかもしれない。日を増すごとに欅は葉を落としているし、一昨日から金木犀の香りもするようになった。夏から冬にかけては年末に向かって一直線といった感じで毎年忙しくなりがちだが、そこにはひっそりと秋がいたのだ。
 そんなこともあり、現代人もなんだかんだ自然に触れて季節を感じるべきなのかもしれないと感じる今日この頃だ。

 さて、話は少し変わるが私はついにGoogleマップをインストールした。あまりに遅すぎるが、今まで何となく逆張ってしまってアプリを入れていなかったのだ。使ってみるとなんとこれが散歩との相性が抜群だった。行きたい店や散歩中に気になった場所をタグにまとめられる、という点がお気に入り今では毎日アプリを立ち上げている。
 どうしてもっと早く入れなかったのだろうか。
 だが私に関していうとこのようなことはよくある事で、以前にも、キャッシュレス決済を導入した時に同様の感想を口にしていた。高校生の頃の私は現金大明神だったか現金奉行だったかを自称していて頑なに現金しか使わなかった。そんな私が大学生になってクレジットカードを作った際にスマホにID決済を登録することになった。はじめて使ったキャッシュレス決済のなんと便利なこと!財布を持たなくて良いとはこんなにも身軽な事なのか、と素直に感動した。これは私の友人も皆現金払いをしなくなるわけだ。
 現在も友人と食事に行くと必ずと言って良いほど
「現金ないわ、PayPayで良い?」
 という会話が1日のうち必ず1回は発生するので、ああ、あの時高校卒業とともに現金大明神も卒業しておいて良かった、と思っている。

 そう、思っていた。昨日までは。
 お昼どきだったのでGoogleマップで目星をつけていたカフェに行ってみようと歩いていると、カフェの入り口でとあることに気がつく。
 あれ、ここの店現金のみって書いてない…?
 そのあと数件回ったがどの店も現金のみしか使うことが出来ず、あえなく断念することとなってしまった。クレジットカードやバーコード決済は手数料が取られるので使えない店もある、ということは念頭においてはいたがまさかこんなに多かったとは。行こうとしていたカフェはどこも個人店だったのでそのことが仇となってしまった。
 結局キャッシュレスの確約されたチェーンの店で昼ごはんを済ました。美味しかったが、これは悔しい。
 けれど、これも新たな学び。今後はランチ一回分程度の現金は持ち歩くようにしよう、と誓った。次は現金百姓になる。

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