day11 優しいブーメラン
最近は少し減ったが、息子はよく友人関係の悩みを口にする。
人のことをよく見ていて、彼なりに考えてるからこそ、気になることも日々あるようだ。
「あー、あの子、そういうところありそうだね」「母さんが子どもの時も、同じようなことで悩んでたよ」と、本当に思っているからこそではあるが、共感の言葉を述べることが多い。
大人の立場からすれば「気にしなくていいよ」とか「そういう人もいるよ」と言いたくなることもあるが、息子の話を聞くときは、私も小学生に戻って一緒に悩む。
ただ、発達の凸凹がありそうな子の時は、少し口を出す。
「コミュニケーションが少し苦手そうだよね」「本人も、困ってるかもね」とか、「仲良くするの難しいけど、そういうところがある子なんだろうね」など、少しだけだけど、息子の考えが広がるような声かけをする。
高学年にもなると、「クラスの大半がキライと言っている子」がいて、いじめの種が見え始める。
いや、すでにいじめなのかもしれない。
その子のことを、接するのが難しいな、と感じることは仕方ないと思う。
みんな仲良くなんて無理に決まっている。
ただ、その子が性格が悪いとか、いじわるだから理解しがたい言動をしてるのではなく、本人もどうしようもないけどそうなっている可能性を息子には伝えたい。
息子にはそうやって冷静な視点から伝えることができるのに、私自身はというと、実はそこの切り替えが苦手だ。
例えば私の母は、発達の凸凹、育ちの傷により、思考の癖が激しくて、ちょっと接しただけで私は嫌な気持ちにさせられる。そんな時に、この考えを適用して、母の性格のせいじゃないなど、考えられない。
性格悪!!と思う。
でも、息子にはそれを受け継ぎたくないから、母さんはできないんだけどと前置きした上で、「おばあちゃんは、こういう人だから」「こう話さないと、伝わらないかも」などと対策を伝えている。
私ができないことを言ってごめんね。と、いう気持ちを持ちながら。
母だけじゃなく、友人に対しても同じだ。
苦手な友人がいて、独特のコミュニケーションなので、どうしても深く関わるとこちらが傷を負う。
最近でこそ、やっと、その人はそういう人なんだ、と思えるようになってきたが、それでも苦手意識はある。
つい最近、息子の前で、昔のこととして、その友人に言われた言葉を口にした。
信じられないことを言われたけど、やっと最近、悪意はなかったと思えるようになったよ、というような流れで。
すると、息子は「その人はそういう人じゃん!」「それが、◯さんなんだよ」と笑っていた。
子どもって、すごいと思った。
親の言葉を吸収して、それを発展や応用させて、自分の価値観にする。
たとえ、親が実践できてなくても、それをしたいと思いながら伝えていれば、それを自分のものとして、いつかこちらにその子の言葉で返してくれる。
なんて優しいブーメラン。
私が感動していたら、「褒めてくれてありがとう」と喜んでくれたけど、そんなこと言ってくれてありがとうだよ。
私自身は、まだまだ自分にも人にも厳しくて、自分を責めたり人を批判する心が消えないけれど、息子にバトンが渡らないように、これからも理想を伝え続けたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?