電気設計シミュレーションについて(SI)6

リターンロス解析は、Sパラメーターのうち透過特性が規格内に収まるか解析するものである。
Sパラメーター(Scattering)は伝送線路をブラックボックス化し、入出力の周波数特性を散乱行列として表したものである。TDRが時間軸なら、リターンロスは周波数軸と言える。
ちなみにコネクターなどを伝送線路解析で考慮する場合はSパラメーターを等価回路として用いることが多いが、ある周波数下での使用を想定していることに注意が必要である。

さて、リターンロスは周波数に比例して悪くなるのが普通である。グラフとしては右肩上がりになる。それがある共振点で「良くなる」と反動として「悪くなる」。
TDRと密接な関係がある。インピーダンスが低いと共振点で一時的に透過特性が良くなるが、その後は一転してインダクタンスの領域になり、悪くなるという訳である。
リターンロスの規格値は、ある周波数で規定値が緩和される。その周波数の近辺がもっともマージンの取りにくいところになるため、共振点をある程度コントロールする必要がある……インピーダンスが整合していれば問題ないと言えないのがリターンロスの難しいところである。

いいなと思ったら応援しよう!