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USB TYPE-Cがちょっと好きな話
USB TYPE-Cは両面挿しができて便利ですね。
基板設計の視点でこれのちょっと好きなところを解説します。
題材はこれ、日本航空電子工業さんのTYPE-Cコネクター。
A列は面実装の端子、B列は挿入実装の端子となっています。部品実装は大変ですが、両列が面実装のタイプよりもこじりに強い。
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さて、両面挿し可能というのは。
DP1=DP2、DN1=DN2にしておけば、どちら向きでケーブルが挿さっても導通します(以下、双方向データ信号を例にします)。
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イコールにするのは基板上の配線です。当然ですが、その配線はクロスします。ケーブル勘合部の端子位置が上下で反転しているので。
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この狭い端子間に配線ビアを打ち、クロスを解消するのは物理的に不可能です→部品の外側でクロスを解消するということです。
また、構造的にDP1/DN1がケーブルと接続すればDP2/DN2はスタブ、DP2/DN2がケーブルと接続すればDP1/DN1がスタブになります。信号品質的にスタブ長は短くしたいところです。つまり、DP1/DN1-DP2/DN2間の配線は短くする。
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加えて差動信号なので、P/N間の線長差も小さくしたいところです。たまにDP1-DP2をオモテ層、DN1-DN2をウラ層で配線してクロスを解消しているケースを見ますが、ビアの寄生容量や板厚を考慮すれば等遅延とは言えなくなります。インピーダンスも崩れますし。
といった感じで、信号品質に不利な状況でどう配線をするか?が面白むずかしく好きなところです。
私のおすすめの配線はこれです。
差動のL/Sがあるのでそんなに綺麗には配線できないよ、と言う方もいるかもですがイメージとして。スタブは短く(なるべくビアをA列に近づけてください)、P/Nの線長差はゼロになるはず。
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オモテウラの使い分けにも理由があります。なぜウラ層をメインの配線層として選んでいるのか?ぜひ考えて楽しんでみてください。