720人に笑われた話
中学二年生の頃
美化委員になった。
最初の集まりの時に、役員決めをする。
私は ぼぉ~っと外を眺めながらただ聞いていた。
自分とは関係ないと思っていたからだ。
それなのに、知らない人から推薦されて美化委員長になってしまった。
委員長の仕事は嫌いじゃなかった。
夏休みや冬休みが始まる前日に
もう誰もいない校内を
先生と見回り
汚れているところを掃除した。
そういう地道なことは自分に向いていた。。。のに
夏休み前日の朝礼で、事件は起こった。
体育館で全校生徒が集まる中
委員長たちは順番に壇上にあがり
夏休みの過ごし方やら
夏休み前最後の掃除についてを
話さなくてはならない。
はっきり言って誰も聞いていない。
早く終われ!と思っている
先生が一緒に考えてくれた原稿を
ただ読めばいいだけだ。
昔、誰かが言ってたことを思い出した。
人だと思わないで野菜だと思えばいい。
壇上にあがり、演台に置いてあるマイクに軽く手をあてながら意外と
すんなり読み終わった。
ほっとした。
そして
なぜかマイクを手に持ち階段を下りた。
それに気づいた全校生徒が一斉にドッと笑った
当時、一学年240人×3=720人位がだ
体育館が揺れたような気がした
もう、じゃがいもたちには見えなかった
なぜ、笑うのか理解できなかった
何がおかしいの?
マイクを持ちながら降りてきたのが歌手みたいだった?
私の頭の中はハテナでいっぱいになった。
私の後にも他の委員長が壇上で話す予定になっていたし
元々、設置してあったマイクを
わざわざ持って降りる必要はなかったようだ。
そしてそのマイクをもてあまし
一番近くにいた風紀委員長のみぞおちあたりに無理やり押し付けた
今の私だったら、こんな大勢にうけた!と嬉しくなってしまうだろう
教室に戻るまでの足取りがとても重かった。
あの時のことを考えると
今でも心臓をキュッとつままれるような感覚になる。
(実際には心臓をつままれたことはないですが笑)