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第80講:春夏秋冬

おカネが春を届け、夏が過ぎて利息が実った秋の後、また冬がやってまいりました(^^ゞ


或る男

或る男がおりました。とある金融会社に長年勤め、まもなく定年。不幸なのは、中途半端に偉かったこと^^;
業界の流れを読んで部下を動かし、それなりの成績をあげていたのでしょう。が。男は、経済企画庁長官じゃありません(^^ゞしかし、男には世の中の流れが手に取るように判っていた。そう思いこんでいたのが、不幸の始まりでございます(^^ゞ


シベリア的春

男は、1年以内に迫った定年後のシミュレーションとして株式投資をはじめました。長年たくわえた経済感覚にモノをいわせて、株で食って行こうというのでしょう。それなりに儲かって、男には遅咲きの春がやってきました(^^)


シベリア的夏

春の後は、夏がまいります。シベリアの場合、夏は地表面の永久凍土が溶けてずぶずぶの泥沼になります^^;
男の人生も、それまでのしがらみが溶けはじめさいふも緩んできたようで、ばっかんばっかん投資します^^;
でまあ、その「若干の資金」調達のため、うちで最大の融資額の出るカードが申し込まれました。株を買う目的と思われる融資がど~ん(^^ゞ
春のうち数ヶ月は毎月の引落ができており、うちの会社にとってみれば高額利息を払ってくださるよきお客様でありましたが、この頃になると100万円を借りた翌月80万返済と、ものすごく激しい動きをしとります^^;
3ケ月の間に、50万円以上の融資が5~6回。臨時返済で残高ナシになったのが、やっぱり4~5回^^;
計算表をつくりながら

取;なに?この乱高下は?^^;

と、その後の展開に期待しはじめます。しかし。飛行高度が乱高下して与圧変化が大きいと、機体の構造部が金属疲労を起こして使い物にならなくなるのも、これまた事実であります^^;


さて。みのりの秋でございます(^^ゞロシアでは、この時期になると森にキノコがボコボコ生えてきますので、みなさん週末にキノコ狩なんぞして豊かな森の恵みに謝意をささげるのであります。
われらが債務者も、カードローン残高に秋を迎えております。キノコの代わりに利息が生えて、限度額の空きがないのであります(^^ゞあたくしの経験からしますと、返済した分だけ空く枠を利用して毎月1万円とか借りはじめると、いよいよその債務者に終わりが近いと感じます。しかし、大抵は事故化するので、カードローンが秋を迎えると、あたくしたちは迎撃態勢を整えこそすれ、謝意はささげません(^^ゞ
そして秋(空き(^^ゞ)が終わると、いよいよ寒い冬の到来であります(^^)


冬のたより

さあ、いよいよ冬がやってまいりました(^^ゞ北風の便りに代え、裁判所のおたよりであります(^^ゞ

破産宣告
債務者を破産者とする。
財産・免責に関するご意見は裁判所までどうぞ。

裁判所

さて。われらが債務者は、破産宣告の9ケ月前にうちの会社とカードローン契約をし、破産宣告の2ケ月前にもカネを借りております。あたくしは思わず

取;【にやり】(^^ゞ

最近、ボスからこのテの案件について攻撃命令が出とります。そこで、うちは債権者であるから申立書一式を全部コピーしてきます。
で。破綻原因を知るため申立書の「破綻に至った理由」という部分を読んでみると、こんな事がわかりました。


破綻の原因

債務者は、試しに始めた株式投資に最盛期を迎えていた通信株を選び大儲けしておりました。好況に気をよくした債務者は、欲をかいてさらに大きな取引に手を出し退職金を前借。ちょうどそのとき、どっかの携帯電話屋さんの破綻^^;やがて気がついた時には4~500万の借金がありました。で。
そこでやめときゃよかったんです。ところが。奥さんに内緒でやってたもんだから

債;退職金ど~しよ~^^;
債;いや。稼げばよいのだ(-_-;)

と、再び戦列に復帰^^;そしてうちのカードもつくり、借りた資金で今度はIT株に参戦。しかし。参戦がすでに時遅く

債;損があっ!(;_;)
債;うああっ!(;_;)

と、穴埋めのための投資を繰り返したのですが、これが奏効するどころが逆に穴を広げついに破綻(^^ゞ


戦後処理

さて。敗戦処理を誤りますと、国民は瓦解のどん底で呻吟いたします。債務者の敗戦処理はまさに間違いで、やがてあたくしからこんな書類を食らいました(^^ゞ

平成12年(フ)2号
平成12年(モ)6号
破産者;ぼくのおもちゃ
免責に対する異議申立書

破産宣告の9月前、株取引で多大な損失を抱えながら既に破綻の危険性があることを内心知りつつ最初の信用取引をし、2月前に最後の借入があった。
 破産法第366条の9により、本件は免責されるべきではない。

一応、このテの案件には必ず不許可の意見陳述をし、免責に異議をつけとります(^^)まあ、免責不許可になるのは百件だして2件あればいいほうですが、この場合他社からも同趣旨の異議が乱立し

決定
破産者の免責を不許可とする。
理由
破産法366の9により、破産者の免責申立を許可することができない。また、破産に至る事情も裁判所の裁量による免責を許可するに適当ではない。

と、免責が不許可になってしまいました(^^ゞ


氷河期到来

さて。うちだけ非免責ならとってもありがたいのですが、全部非免責であります^^;会社は辞めちまっているし、家は借家だしでとるものがありません。でもまあ、いいんです(^^)あたくしが自分でやった免責不許可の申立が通ったのがうれしいのです(^^ゞその後。債務者は離婚。退職金も既に存在せず、破産者の烙印。わずかなおカネが債務者に春を届け、永久凍土が溶けた夏には借金というおカネの泥沼へ^^;

秋に実った、利息というおカネ。そして冬を迎え、おカネの泥沼の水が再び氷結してしまいました^^;シベリアの冬は11月頃始まって翌年5月ぐらいに終わります。債務者は、じつに59年かかって春を迎えておるわけですから、次の春は2060年頃になる予定です^^;マンモスのように氷漬けにならんようお祈りするばかりでございます(^^ゞ

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