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【山陽バスむかしさんぽ】(14)朝霧駅と明舞団地

神戸市と明石市の市境に広がる巨大団地・明舞団地の中央南北に貫くのは明舞中央通りです。
鮮やかなサツキの花が彩る幹線道路を舞子駅前行きの52系統の山陽バスが走り抜けていきました。

明舞中央通りを行く山陽バス

明舞団地へ乗り入れるバス路線が開設されたのは1965年1月のことでした。ただし、この路線は現在の南多聞台2丁目停留所に当たる「西舞子団地」まででした。

開発の進捗に伴い、西舞子団地への路線が開設された2年後の1967年には南多聞台7丁目へと延伸されます。
路線はそれまでの往復路線から舞子公園駅山側にあった舞子駅前バスターミナルから西舞子団地と南多聞台を経由して舞子駅前バスターミナルへ戻るラケット状の循環路線となりました。

西舞子団地方面への経路

明舞センターの北側から山田川沿いの谷へ下る坂道が続いています。かつての循環路線は西舞子団地から明舞北センター付近へ上り、明舞中央通りを通ってからこの坂道を下っていました。

山田川沿いの谷へ下る坂道
山田川沿いの谷へ下る坂道
山田川沿いの谷へ下る坂道
西舞子緑地の碑と谷の向こうの舞子坂の街並み

坂道を下りた先は西舞子小学校東交差点で、ここから他の舞子線と同じ経路で舞子駅前へ戻っていました。ちなみに、この路線は午前は西岡橋と西舞子団地を先行する左回り、午後は狩口台と南多聞台を先行する右回りで、当時では珍しい運行形態でした。

西舞子小学校東交差点

1968年5月19日には国鉄(現JR)舞子駅前に新設された現在の舞子駅前バスターミナルへ発着場所が変わり、一か月後の6月20日には国鉄朝霧駅の開業に伴い、明舞中央通りを通る各系統とともに舞子駅前発着路線は舞子駅前と朝霧駅前を結ぶ現在の52系統の経路へと変更されました。

舞子駅前バスターミナル

このタイミングで明舞センターの北側からの経路は廃止されています。現在は時折、朝霧駅前などへ向かう回送バスが通るのみで、営業のバスは運行されていません。

明舞中央線を歩いて朝霧駅前を訪ねてみました。

朝霧駅前バスターミナル

明石海峡大橋を望み、大蔵海岸と播磨灘を見下ろす朝霧駅は今や巨大団地・明舞団地の玄関口です。

廃線跡調査が一つのジャンルとして成立している鉄道趣味に対して、バス路線は休廃止されればそこはただの道路になってしまいます。そのせいか、「廃バス跡」の調査はバス趣味の世界でもかなりマイナーな分野なのが現状です。しかし、「廃バス跡」の調査からは忘れられ、失われてしまったちょっと昔の町の姿が見えてきます。この「山陽バスむかしさんぽ」シリーズでは、今の神戸や明石を歩きながら、かつて走っていた山陽バスと昔の町の面影を辿っていきたいと思います。

参考文献
山陽電気鉄道株式会社『山陽電気鉄道百年史』(2007年)
山陽電気鉄道株式会社『山陽電気鉄道六十五年史』(1972年)
神戸市交通局『神戸市交通局100年史』(2020年)
関西図書出版社『観光と産業の神戸市住宅地図 垂水区東部 昭和40年』(1965年)

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