ピザの思い出
今日の夕食はピザだった。サイコロの目がトレードマークのチェーン店で、チーズたっぷりのピザをデリバリーで頼んだ。父の支払いで自分の懐が痛まないのを良いことに、嬉々としてキャンペーンのトッピング2倍盛りもお願いして。
ピザにまつわるもっとも古い記憶は、友達のお誕生日会だ。「ピザ=お祝いで食べるスペシャルなもの」というイメージは、どうやらこのとき生まれたらしい。
カリフォルニアの幼稚園に通っていた頃、友人の誕生パーティーに招かれた。自宅に招いたり招かれたりの誕生日会はそれまでもあったが、地元でも子供に人気のピザレストランでのお祝いは初めて。お呼ばれされたことが嬉しくて、ドキドキワクワクした。アメリカらしいサイズのピザとカラフルなケーキを囲んで、みんなでキャッキャとはしゃぐ楽しい時間を過ごした。
その最中に、だ。
店内の照明が絞られ、「ハッピーバースデー!」を繰り返すレストランのオリジナル曲が流れ、着ぐるみのキャラクターたちが躍りながら私達のテーブルに向かってきた。スタッフの方々や他のお客さんが音楽に合わせて拍手をしてくれることもあり、私たちのテーブルの盛り上がりは最高潮を迎えた。
正直にいえば、その時のピザの味も形も、キャラクターの造形も、なんなら誰の誕生日だったかも覚えていない。ただ印象的なこの出来事は、アラサーとなった今の私がピザを食べるときにもウキウキソワソワする要因となっている。
ジュースの代わりにお酒を飲むような歳になっても、やっぱりピザはおいしい。そして胃薬を必要とする朝がくるとしても、ピザを食べる楽しみはやめられないのだろう。