おとぎ話をあなたに《詩》
夢うつつで聞いていた 母の語るおとぎ話
今では私が私なりに
我が子に聞かせた ベッドの中
最初に演じた 親指の声
ドレスを巻きつけ ゆらゆら動かした
流れるような針裁きは 小川のようだな
糸の一つ一つが鈴のような命を吹き込むのさ
ブリキの音色が刻む 怪獣の歯並びは
子どもの頃よく弾いていた
ピアノの鍵盤に似ているようだ
私たちしか知らない おとぎ話でもあなた
最後のページをめくるまで
魔法かかるよに 眠るのだ
ボタンの瞳 取れたらつけ直し
フェルトの花束 ドレッサーに飾り
けがれを寄せつけないのは 純正な心が
泥沼へも足を進ます勇気を作っているおかげさ
ブリキの鎧をまとった 水の妖精が踊る
部隊は小粋な睡蓮の上
そしてお相手は子どもの龍
私たちしか知らない おとぎ話でもいつか
最後のページを読み終わり
名残惜しみつつ 閉じるのだ
真白の仮面をつけて 花の妖精は踊る
子どもの頃よく弾いていた
陽気なリズムのソナタにのって
ブリキ色のした怪獣 睡蓮の周りで踊る
大団円とファンファーレ
きっとこの続きは見れないだろう
私たちしか知らない おとぎ話でもいつか
表紙を変えながら次の子へ
夢をささげるため 渡るのだ