閻浮堤《詩》

アアア 何て素晴らしき この閻浮堤えんぶだい
うつらうつら浮かれ先の人生みちをいくよう
アアア 何て素晴らしき この閻浮堤
あなたふわふわ付和雷同 我は憂える
 
くるりくるり 回る回るカラリ風車
雪よ花よ 泡立つ波が宙を舞う
鬼は問うた 義と誠とは何ぞや
無知の若人 転がるむくろを踏みしめて
 
焦がれるうらは冷水の如く 只ひたすらに帰りを待つ…
 
そして人はそれぞれの化け皮被り付け
髄の先まで噛みついたかの牙を仕舞う
アアア 何て素晴らしき この閻浮堤
泥にまみれた背を連れて歩いていくよう
 
ひゅるりひゅるり ふらり重い足取りの魂
囃子はやしに乗せて この祈り捧げよう 今
時代の流れ 諸行無常の響きあり
くさむらには 血に錆びたつるぎがありて
 
ほむらを洗う静水の如く 死に花を咲かすにはまだ…
 
地獄極楽 徂徠そらい徂徠 見る目嗅ぐ鼻 四種の花
そら火照ほでり鬱鬱 空合い空合い 四百四病しひゃくしびょうほかに似る
 
空知らぬ雨は清水せいすいの如く 只ひたすらに帰りを待つ…
 
そして荒ぶる神のいかずち 平手打ち
研ぎ澄まされた頼みの刃は砕かれ
アアア 主らは人か 角のない額
夜昼輝く心に棲まう鬼たち
アアア 何て素晴らしき この閻浮堤
アアア 素晴らしきこの閻浮堤に…

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