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過去の積み重ねの上に事業再生の成功はない

過去の積み重ねの上に事業再生の成功はありません。過去をそのまま実行すれば破綻の道へ繋がっています。どう変えるのか?自社の強みから新しい要素を作ることが大切です。

注目すべきは、社内に芽はあっても埋もれているもの、顧客が示唆しているが自社戦略との整合性で採用されていないことです。それらを元にマーケティング戦略再定義します。成功する事業再生には、マーケティング戦略の刷新が必ずつきものになります。

なぜ旧弊を踏襲してしまうのか?

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事業再生の仕事は後ろ向きの仕事を、過去に引きずられながらやるという特徴があります。わかっていてもできない、直したくても治せない。それが事業再生のつらさなのです。新しいところから始められるのであれば、こんなにも楽なことはありません。

過去が原因となり、資金繰りの危機が毎月毎月、社長を襲います。事業再生に挑むという事は、断続的な危機に対応し続けるという事なのです。危機に相対して自分が蒔いた種だからと頑張れますか?難しいです。また、資金の無い中で、新しいことを始めるにはどうしたらよいのでしょうか?

過去を振り返ると落ち込む。未来を思うと不安になる。新しいことに力を割く精神的余裕も金銭的余裕もない為、やむを得ず現状を踏襲する形になるのです。

結果として、問題がある現状を維持してしまうことになります。すなわち旧弊(古い習慣・制度などの弊害)を踏襲してしまうこととなります。

遠回りなようで事業再生に成功するチャンスのあるマーケティング戦略の刷新

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一度、事業再生フェーズに突入すると、いわば“銀行管理”の状態になります。リスケジュール(返済緩和措置)による支援を受けると、事業計画から資金管理まで金融機関の承諾を受けながら行い、1から信用を築き直す、信用回復に努力する必要が出ます。

そうなると金融機関が好む事業再生のための方策を採らなくてはならなくなります。まず当たり前に要求されるのは、経費圧縮です。ただ、事業再生に突入した会社が銀行調整と販管費圧縮だけで良い会社になるという夢のような話はありません。取り組んだ1年目は経費圧縮に着手するので従前より良くなります。2年目は1年目の取組が通期でコストカットに寄与します。

3年目はどうでしょうか?多くの例では、コストカットのみに終始した歪みが現れます。人件費カットが従業員のやる気に影響する。設備の更新や修理修繕費のようなものを先送りしていたものがついに故障し買い換えの必要が出る。広告宣伝費を圧縮した結果、新規顧客が減少し、既存顧客も自然減でベースとなる売上が毀損する。我慢我慢の事業再生も3年が限界です。最初は協力的であった従業員も「給料が上がらない、賞与が出ない」など、様々な事象を理由に離反をし、離職も相次ぎます。

戦略予算を確保する

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歪みが起こらないようにするためには、我慢を強いるだけでなく、リスケジュールにより銀行管理の状態で圧縮した経費を、一部戦略予算として再投資することが重要です。顧客の存在がないがしろにされた、事業再生に成功はありません。会社の再建と金融調整に明け暮れると、顧客への打ち出し方が凡庸になり、前例踏襲となり、顧客の興味関心を引けなくなってきます。ライバルの存在にも気を配れなくなり、競争している感覚がなくなり、後塵を拝する結果となります。

戦略予算が確保できていれば、人員を一新する、マーケティングを新たにする、拠点を変えるなど、戦略の変更を実施する事ができます。大がかりな痛みを乗り越えてこそ、次の10年が見定められます。金融機関が想定する経営改善計画の範囲(経費圧縮がメイン)では、現状維持が精一杯であり事業再生に成功する可能性のある打ち手に挑戦できません。経費の圧縮とは、単なる足し算引き算の議論に過ぎず、経営再建に効き目のある一発逆転のかけ算をするチャンスがないのです。

何も博打をしろと言うわけではありません。マーケティングの予算を確保して、ウェブへの投資を中心に、自社が直接顧客へ語りかけるオウンドメディアを持つことは大変有効です。マーケティング戦略の刷新は、顧客接点から発想した方が打ち手がズレにくいです。刷新されたマーケティング戦略の元、新商品の投入やブランディングへの取り組みを行う事で、売上利益の向上とへつなげます。

事業再生でマーケティング刷新が注目されない訳

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マーケティングの刷新により事業再生を成功させるという視点が、金融機関にも、再生支援協議会にも欠けている理由は何故でしょうか。再生に取り組む会社では、人材や発想がなく実践が難しいと言う側面も確かにあります。

マーケティングの刷新は、コスト削減と比較し成果に繫がるか不確かな面がどうしてもあります。マーケティングに予算を割くくらいなら、リスケジュールしている、借入金の返済を行って欲しいというのは、債権者としては当然とも言えます。

金融機関に返済を求められても、事業計画やバンクミーティングで戦略予算の確保を認めてもらってください。成功する事業再生には戦略を実行するための予算を手元現金として確保することが必須です。その必要性を金融機関や経営者に理解していただけないことも多いです。

予算を確保しても、マーケティングのために新たなドメインの設定を行い、社内でコンテンツを作り続ける事が難しい、持続力が無いことも多いです。しかし、事業再生をやりきる、勇気と覚悟が必要です。凡事徹底で社内に新しい当たり前を作ることが必要です。社内にも必ず、世の中に関心を持ってもらえるコンテンツがたくさんあります。社長や社内の人間が当たり前すぎて気がついていないだけです。成果に結びつくまで発信を続けます。

成功はすべて型破り

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成功はすべて型破りだと私も思います。事業再生にマーケティング戦略が大事とは森岡毅さんくらいしか強く言及していませんが、予算のない中小企業の事業再生でも私は必須の要素だと思います。マーケティングの試みが顧客志向で自社を再定義する機会になると思います。

情報発信を通して、顧客に社内の顔が見える体制を創ります。直接顧客に接する機会を作ります。品質は人が造るものです。マーケティングだと、急にお仕着せのきれい事を言う人がいますが、嘘はいけません。嘘はつかない、当たり前の誠実さを愚直に発信する事が大切です。

中小企業にとって人の良心との整合性がとれない、浮ついたマーケティングは危険です。実体が無いものを喧伝することも危険です。誠実にありのままを伝える努力をするだけでも、良い変化は十分に期待できます。

これらの取組は、家業から企業に脱却するチャンスにもなります。新たなマーケティングにより、ブランド化による低価格戦略から脱却できる可能性があります。また、マーケティングを通じて顧客リストを整備することにより、再現性のある売上を生み出せる体制に刷新していきます。

ぜひあなたが事業再生に挑むときは、マーケティング戦略の刷新を通じて、過去の積み重ねの上に無い、新たな事業再生の成功という型破りな花を咲かせてください。



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鳥倉大介 会社を承継したり再生したりする人 SoFun関東株式会社 代表取締役 認定事業再生士CTP
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