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今朝、やたらと早くに目が覚めて、

最初に気がついたのは、雨の音。

切間なく葉を打つ、地面を打つおと。
そして、それと重なるように鳴る鈴のような声。

まだ昏いそのなかで、
雨音と虫の声が、渦巻いていた。

隣で寝ている子どもたちを起こさないよう、わたしはそうっと布団から抜け出して、

窓をあけて、その渦が、だんだんと立ち昇っていくのを、聴いていた。

そうするうちに、

身のうちにたぎるような、
渦が巻き起こるのを感じていた。

そうなのだ、わたしはそれを、
守られた家の中で聴いているだけじゃ、満足しない性質なのだ。

渦に飛び込んで、一緒に昇っていかなきゃ、気が済まないたちなのだ。

気がついたが早いか、
身体は即座にそれを実行した。

雨と虫の声を浴びながら、
ひたすら山に、むかっていた。

〇〇〇〇

びっしょり濡れて帰っても、
まだ家族は寝静まっていて、

外にいた時間が、そう長くなかったことを知る。

シャワーを浴びてタオルでぬくぬくして、
また外をみる。

外はまだまだ渦の中。

わたしの身体は今はもう静まり返って、
寝床に帰ってきた幸せに、
すでにくつろいでいる。

わたしはもういちど、抜け出したままの布団に戻り、少し整えながら、くるんと丸くなって横になる。

目がまた覚めるまで、あたたかに、眠るのだ。

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