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息子氏、コインを飲みこむ

【あらすじ】
コインを喉に詰まらせ救急搬送され
入院し全身麻酔で内視鏡手術をするも取れず
とりあえず便秘解消の為に浣腸をすると
うんちと共にコインを排泄、というお話。
 
無事取れたので笑い話になるが、
事故自体は全くもって笑えない話…。
誰かの役に立てるように記録することにしました。

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【1日目】事故
幼稚園から帰った息子はしばらくリビングで遊んだ後、
寝室に移動し1人でゴロゴロ。
私はキッチンで夕飯を準備中のことでした。

突然寝室からあまり聞かない異様な泣き声に驚き、駆け寄ると、
息子はベッドの上で四つん這いになり、顏を真っ赤にして大泣き。
どうしたの!?と声をかけるも泣くばかり。
そのうち、おえっおえっ、と大量のよだれを垂らしながらえずき続ける。
何か飲みこんだの!?と聞くと、首を縦に振る。

慌てて救急相談(♯7119)に電話し、指示を仰ぐ。
救急車手配した方が良いですね、と言われ、そのまま救急に転送かけてもらう。
息子の背中をさすりながら救急隊員に詳細を伝え、部屋まで来てもらうことに。

救急車の音が近づいて来る。電話してから7~8分ほど。
早いんだろうけど、すごく長く感じた。
すぐ斜め向かいのブロックにある総合病院から来ているはずだが、救急隊員の出発準備、マンションのエレベーターの待ち時間など含むと確かに7~8分くらいかかるのかもしれない。
こういう時は戸建の方が良いのかも、と後から思った。

救急隊員がインターホンを鳴らし、3名が部屋に入る。
えずきは少し落ち着いてきたが、また泣き続ける息子。
救急隊員は飲みこんだであろう何かを探る為、
部屋の中のおもちゃ、息子のいた場所周辺に何かあるか、
普段よく手で持っているもの、喫煙者はいないか(タバコの可能性)等を聞く。
特に念入りに聞いてきたのは、
身体の中に入っていると非常に危険な電池・ボタン電池の可能性。それらの可能性は低いと見るも、ひとまず夜間救急の病院へ移動することに。

先頭を歩く隊員、子供を抱っこして声をかけ続ける隊員、
そして、私が家の施錠をするところを見届ける隊員。
(きっと空き巣被害が多いのでしょう)。

救急車に乗ると心臓・肺・血中酸素濃度のチェック。
息子はかなり落ち着いてきて、
救急車内をきょろきょろ見回している。

メインの隊員が話す。
・調べて救急であればそれなりの処置が病院であるはず。
・病院の判断でレントゲンの必要も無いとみて、
 そのまま帰されるケースもある。
・レントゲンを撮ってもプラスチックは写らない。
 写るのは主に金属のみ。
・プラスチックのおもちゃは見えない為、
 飲みこんでも一旦帰って様子見になるケースが多い。
といったことを話す。

きっと、
”これだけ子供が苦しんでいたんだから、原因がわかるまで調べてよ!!”
と希望する親が多いのでしょう。

了承の上、救急搬送。
18~19時頃だったので、夜間救急扱い。
マンションから10~15分くらいの救急病院にて診察することに。

すっかり落ち着いてきた息子。
でも「ここ痛い…」と、首元を指してか細く話す。
飲みこんで通過した所がヒリヒリするのかなと思った。


息子に飲み込んだものを聞いてみる。
遊ぶレゴでもない、お金でもない、ビールの栓でもない(よく集めている)子供でも、ママのものでも、パパのものでもない。おもちゃでもなければ、ゴミでもない。
…一体何???

病院に到着。
先生の判断でレントゲンを撮ることに。
「何も映らなければ一旦帰って様子見になると思いますが…」
と先生。

しかし、撮った後にすぐ先生に呼び出される。
「ちょっと…、もしかするともっと大きな病院に変えた方がいいかもしれません」と言いながらレントゲンを見せる。

その画像を見た瞬間血の気が引いた。

喉仏の下、鎖骨の真ん中あたり、子供の細い食道に
3cm弱の満月みたいな丸い金属の影。


……なんだコレ……


でもすぐ思いついたのは、
先日スーパーで貰って結局使わず持って帰ってきたドライアイス交換用コイン。

ちょうど3cm弱の大型コインで、
ドライアイス交換コインとしては珍しく飾りの無いペタっとしたコインでやたらツヤツヤして魅力的だったのを覚えている。
当然ながら息子にとってもそれはもう魅力的だったのでしょう。

それをキッチンからこっそり取ってきて、
寝室で寝転びながら遊んでいるうちにスポン!と口に入ってしまったのか…


のどから見える範囲であれば病院内の耳鼻咽喉科で処置ができるが、それより奥にある為、大きい病院へ移動して外科での対応になる可能性が高いと言われる。.
恐らくそこで、麻酔をして苦しくないようにし、
内視鏡のような形でチューブを口や鼻から入れて
胃の中のものを引っ張り出す作業になるでしょうと話す。


先生が各所相談してくれて、大きい病院へ移動するこに決まった。
先生同席での救急車移動か迷っていたが、
一旦は気道が塞がる心配が無いこともあり家族のみでタクシー移動することに。

しかし、タクシー内で、またえずき出す息子。
苦しそうに大量のよだれと胃液を吐き出す。救急車にすれば良かった…!と後悔。
でも数分で落ち着いてきて
「もう(胃液)出ないよ~!」とケロッとする息子。


子供専門の大きい病院に到着。夜間救急で受付。
さっそく外科の先生に診てもらうことに。

先生「食道にチューブを入れて、奥でバルーンを膨らまして、
それを喉元へ引っ張り出すことで一緒に異物を押し上げます」
バルーン!?それって麻酔するんですよね?
「いや、麻酔はしないです」

ええええええええ!!!!!

「麻酔は本人の身体への負担が大きいので当院ではなるべく麻酔はしない方針です」
その処置…麻酔無い方が身体への負担大きいのでは…

恐ろしい処置方法に親がかなりガクブルするも、
どうしようもないので従うことに。
レントゲン&処置室に連れてかれ、私はすぐ前の廊下で待つことに。
少しして息子の叫び声が……。。。

10分くらいの処置だったけど永遠に思えた。
「頑張れ!頑張れ!あと少し…!偉いぞ!よく頑張ってる…!」
と半泣きで念仏のように唱える私。


処置が終わり先生が出てくる。
しかし残念な報告を聞かされる。

「胃に落ちてました」

はい!?!?

レントゲンで見ると喉に詰まっているのではなく、
既に胃にあったとのこと。

そこで口からバル-ンではなく、
鼻から磁石の付いたチューブを入れて
胃にあるコインにくっつけて引っ張り上げることを試みたそう。
しかし、くっつかず。磁石につかない金属だったとだけ分かった。

取れなかったのは残念だけど、
一旦胃に入ったので緊急度は下がったと言われる。

しかし胃の幽門(胃の出口)は狭い為、コインがとても通る大きさではない。
恐らく胃にずっと滞在し続けるはず、と予想される。
でもそのままというわけにはいかないのでタイミング見て
全身麻酔で内視鏡手術の必要があると話される。


息子もコインが胃に落ちたことで痛み・吐き気も落ち着いたからか、
もう寝る寸前の様子(夜22時過ぎ)
この日は帰宅して明日、外科で再度受診することになった。

怒涛の1日目、おしまい。


【2日目】検診
外科で予定手術日の予約を取る。
病院のダンドリが恐ろしく悪く、異なる階を行ったり来たり。
書類は無くなるし、話は通じてないし、無駄な待ち時間をいくつも待った。

息子は昨日、麻酔無しで鼻から胃にチューブを入れたレントゲン室が怖くなったらしく、
昨日と同じことをされるんじゃないかと何度も怯えて泣いていた。
そりゃトラウマになるよね…

外科の先生からは「胃にある分には安心なので、
幼稚園行って運動してもプール行っても問題ありません」と話される。

でも手術前に風邪引くのは禁物らしく、
「今風邪薬飲んでいるのであれば飲み続けておいてください」と言われる。
全身麻酔で寝ているうちに鼻水が気管支に入ったりすると
自分で呼吸できなくなり、人工呼吸が外せなくなってしまう危険性があるらしい。



【3日目】嘔吐
夕飯をもりもりいつものように食べているかと思ったら、
急に「ポンポン痛い…ソファーで休む」と言って
横になると間もなくして食べた分だけ全部吐いてしまった。

病院に電話をすると「一度診た方がいいかもしれない」と言われ
2度目の夜間救急。

ここでもレントゲン室が怖くて大泣き。
なんとかレントゲンを撮り、コインはまだ胃の中だと確認。
幽門をコインが塞いでしまうと食べ物が行き場を失って嘔吐してしまうとのこと。
ご飯を食べた後はなるべく右を下にしないように注意して横になることに。


【4日目】腹痛
鼻風邪も微妙に残っていたので行き付けの小児科受診。
これまでの事情を説明すると小児科の先生からは
「全身麻酔をする予定がある場合はとにかく風邪を引いてはいけないので いつ菌をもらうかわからない幼稚園は…休んだ方がいと思いますよ」と言われる。
確かにそのとおりだと思った。


夕方。
息子とキッチンで夕食の支度をしていた時のこと。
手を洗おうと身体を乗りだしお腹をキッチンの角に押し付けた時
急に顔が真顔になり「ポンポン痛い…休む…」とまた言い出す。
吐きはしなかったが、気持ち悪そうに唾液を垂らした後、
枕で横になって数分間休む。
しばらくすると元気が出て、夕飯はもりもりおかわりしながら食べた。

(胃の不調、後から思えば…このお腹を角に押し付けた時に、
 コインがぶりっと胃の幽門を無理矢理通ったんだと思う)


【5日目】手術前検査。
日曜入院&月曜手術だったので、前倒しで金曜に手術前検査を行うことに。
再度レントゲン撮影で大泣き!
(レントゲンは1日100枚以上取る時以外は被爆の心配は必要無いそうだ)
身長体重、心電図、血液検査など一通りの作業をする。
病院の手配が悪いのか仕組みが悪いのかスタッフが悪いのかわからないが
ここでも異なる階を行ったり来たり。


【6日目】元気に遊ぶ
気持ち悪いと言わない日があるとほっとする。


【7日目】手術前入院
9時に入院準備。
以前アレルギーの負荷試験での2度の入院で慣れているからか、
特に抵抗の無い息子。おもちゃで遊びながらどんどんテレビカードを消費する。
子供専用の病院なので、面会時間はとても長く夜22時まで。
夜は寝かしつけをしてから帰宅(親は疲れる)。


【8日目】手術当日
朝7時に病院、7:50に手術室へ。
手術着に着替え黄色いワゴンに乗せられ手術病棟へ移動。
これから手術を控えた子供達のワゴンが次々と合流する。
手術室のスタッフ達は見える範囲だけでも20~30人程いる。
ちょっとしたお祭り騒ぎ。
息子は、ここが楽しいのか怖いところなのか
判断しかねる微妙な表情をしながら手術室の奥へ。

手順としては、
まず子供が暴れないように眠くなる麻酔の入った酸素マスクをし、
眠らせてから点滴に切り替えそこで麻酔を入れ深い眠りに。
呼吸する力が無くなるので、そこから人工呼吸に切り替える。
そして内視鏡を使って、直接胃の中へ進んで行き、コインを掴み取るという流れ。

ちなみに1時間程度の手術の場合は、
事前に浣腸してうんちを出したり
カテーテル通しておしっこ袋付けたりも必要なし。
内臓の手術ではないのでドレーンもつける必要もなし。
術後もめまいと吐き気に苦しむこともなければ、
体温調節がうまくできなくなり高熱を発することもない。
点滴も1本のみだし、しびれが残るようなこともない。
(↑私が経験した術後の辛いことリストより)

たぶん手術の中ではとても軽い方なんだと思う。


親には院内専用のPHSみたいなものを渡され、
手術終わって出てくる時にそれで呼ばれるとのこと。
落ち着かない気持ちのまま手術室の前のソファーで1時間待機。

本日担当の看護師さんが来て「泣くこともなく無事手術準備に入りました」
と報告を受ける。ちょっとほっとする。


40~50分後、呼び鈴が鳴る。
電話に出ると先生から怖い言葉が。
「…ちょっと…お話がありますので、面談室までお願いします」

…!!なにその言い方…やめて….

手術室入口手前にある面談室に入る。
先生「コインがですね…胃に無かったんですよ」

…ハイ!?!?!?!

胃カメラの映像を見せながら
「胃をくまなく探したんですが、どこにもなくって…
十二指腸まで進んで探してみたんですが…無いんです」

…イミガワカラナイ

「で、レントゲン撮ってみたらですね、
小腸の先へだいぶ進んでいるようなんです」

写真を見ると確かに胃より下の方に影があった。

話によると…、
触診でも小腸にあると確認。
この後は大腸まで進み、うんちとなって排出されるのを待つことになる。ただ、大きいコインなので、小腸の途中で詰まってしまう可能性もあり。
腸液というのは1日で大量の液が出てくる臓器なので、
一部が塞がれてしまうと、行き場を失うので繰り返す嘔吐として症状が現れる。
その場合、すぐに摘出しないといけなくなるので
次に嘔吐が止まらなくなったらすぐに病院に来てもらって
開腹手術をして摘出する必要がある。

といったなんとも恐ろしい話をされる。

でもいつそんな状態になるかもわからないので
ずっと病院で入院して待機するわけにもいかず、
家で様子を見るしかない、とのこと。
(私1人でまた嘔吐して苦しがる息子を見るのは正直怖い…)


いずれにせよ手術は終わった(ある意味失敗…)
30分後まだ眠っている息子がワゴンで運ばれてくる。
頭を撫でながら一緒に病室まで移動。

しばらくベッドで眠り、だんだんと目が覚めた。
昼寝から目が覚めたような感じで
何事もなくぼーっとテレビを見たりしている。
本人は何も怖くなかったようだ。よかった…

人工呼吸器のチューブが気管に入っていた関係で、
ちょっと喉がイガイガした声になっていたがその日のうちに治った。


このままいくと明日退院。

ここ数日緊張した日々を送ったからか
息子は便秘5日目に入ろうとしていた。
便秘が邪魔でコインが流れてこないと困るので、
下剤か何かで腸を動かせないか相談。
「浣腸してみましょうか」と言われる。

息子は「いやあ~」とふにふに言いながらも
お尻を出して大人しくしていた。
解熱剤の座薬の経験があり、さほど抵抗はないんだと思う。
やわらかいプラスチックのチューブを少し入れて
薬剤を入れると、1分後には「うんちでる~!!」と叫び(笑)
トイレへ急ぐ息子。
看護師さんに、念の為コインが出たか確認できるように
便器に専用のカップを取り付けてもらっていざうんち。
「ぽんぽん痛い~~」と言いながらも嫌がることなく
しっかりうんち。(偉いぞ…!)

「全部出た~」とスッキリ顏の息子。
さっきコインはまだ小腸にあったから、
まあ念の為…という気持ちでうんちカップを覗くと…


キラリと光るコインのふちが!

私「あったーーーーーーーー!!!!!」
子「あったよ~!出たよ~~!!」


急いで看護師さんを呼び、
取り出してチェックしてもらうことに。
「確かに!コインですねこれ!!」


「Kくんうんち出たよ、偉い~?」
偉いよ!!!よく頑張った!!
「偉い?すごい?すごい頑張った?」
すごい頑張ったよ!!!
「Kくんカッコイイ?」
ん?カッコイイ?うん、カッコイイよ!!
「Kくんやさしい?」
ん?うん??まあやさしいかな


便秘解消して腸も気持ちもスッキリしたのか
夕飯の食欲が増す息子。よかったよかった。

元気にはなったが、
全身麻酔をした日いっぱいは入院の必要がある為待機。
翌朝退院することに。


【9日目】
朝9時に病院へ行き、退院手続き。

看護師さんから飲みこんでしまうサイズの物は
できるだけ部屋に置かないように、と注意される。

もちろんです!…と言いたいところだが、
4歳の遊ぶおもちゃなんてほぼ全てが飲みこめるサイズばかり…
部屋に置かないように徹底するとなるとおもちゃ禁止になってしまう。
それは現実的ではないので、
とにかく息子に物を口に持っていかないよう口酸っぱく言い聞かせた。
「~もう食べないよおおお!!」と恥ずかしがりながらも半分怒る息子。今回の事故はかなり反省している様子。


無事に家へ帰宅。
翌日から幼稚園へ行けました。

長い闘いでした。
男の子、何をしでかすかわからない…危ない。。
子育て中のみなさんもどうか気を付けてあげてください。。

以上です。

お読みいただきありがとうございました!


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