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日没寸前の大きく赤い太陽

1番好きな季節は、春。

でもその春を待ちくたびれてしまう程に、長い長い冬という過酷な季節がある。私は寒さがとても苦手。

特に2月という月は、厳しい冬の寒さに耐えて、耐え尽くして、もう限界マックスで、身体も心も少し疲弊してくる。

毎朝、あと5分、あと5分と何回もタイマーをかけ直し、なかなかベッドから起きることができない。
結局、ギリギリに職場につく綱渡りのような生活を送っている。

人に会う気もなかなか起きないし、そもそも家からでたくない。家の中でも出来る限りじっとしていたい。
特に今年の冬は生牡蠣に当たったり、1週間長引く風邪に苦しんだり、プチ鬱状態。

南の島にエスケープ…というより、出来れば1ヶ月くらい穴の中で冬眠したい。
日本の四季は確かに美しいけど、クリスマスとお正月が終わると、ただ寒さに身体を強張らせ必死に生きている感じがするのは、私だけだろうか。

ラベンダー色のコートを買ってみたり、髪を切ったり、春の新色口紅をつけてみたり、花屋でチューリップを買ったりして春の兆しを感じようとするけど、なかなか気分は上がらず。だって外に出ると、そこは震え上がる程の極寒なんだもの。

長過ぎる冬の反動か毎年暖かくなってくると、不必要に新しい事を始めたりしてしまう。気候にここまで精神が左右されてしまうとは。

そんな折、4月のアンサンブル発表会の曲が一曲追加された。ヴィバルディの『四季』から「春」だ。
そもそも今は練習のモチベーションさえ上がらない程のプチ鬱状態だけど、皆んなに迷惑を掛けるわけにいかないので、渋々バイオリンケースを開ける。

この曲は、私がアンサンブルに所属して初めて弾いた思い出の曲。

一人で何度弾いても、イメージ通りの「春」の音色には届かないけれど、皆んなで弾くとなんとなくさまになるから不思議だ。

第一楽章のソリストがソロを弾く部分は、うっとりし過ぎてカウントを忘れつつも、Tuttiでお馴染みのメロディーに戻るところが、この曲の1番好きな場所だ。

気持ちが沈んだ時、いつも音楽が救ってくれる。

小澤征爾のこの言葉が好きだ。

「ぼくは美しい音楽というのは、日没寸前の、あの大きい赤い太陽のようだと思う」

さあ、そろそろ冬眠から抜け出る準備をしなくっちゃ。
春はきっと、すぐそこに。

※カバー写真の絵はお友達の画家、nao morigoさんの「ヴェネチアの夕日」

http://addfuns.com/art/paint/tripItaly2.html

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