ダブルクラッチ、いる?決め手はお金とシンクロナイザーリングへの思いやりか
「マニュアル車でダブルクラッチをする必要があるかどうか」は時たま登場する定番テーマの1つで、その度に「最近の自動車であれば部品の精度は高い&マルチコーン化されているからそんなの必要ないでしょ」と言われるのがお決まりみたいな感じ。実際これはごもっともな意見だと思います。ダブルクラッチしなくても問題ない構造だからそんなの機械にやらせておけよ、みたいな感じでしょう。
そんなことを考えながらダブルクラッチをする意味について再考。結局、運転する自動車のトランスミッションに合わせたシフト操作をするのが無難で、突き詰めるとシンクロナイザーリングの消耗をどう割り切るか、といった感じですかね。
クロスレシオトランスミッションのMT車ならダブルクラッチいらない
クロスレシオトランスミッションのようにギア比が近いトランスミッションであれば、各ギアの回転差が少ないのでシフトダウン時にダブルクラッチせずともギアがスコンスコンと入ります。スコンスコンはいるということはシンクロナイザーリングが削れる量も少ないですし。
ワイドレシオトランスミッションなら有効
クロスレシオギアとは対照的に、ギア比の離れている(つまりギア間の回転差が大きい)ワイドレシオトランスミッションが搭載された車種ではダブルクラッチをやったほうが良いです。そのほうがシンクロナイザーリングに優しいから(削れる量減らせるから)。
ここまで、ギア比が近いとか遠いとか言いましたが、「具体的に数値で遠い・近いは定義されているのか」ということが気になるはずです。実際に数値化された定義はなく、パワーバンドに入ったエンジン回転数を保てるかどうかが基準になっている印象を受けます。
ギアは消耗品!オーバーホール上等さんには無縁な話
どうせ消耗品だし定期的にオーバーホールするからという男気あふれるドライバーの方には、よほどのことがない限り無縁であろうダブルクラッチ。ギアが入りにくい時、あるいはマニュアルの旧車乗る時くらいに使うくらいかなと。
モータースポーツやっている人でダブルクラッチやっている人も一定数いるはずですが、実際に見かけたのは確か2−3名(ラリー関係者、知り合いの整備士、自分)。間接的に見たダブルクラッチだと、中嶋悟氏がN1のシビックを鈴鹿サーキットで運転していた際の3→2速のシフトダウンや、黒澤元治氏がF40かF50運転時のシフトダウン(これも3→2速だったような)でした。
HパターンのMT車が国内外トップカテゴリーのレースで使われていた時のオンボード動画を私が確認したところ、ダブルクラッチをしている場面はありません。一旦ニュートラルでクラッチ繋ぐ時間は、コンマ0秒の戦いでは勿体ないはずです。
大事・丁寧に乗りたい・遊びたいならアリ
ギアに丁寧に乗りたい、とにかくシフト操作を楽しみたいならダブルクラッチをやりましょう。古い自動車は部品が少ないですし、丁寧に乗るに越したことはありません。人から何言われようが、周りに迷惑かけず運転していて楽しいのならオッケーです。
まとめ:各自、好きな方法でシフトダウンすれば良いのでは?
いろいろと述べましたが、自分の自動車なら自身が納得するよう自由に運転するのが一番です。それでも中身の構造を理解して、納得した上で運転を楽しみたいところです。