書き直し:ハブとホイール締結の設計について
前回の記事では設計者から見たユーザー目線みたいな内容だったので、新たに書き直しました。で、私は設計者ではないので、その界隈の人(詳しい人)にいろいろ教えてもらいました。再度、いろいろ見方があると一言断っておきます。
結論は、ばね下重量を可能な限り軽くして、ボルト締結力を可能な限り強くする仕様にしたいが、製造コストの制約があるので車種に合わせて仕様を決定しているのではないか、という感じです。
そう考えると、ヨーロッパ車がハブボルト式で国産車がホイールナット式なのも納得できます。総じて、ヨーロッパ車は国産車よりも走行時の速度域が高いので(各国高速道路の制限速度的に)。
ボルト径については輸入車(ハブボルト式)でもM12のものがあり、ハイスペックな車種(ポルシェ・911等)だとM14だったりするので、車種のスペックや想定される用途に合わせてボルト径は調整されるが、軽量化には取り組んでいるということでしょう。
国産車を見てみると、R35 GT-Rは標準仕様でM12のホイールナット式ですが、nismoモデルはM14 × P1.5のホイールナット式です。必要(スペックや懸けられる予算など)に応じてM14にしていると考えられます。ちなみに、NISMOはスポーツロングハブボルトセットも販売しています。R35 GT-Rでもホイールナット式ですよ。
ハブボルトに関する論文もネット上で確認できる限りでもいくつかありますので、気になる方は読んでみてください。下記はホイールナットに関する論文ですが、テーパーナットとフランジ付平面座ナットをそれぞれ同じ締めつけトルクで締めた場合の疲労試験の結果を紹介しています。
山田直樹、橋村真治、戸田均著「自動車用ホイールナット形状がハ ブボルトの疲労強度に及ぼす影響」(一般社団法人日本機械学会、M&Mカンファレンス・2011年7月16〜18日 )
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282680847483136
(2022年4月25日にアクセス)
「『潤沢な予算があるから好きなように設計していいよ』となった場合に国産車はホイールナット式からボルト式になるのかどうか」という仮定の疑問も浮かびましたが、現状としてホイールナット式でも十分間に合っていることを踏まえると、高速度域で走らせることを意図した車種(スポーツタイプや高級車セダンetc)でそういう仕様にするくらいなんじゃないですかね。あとは強度区分の異なる材質を使うとか。プロボックスのボルト式タイプとかあったら面白いことになりそうですが笑。
ハブボルトを考えると、ホイールナットの形状にも触れなければならなくなるので、正直キリがなさそうです。気が向いたらまた調べてみようと思います。
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