(56)鳥爺DJ奮闘記「日本に10枚しかないレコード?」
いつもありがとうございます。鳥爺です。
NEXTのオープンは、いつもと違う不意を突く演出が功を奏し、1曲目からラストまでノリノリでした。
私より経験の長い大久保くんも、「こんなことは初めて」と笑顔全開でした。
こんな状況でしたので、途中から帰る人は少なく、途中から入店する人が続くため、店内は大混雑になりました。
それでもお客はマナーを守り、トラブルもなく終了時間になりました。
ラスト曲のときも私がDJです。
こういう場で、華を持たせてくれる大久保くんには、大人の余裕を感じました。
「それでは、ラストの曲です!!」
とコールし、最後の曲に全員が酔いしれていました。
そして、曲が終わると同時に一転して、別世界のような静寂がほんの少し続きました。
ダンスホールに繰り出したお客がいそいそと帰るのが、今日は違う。
なぜか皆が、私たちがいるDJブースを見ています。
そして誰かしらから始まったかわかりませんが、拍手が一つ、二つ、三つ、とあっという間に大きな拍手に変わったのです。
そしてその拍手の拍子が揃ってきました。
同時に
「アンコール!! アンコール!!、、、、、、」
と。
「こんなこと初めて!?」と、今度は私が思わず声を出してしまいました。
私は大久保くんに目で合図を送り、アンコールのレコードを探し出し、スタンバイしました。
このレコードは、これが初めてかける曲です。
そして、店内の照明を消しました。
「うおぉぉぉ~!!」
今までにない歓声が店内に響きました。
上の階で寝泊まりしてるビジネスホテルの客に聞こえたのではなかと一瞬思ったくらいです。
さて私がアンコールに選んだ曲は、あの有名なディスコ・マハラジャで、そこの専属のDJが密かに持っていたレコードです。
当時はディスコ用に試作品的に数量限定でレコードを作り、マハラジャのような有名なディスコに配布していたと聞きました。
その中のレコードがあるという噂を耳にしたのです。
そのDJは急ぎのお金が必要だということで、譲渡することを決めたそうです。
それがB'zの『BAD COMMUNICATION』。
私もとても大好きな曲で、たまにカラオケで歌い、顰蹙(ひんしゅく)を買った記憶があります(苦笑)。
しかしこの曲は日本語でありません。
B'zが英語で歌いあげた『BAD COMMUNICATION』です。
今はわかりますが、当時の私は『BAD COMMUNICATION』英語バージョンがCDではなくレコードであるなんて、そんな存在すら知りませんでした。
それが売りに出たのです。
たまたまその噂を聞いたタイミングが早く、私自身もすぐ決断しましたので、そのレコードを幸運にも入手することができました。
マハラジャのDJ曰く、「日本に10枚しかない」と自慢していました。
その話の真意は定かではありませんが、このレコードの存在は後にも先にも今回だけでした。
そんなことよりも、この希少なレコードを今日このアンコールというタイミングで初披露することができます。
私の興奮も最高潮に達しました。
店内の静寂から一転、カラオケで流れてくるイントロは『BAD COMMUNICATION』のように感じません。
イントロ早押しクイズでも、たぶんわからないと思います。
しばらくして『BAD COMMUNICATION』の曲とわかると、歓声が上がってきました。
しかし英語なので、びっくりした様子をする人もいました。
自宅やカラオケで聞く『BAD COMMUNICATION』ではなく、ディスコという大音響の空間で、皆と一緒に聴きながら踊ることは、別世界の出来事かもしれません。
日本語の歌詞を大声で歌いながら踊っている人もたくさんいました。
今まではディスコで流れる音楽は洋楽が多かったですが、この曲を通じて、JPOPで踊れる曲がこれから増えてくる予感を感じた次第です。
アンコールで流した『BAD COMMUNICATION』はイントロから最後まで流しました。
長い曲でしたが、余韻も含めて楽しんでもらえたのではないかと思っています。
そして、この曲が終わると、ほとんどすべてのお客が清しい笑顔で私たちに挨拶をして、帰っていきました。
(つづく)
今日も素敵な一日になりますように(^o^)/
PS
現在、この『BAD COMMUNICATION』だけは、私の宝物として大事に保管しています。